営業VSエンジニア~対立の理由&対立を解消するには?

2021/2/05公開

皆さんは「営業 エンジニア」でGoogle検索をしたことがありますか?今回、一緒に検索される可能性が高いワード(サジェスト)を見て、本記事の必要性を改めて実感しました。お互いの関係性に悩んでいる現職の皆様や「どうしたらより良い関係になるのか」とお悩みの管理職の皆様のお役に立てると幸いです。

このように検索窓にキーワードを入力すると一緒に検索される可能性が高いワードが表示されますが、そこには穏やかとは言い難い「対立」という言葉が出てきます。対立関係になりがちな職種であることGoogle検索エンジンにも認識されていることを踏まえつつ、「どうして営業とエンジニアは対立してしまうのか」「対立を避けるためにどうすべきなのか」をまとめていきます。

ちなみに本ブログを運営する株式会社オロには、営業もエンジニアも在籍していますが、比較的良好な関係とのことです。

営業とエンジニア、対立の理由

まずはそれぞれの立場のよくある言い分を紹介します。営業やエンジニアとして業務に関わっている人や、かつて関わっていたという人にとっては、身に覚えのある感覚なのではないでしょうか。


営業

自分たちの仕事は売上を上げること。売上目標達成が一番大事だと思っているので、社内で多少無理をしても受注まで持って行きたいです。融通が利くならば、価格面で競合他社に負けることは避けたいですね。自分たちが売上を稼いでいるんだし、エンジニアは営業の立場を分かってほしいです。


エンジニア

大幅な値下げや無茶な納期、クライアントの"営業さんからは無料でできるって聞いていたのに"という言葉には、もううんざりです。この工程や納期を見れば、妥当な値段設定というのが分かるのに。営業は受注後のことも、もっと考えてほしいです。

このような言い分から、

  • 営業は売上目標達成だけに燃え、受注後のことを疎かにしがち
  • エンジニアは、目標に追われる営業の立場への理解せずに、一方的に値下げ交渉をしてくる営業にうんざりしている

といった、お互いの立場や業務への理解のなさが対立の理由のひとつとなっていることが分かります。

営業 VS エンジニア~対立の火種はどこに!?

対立の理由が分かったところで、続いて知りたいのは対立の原因です。火のないところに煙は立たない...。つまりは対立は起きないのです。他部署同士について検索してみたところ、実際に「エンジニア 経理」「営業 クリエーター」のサジェストは、「対立」という文字はありませんでした。

では、どうして営業とエンジニアは対立してしまうのでしょうか。 営業とエンジニアの対立の火種として、挙げられることが主に3つあります。

そのパターンと対立の炎が燃え上がる前にできる対策を解説します。

火種1・値下げ交渉

主に営業側に原因があるパターンです。営業側の「競合他社と比べて見積金額が高く、価格面で難色を示している営業先に対して、値下げしますと言ってしまった」というパターンです。今期の売上を立てたい、競合他社に負けたくないといった理由からとはいえ、値下げの要求を行うことは、エンジニアにとっては「複雑な機能をこんなに値下げされては、この作業にあてる工数が足りない」といった課題が生まれるかもしれません。また「自分たちの仕事を軽視しているのでは」と受け取られることになるでしょう。

対策

対策として、営業側とエンジニア側、両方でルールを定める必要があります。営業先で値下げ交渉をされた場合は、「必ず一度会社に持ち帰る」もしくは、事前に「値引きは何割まで」といったルールを設けておくのがおすすめです。クライアントから「なぜこの値段なのか」と聞かれた時に、プロジェクトの規模を説明し、ひとつの作業、ひとつのサービスにかかる標準的な原価を踏まえて、価格設定をしていることを伝えましょう。見積金額に対する数字の根拠を伝え、妥当性を説明することで営業先に納得してもらえるだけでなく、社内でも同じ数字をもとに対話できるようになります。

火種2・工数見積

主にエンジニア側に原因があるパターンです。事前に見積もった工数にプロジェクト終了時の工数を収めるのは、とても難しいことです。エンジニアの算出した工数見積が甘く、謝罪をするのは営業などのフロントを務めるメンバーです。工数見積の精度次第で、営業とエンジニアの対立の炎は燃え上がってしまうのです。

