ブランドリフト調査(BLS)とは?広告効果を可視化するやり方とデータ活用術を徹底解説
「Web広告のCPAやコンバージョン数だけでは、ブランド認知度への貢献が測れず、広告効果の説明に悩んでいませんか?ブランディング目的の広告は、その成果を証明するのが難しいものです。
この課題を解決する強力な手法が「ブランドリフト調査(BLS)」です。この記事では、ブランドリフト調査の基礎知識から具体的な始め方、失敗しないための注意点、そして得られたデータを次の施策に活かす方法まで、データ分析のプロが網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持って広告の成果を語れるようになります。

ブランドリフト調査(BLS)とは?広告効果を可視化する重要指標
ブランドリフト調査の定義
ブランドリフト調査(Brand Lift Survey、略してBLS)とは、広告に接触したユーザーと接触していないユーザーそれぞれにアンケートを行い、その回答を比較することで、広告がブランドの認知度や好意度、購入意向などにどれだけポジティブな影響を与えたか(リフトさせたか)を測定する調査手法です。
クリック数やコンバージョン数といった直接的な成果だけでなく、ユーザーの「心の中の変化」という、これまで見えにくかった広告効果を数値で可視化できるのが最大の特徴です。
なぜ今、ブランドリフト調査が重要なのか?
今、ブランドリフト調査が重要視される理由は大きく2つあります。
- ブランディング広告の効果を証明できるから
CPAやCVRなどの指標だけでは、認知拡大を目的とした広告の価値を正しく評価できません。ブランドリフト調査を行えば、「この広告によって、ブランド認知度が15%向上した」というように、ブランディングへの貢献度を具体的な数値で示すことができます。これにより、広告予算の妥当性を客観的なデータで説明できるようになります。
- データに基づいた広告改善ができるから
調査結果を分析することで、どのようなクリエイティブやターゲティングがブランドリフトに効果的だったのかがわかります。感覚に頼るのではなく、データに基づいて次の広告戦略を立て、改善サイクルを回せるようになるため、広告効果の最大化につながります。
サーチリフトとの違いは?【比較表で解説】
ブランドリフトとよく似た言葉に「サーチリフト」があります。両者は広告効果を測定する点は共通していますが、測定対象が異なります。
ブランドリフトがアンケートによってユーザーの「態度変容」を測るのに対し、サーチリフトは広告接触後の「行動変容(指名検索の増加)」を測定します。
| 比較項目 | ブランドリフト調査 | サーチリフト調査 |
|---|---|---|
| 測定対象 | ユーザーの態度変容(認知、好意、意向など) | ユーザーの行動変容(指名検索) |
| 調査方法 | アンケート調査 | 自然検索数の計測 |
| 主な指標 | 広告想起率、ブランド認知度、購入意向など | 指名検索数の増加率(リフト値) |
| 目的 | ブランディング広告の効果測定 | 認知施策が検索行動に与えた影響の測定 |
ブランドリフト調査の主な手法2つ
ブランドリフト調査のアンケート手法には、主に「インバナーサーベイ」と「リードバナーアンケート」の2種類があります。
インバナーサーベイとは?
インバナーサーベイは、Webサイトやアプリの広告枠内にアンケートを表示する手法です。ユーザーはページを移動することなく、その場で手軽に回答できます。
- メリット
- 広告配信と同時に実施できる
- ユーザーがページを離脱しないため、回答率が高い傾向にある
- デメリット
- 広告枠のサイズに制約されるため、多くの質問は設定できない
リードバナーアンケートとは?
