ERPの選び方 6つのポイント

2009/11/20公開

今回の記事では、ERPを選定する際のポイントについて考えてみたいと思います。

ERPを選ぶ際のポイントは下記の6つです。

  1. 目的の明確化
  2. 適用範囲の明確化
  3. 適用範囲に対する機能性
  4. 多角的な視点でのコスト
  5. フォロー体制および納期
  6. スキルとパートナーシップ性

1. 目的の明確化

導入検討段階における目的の明確化

ERPシステムを導入する際に一番大切なことは、「何のためにERPシステムを導入するのか」という目的の明確化です。ERPシステム導入前に挙げられていた自社の問題点は何か、そして、導入後はどのように解決するのか。経営戦略に基づいた方向性と信念を再確認することにより、ERPシステム選択時の判断基準も明確になります。

忘れてはならないのが、ERPシステムを導入することが目的なのではなく、経営の効率化が目的なのだ、ということです。当たり前のように思われるかもしれませんが、新しいシステムの導入時には機能の把握やカスタマイズの可能性に目を取られ、本来の目的である経営の効率化のプライオリティが下がってしまうことがあるのです。ですので、いきなり全体の最適化に着手するのではなく、部分的に導入するのもひとつの選択肢となります。

単一の企業や案件の中でも他部門化が進んでいる現代のビジネスにおいて、情報管理システムをIT化し、一元管理することが最も効率の良い手法である、といっても過言ではありません。そのために、自社の経営ビジョンの基幹となる情報はどの情報なのか、そしてその情報をどのようにIT化するのか、ERPシステム導入目的の明確化を導入検討段階で行っておくことが望ましいのです。

2. 適用範囲の明確化

適用範囲の検討による、自社の商習慣の認識と明確化の必要性

ERPシステムを導入する際に気をつけなくてはならないことは、商習慣は会社単位だ、ということです。従来、アプリケーションやシステムの提供形態ではパッケージ型が一般的なのですが、パッケージ型のERPシステムを導入した際には、会社単位での商習慣への対応性と、求められるニーズに差異が生じてしまうという問題点を視野に入れなくてはなりません。

そこでZACでは、システムをネットワーク経由で提供するSaaS(Software as a Service)を採用し、個社別ごとの細やかなニーズに対応できる体制を整えています。これによりシステムを全体最適させるか、部門最適させるか、それともその両立をさせるのか、といったより細やかな設定も可能となりました。つまり、導入検討段階で適用範囲の明確化、そして段階的導入(の可否)の検討を行っていただくことにより、従来のERPパッケージよりもフレキシブルかつスムーズな導入が可能となります。

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3. 適用範囲に対する機能性

業種・業態とERPシステムとのマッチングの検討

ERPシステムは、事業、部門ごとに関連、または独立した経営資源を一元管理するため、製品内における単一機能の検討だけでは、自社の問題解決ツールとして最適なのか判断しきれない部分があります。複数のERPシステムの比較・検討を行う際には、それぞれのもつ強みを把握する必要があります。

ひと口に経営資源の一元管理といっても、業種や業態により必要な機能に差異があります。また、企業の規模によっても、使うべき機能や、機能の必要深度もまちまちです。つまり、自社の求めるERPシステム導入を検討する際には、必要な機能を必要なレベルに応じてパッケージングされているものか、状況に応じ柔軟に対応し、提供できるERPシステムを選ぶほうが良いでしょう。

現状の経営状態や業務形態だけでなく、これからの経営展開や、経営ビジョンとのマッチングも、ERPシステム導入の検討段階において重要なポイントです。長期的な視点で見た場合、新しい案件が発生するのはもちろん、新しい部門を設立し、事業形態が変化することも考えられます。しかし、そのたびに新しいERPシステムへと変更するのは、大きな負担となってしまうでしょう。そのため、カスタマイズの可否や、柔軟性、拡張コストも充分に検討すべきなのです。

4. 多角的な視点でのコスト

ERPシステム導入前~導入後にかかるコストを多角的に検討

ERPシステム導入のハードルが低くなったとはいえ、システムごとに価格変動の差が大きく、適正価格を見極めるには多くの情報が必要となります。また、導入するERPシステムによっては、ハードウェア等機器の追加など、インフラの整備を求められる場合もありますので、事前に確認をする必要があります。

もちろん、ERPシステム自体の費用に関しても明確な認識が必要です。費用の検討材料として、ERPシステム自体の買取費用だけでなく、導入前の要件定義など開発費も視野にいれなくてはなりません。つまり、納期までのスケジュールも踏まえた費用を試算すると良いでしょう。

導入後のコストとしてまず考えなくてはならないのが、システムの管理・保守コストです。各種データのバックアップや、定期的なメンテナンス、そして突発的なトラブルへの対応体制などにかかる、いわゆるランニングコストは、効率的なシステム運用への重要なファクターとなります。

実際にERPシステムの運用を始めると、それまで検討しきれなかった問題点や不備、また、新しい要求などが生じることがままあります。それに対する拡張性の有無や、機能追加、カスタマイズ、バージョンアップにかかる費用なども、中長期でのコストを検討する際に必要な情報となります。

ERPシステムの特徴には、現在運用している他のシステムとの連動性が挙げられます。今まで運用していた複数のシステムを一元的に管理し、運用を行うことにより、管理に生じる時間的・人的コストの大幅な削減へと繋がります。

また、ERPシステムで情報の統合を行うため、情報照会等に必要な知識や技術も一元化され、スムーズな運用が可能となります。

5. フォロー体制および納期

導入後のニーズや環境の変化に対応する即時性

ERPシステムは経営に関し多岐に渡る情報を一元的に管理するシステムです。だからこそ、自社を取り巻く内外の要因による業務フローや事業内容の変化、および法改正の対応には迅速に対応できるERPシステムが必要になります。

たとえば、現状で使いやすいパッケージがあったとしても、ニーズや環境の変化に伴うシステムの追加・変更に長時間かかってしまうと、経営に関する意思決定に遅れが生じてしまいます

ですので、ERPシステムを比較・検討する際には、機能や費用面だけでなく、さまざまなフォロー体制、対応の即時性も視野に入れるべきでしょう。

6. スキルとパートナーシップ性

社内の導入担当と各部門間のパートナーシップを構築

ERPシステム自体の問題ではありませんが、ERPシステムを導入し、各種業務の一元管理や効率化を行う際には、事業部間での協力体制を構築する必要があります。ですので、導入検討段階から関連する事業部の意見を聞き、導入決定後もSE・管理部門間で説明会を開くなどし、自社内外でのフォロー体制や業務フローのすり合わせを行うと良いでしょう。

ERPシステムの導入を決定したあとは、これらフォロー体制の構築期間も視野に入れ、納期を決定することが、スムーズな導入へと繋がります。

ERPシステム導入にあたり部門間での協力体制を作っていくためには、イニシアチブの所在を明確にする必要があります。導入の意思決定、システムを検討する際に誰を基準としたユーザビリティーなのか、また、ERPシステムで一元化した情報の管理を行う部門の設定など、企業内部でのインフラも整備しておくと良いでしょう

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この記事の筆者

ZAC BLOG編集部

クラウドERP開発・導入の経験から蓄積された知見に基づき、業務効率化・管理会計・原価計算・ERPに関するテーマを中心に、生産性向上に役立つ情報をお届けします。

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