経営への影響大!重要税制のポイント解説第2回 ~採用しやすくなった!連結納税制度~

2011/7/19公開

連結納税制度は平成14年度の税制改正で導入されましたが、メリットもさることながらデメリットも多いことから採用企業は少なく、またその採用企業の内訳も大手企業が中心となっていました。

しかし、前回のコラムでご紹介しました通り、平成 22 年度税制改正「グループ法人税制」が導入されたことにより、100%資本関係グループの会社に関しては「グループ法人税制」が強制適用され、連結納税制度とほぼ同じ規定が適用されることとなりました。 グループ法人税制が強制適用となることで連結納税制度を選択することのデメリットは薄れ、また、連結納税制度を選択することで節税効果が期待できるケースもありえます。

そこで今回は、連結納税制度の概要をご紹介いたします。今後のタックスプランニング見直しの材料として、ご覧ください。

1. 連結納税制度 概要

連結納税制度は、連結納税グループを一体として課税を行う制度です。したがって、連結納税グループ内の法人の所得と欠損を相殺した後の所得に対して法人税を課税する(つまり、グループ内の黒字と赤字を相殺できます。)、というのが連結納税制度の大きな特徴となっています。

連結納税グループ×1期×2期摘要
P社 300 300
S社 △200 △200
連結所得 100 100 連結所得に対して課税

2. 連結納税制度の主なメリット/デメリット

連結納税制度の主なメリット

  1. 連結納税グループ内の法人の所得と欠損を相殺して法人税を計算。
  2. 連結納税制度採用前の親法人の繰越欠損金の有効活用。

連結納税制度の主なデメリット

  1. 連結納税制度採用前の子法人の繰越欠損金の切捨て。
    (平成22年4月1日以後開始事業年度については、親法人が5年超継続して 100%支配している子法人等に関して、その子法人で生じる所得を限度として、連結納税採用前の繰越欠損金を利用できます。)
  2. 連結納税制度採用時における、子法人が有する一定の資産についての時価課税。
    (ただし、親法人が5年超継続して 100%支配している子法人等については時価課税の適用はありません。)
  3. 申告納税手続の煩雑さ。

3. 承認申請

連結納税制度の適用を受ける場合には、適用を受ける事業年度開始の3ヶ月前までに、国税庁長官に連結納税の承認申請書を提出する必要があります。

4. 適用範囲

内国法人である親法人と、その親法人に発行済株式総数の100%を直接又は間接に保有される全ての内国法人が該当します。したがって、100%子法人の一部のみを選択して連結納税の対象とすることはできません。

5. 地方税

地方税については、連結納税制度はありません。したがって、連結納税グループ内の黒字と赤字の相殺はできず、それぞれの法人で申告納税を行います。また、連結納税の採用に伴って切捨てられた繰越欠損金は、地方税では切捨てられず使用することができます。

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この記事の筆者

あいわ税理士法人 代表社員 公認会計士 税理士

石川 正敏

法政大学経営学部卒。1983年公認会計士2次試験合格。同年、新光監査法人へ入所、以降数多くの企業監査、上場準備、セミナー講師などを経験する。1992年株式会社ビジネス・アソシエイツに参画し、税務部門として藍和共同事務所を設立。2002年あいわ税理士法人に組織変更、代表社員に就任。上場企業・中堅企業を中心に、税務から経営サポートまでプロフェッショナルサービスを展開する。

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