リードバナーアンケートは、表示された広告バナーをクリックしたユーザーを、専用のアンケートページへ誘導して回答してもらう手法です。
- メリット
- 専用ページのため、インバナーサーベイよりも多くの質問を設定できる
- より詳細な回答を得やすい
- デメリット
- ユーザーにクリックとページ移動を促すため、回答のハードルが上がりやすい
- アンケートページへの遷移中に離脱されるおそれがある
【媒体別】ブランドリフト調査の始め方と費用
ブランドリフト調査は、主要な広告媒体が調査ツールを提供しています。ここでは、代表的な媒体ごとの特徴や費用感を紹介します。
Google広告 / YouTube広告
Google広告では、YouTube広告などを対象にブランドリフト調査を実施できます。とくに動画広告との相性が良く、多くの企業で活用されています。実施には、一定期間内に規定の最低出稿金額を超える必要があります。
- 対象広告: YouTube広告、ディスプレイ広告など
- 費用: 媒体費用の範囲内で調査可能(追加費用なし)
- 条件: 自社のアカウントをサポートするGoogleの担当者が必要。最低出稿金額が設定されている。
Yahoo!広告
Yahoo!広告でも、ディスプレイ広告(運用型)を対象としたブランドリフト調査が可能です。Google同様、実施には最低出稿金額が設定されています。
- 対象広告: ディスプレイ広告(運用型)
- 費用: 媒体費用の範囲内で調査可能(追加費用なし)
- 条件: キャンペーンごとに最低出稿金額が設定されている。
Facebook広告 / Instagram広告
Meta社(Facebook、Instagram)では、「ブランドリフトテスト」という名称で機能が提供されています。広告マネージャから比較的簡単に設定できるのが特徴です。
- 対象広告: Facebook広告、Instagram広告
- 費用: 媒体費用の範囲内で調査可能(追加費用なし)
- 条件: 実施可能な国や条件が定められているため、事前の確認が必要。
LINE広告
LINE広告でも、一定の条件を満たすことでブランドリフト調査を実施できます。国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINEで調査できるのは大きな魅力です。
- 対象広告: LINE広告
- 費用: 媒体費用の範囲内で調査可能(追加費用なし)
- 条件: 最低出稿金額や配信期間などの条件がある。
調査会社に依頼する場合
媒体提供のツール以外に、専門の調査会社に依頼する方法もあります。
メリット:
- 媒体を横断した調査が可能
- より柔軟で詳細なアンケート設計ができる
- 専門家による深い分析やレポーティングが期待できる
デメリット:
- 媒体費とは別に、数十万円〜数百万円の調査費用がかかることが多い
ブランドリフト調査で測定できる主な指標一覧
ブランドリフト調査では、マーケティングファネルの各段階に対応したさまざまな指標を測定できます。ここでは代表的な5つの指標を紹介します。
広告想起率
「(特定のカテゴリーで)過去2日間に見た広告の中で、覚えているものはありますか?」といった質問で、広告がユーザーの記憶に残ったかどうかを測定します。ブランディング広告の最初の関門とも言える指標です。
ブランド認知度
「(特定のカテゴリーで)知っているブランドをすべて選んでください」といった質問で、ブランドがどれだけ知られているかを測定します。広告接触によって、純粋想起や助成想起がどれだけ向上したかを確認します。
比較検討
「次に商品を購入する際、検討するブランドはどれですか?」といった質問で、ブランドが消費者の検討リストに入っているかを測定します。認知だけでなく、より購入に近い段階への引き上げ効果を測る指標です。
好意度
「このブランドについて、どう思いますか?」といった質問で、ブランドに対するポジティブな感情が醸成されたかを測定します。ブランドへの共感や親近感など、感情的なつながりの変化を確認します。
購入意向
「次に商品を購入する際、最も購入したいブランドはどれですか?」といった質問で、ユーザーがそのブランドの商品やサービスを購入したいと思っているかを測定します。売上に直結する重要な指標です。
調査結果を次のアクションに繋げる!データ活用術3選
ブランドリフト調査は、結果を見て終わりでは意味がありません。得られたデータを分析し、次のアクションにつなげることが重要です。ここでは、データ分析のプロとして具体的な活用術を3つ紹介します。
活用例1:効果の高い広告クリエイティブ・ターゲティングを特定する
調査結果をクリエイティブ別やターゲット層(年齢、性別など)別に分解して分析してみましょう。これにより、「どの層に、どの広告メッセージが最も響いたのか」が明確になります。
例えば、「20代女性向けのAクリエイティブは『好意度』のリフトが非常に高いが、30代男性向けのBクリエイティブは『購入意向』のリフトに貢献している」といったインサイトが得られます。この結果に基づき、効果の高かったクリエイティブを横展開したり、ターゲットごとに訴求を最適化したりすることで、広告全体のパフォーマンスを向上させることができます。
活用例2:最適な広告接触回数(フリークエンシー)を見極める
広告の接触回数(フリークエンシー)別のリフト値を見ることで、効果が最大化する広告の接触回数を特定できます。
分析の結果、「接触回数が3回までは好意度が右肩上がりに上昇するが、5回を超えると逆に効果が頭打ち、あるいは低下する」といったことがわかれば、フリークエンシーキャップを最適化することで無駄な広告費を削減し、予算をより効率的に活用することが可能になります。
活用例3:広告媒体ごとの費用対効果を判断し予算配分を最適化する
複数の媒体でブランドリフト調査を実施した場合、媒体ごとのリフト値と投下した広告費用を比較することで、ブランディング施策における媒体ごとの費用対効果を判断できます。
例えば、「YouTube広告はCPAは高いが、新規層への『ブランド認知度』リフトが最も高い。一方、Facebook広告は『比較検討』層へのリフト効果が高い」といった分析ができれば、ファネルの段階に応じて各媒体への予算配分を最適化する、といった戦略的な意思決定が可能になります。
初めてでも安心!ブランドリフト調査を成功させるためのQ&A
- Q. 調査を始める前に準備すべきことは?