対策

工数にブレが起こることを想定し、余裕をもった工数見積を行うことが重要です。営業側では進捗が悪い場合には、最終的に納期か機能かどちらをとるのかを取り決めておくと良いでしょう。エンジニア側では工数は見積もって終わりでなく、工程が進むごとに更新するといったアップデートすると良いでしょう。

火種3・目標設定

最後は双方に原因があるパターンです。目標は、個人からチーム、部署までさまざまな立場や組織で設定されるものです。プロジェクトにおいては、営業とエンジニアのチームによる目標をしっかり設定することが重要です。そうでない場合、営業は「売上」、エンジニアは「クオリティや納期」といった、それぞれ立場の目標を優先することで、対立が深まる可能性があります。

対策

プロジェクトを進める上で営業とエンジニアが同じ目標を持つことは非常に重要です。その目標はどちらかが圧倒的に利益を得るものでなく、部署が異なっていても同じ目線で見ることができる「プロジェクトの利益率」といった目標設定がおすすめです。

関連記事:プロジェクトごとの原価管理で黒字経営を実現

火種を消火し、対立を未然に防ぐ方法

ここまで、営業とエンジニアの対立の火種となる3つの要素と対策を紹介しました。

対立を防ぐために一般的によく言われている「コミュニケーションをもっと取る」「思いやりを持つ」といったマインドの部分はもちろん大事です。しかし、多忙を極める皆さんなら、いつでも誰にでも優しくいることの難しさがよく分かるでしょう。繁忙期であれば、なおさら。

ということで、ここでは目標設定やルールを作るという現実的な手段で、性格と心の広さに関係なく対策できる方法を紹介します。

ルールの制定

「Aさんの時は納期ズレを納得してくれたのに」「Bさんならすぐに値下げをしてくれたのに」といった個人の判断による対立を減らすことができます。重ねてになりますが、対立の火種となりやすい「値下げ交渉」については「必ず一度会社に持ち帰る」「値引きは何割まで」といったルールが重要です。「工数見積」についてはブレることを前提に余裕を持って見積もり、なおかつクライアントにもリカバリーの方法について納得してもらうといった、念入りなルールの制定が必要です。プロジェクトの規模・納期ごとにルールを見直すなど、柔軟な体制も必要でしょう。

プロジェクトの利益率を目標にする

「売上」「クオリティ」といった個人やお互いの部署ならではの目標ではなく、「プロジェクトの利益率」を目標として設定することのメリットは3つあります。

    1. 営業とエンジニアが同じ目線で数字を見られる
    2. 利益率の達成が目標のため、見積金額の段階で過剰な値下げが起きにくい
    3. 会社としても利益率の高い案件を優先できる

利益率が目標を下回った場合にはどのような対策をとるかを決めておくと、より良いでしょう。同時に案件管理システムを活用し、「プロジェクトの利益率を部署に関係なく把握できる」という状態にすることで、営業とエンジニアどちらであっても利益率が下がっているものに対して早めの対策を行うことができます。

営業とエンジニアが「同じ未来」を見るために

対立が深くなる前に双方の溝をなくし、「同じ未来」を見るためには、少しずつでも変わらなければなりません。目の前の仕事をより良いものにし、無駄な対立をなくしたいという気持ちは営業もエンジニアも同じはずです。

そこでまずは、プロジェクトの利益率を目標にし、双方がプロジェクト全体の数字を見て対話ができる土台をつくるのがおすすめです。営業とエンジニアが共通の数字目標を持ち、目標達成のために同じ方向に向かって努力できるように会社の仕組みやルールを変えて行くことが重要になります。具体的にはクライアントへの見積もりの根拠となる工数見積の改善やプロジェクトの進捗に応じた工数管理を行うといったことから始めると良いでしょう。

また、プロジェクト別の工数管理の精度を上げることは、管理会計実践の一歩ともいえ、より良い経営にも繋がって行くでしょう。

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この記事の筆者

株式会社oRo code MOC クラウドソリューション事業部マーケティングチーム

高橋 礼

2019年7月に株式会社オロの子会社・株式会社oRo code MOCに入社。新潟を拠点にオロの製品・クラウドERP「ZAC」のマーケティングチームの一員として活動。過去7年間、雑誌編集に従事していた経験を活かし、ライティング業務やホワイトペーパー制作に携わる。

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