A. 「調査の目的」と「仮説」を明確にすることが最も重要です。
例えば、「今回のキャンペーンで20代女性のブランド好意度を10%向上させる」といった具体的な目的を設定します。その上で、「Aのクリエイティブは共感を呼び、好意度向上に最も貢献するだろう」といった仮説を立てておくことで、調査結果の分析や次のアクションがスムーズになります。- Q. 調査で思うような結果が出ない原因は?
A. いくつか原因が考えられますが、主に以下の点が挙げられます。
- 広告の出稿量や期間の不足: 統計的に有意な差を出すには、一定量のサンプル数が必要です。
- ターゲティングのズレ: 広告が届けたい層に届いていない可能性があります。
- クリエイティブの訴求が弱い: メッセージがターゲットに響いていないのかもしれません。
- 設問設計の問題: アンケートの質問がわかりにくく、意図した回答が得られていないおそれがあります。
- Q. どのくらいの期間や予算が必要ですか?
A. 媒体や調査の規模によって大きく異なります。
一般的に、統計的に信頼できる結果を得るためには、数週間以上の調査期間と、数百万円以上の広告出稿が必要になるケースが多いです。まずは利用を検討している広告媒体の営業担当者に、実施要件や推奨される予算規模を確認することをおすすめします。
まとめ:データに基づいたブランディング戦略で成果を最大化しよう
この記事では、ブランドリフト調査(BLS)の基礎から具体的な活用方法までを解説しました。
ブランドリフト調査は、これまで感覚的にとらえられがちだったブランディング広告の効果を、客観的な「数値」で可視化するための非常に強力な手法です。
この調査を活用することで、広告の成果を自信を持って説明できるようになるだけでなく、データに基づいた改善サイクル(PDCA)を回し、マーケティング施策全体の成果を最大化することにつながります。
まずは自社の目的に合った媒体を選び、ブランディング戦略にデータという強力な武器を取り入れてみてはいかがでしょうか。
競合のブランド戦略分析や調査前の現状把握にはツール活用がおすすめ
ブランドリフト調査は広告施策の「効果」を測る上で非常に有効な手段ですが、その成功の鍵を握るのは、施策を始める前の「現状把握」と「戦略立案」です。自社や競合の市場における立ち位置をデータで正確に把握しておくことで、より精度の高い仮説を立て、調査を成功に導くことができます。
Semrushで競合サイトのトラフィックや流入キーワードを把握する
ブランドリフト調査を行う前に、競合がどのような戦略でユーザーを集めているかを知ることは非常に重要です。Semrushを使えば、競合サイトが「どのようなキーワードで」「どれくらいのトラフィックを」集めているのかを瞬時に分析できます。競合の成功パターンを分析することで、自社のブランディング戦略のヒントを得ることができます。
キーワード分析で自社ブランドの認知状況を客観的にチェックする
自社ブランド名や関連する商品・サービスのキーワードが、世の中でどれくらい検索されているか(検索ボリューム)を調べることで、市場における現在のブランド認知度を客観的なデータで把握できます。この数値を調査前のベースラインとして設定しておくことで、施策後の効果をより多角的に評価できます。
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