最新経営トピック解説第1回 ~ポスト「金融円滑化法」対応 企業の「真の実力」が問われます!~

2010/11/12公開

「金融円滑化法」、昨年「モラトリアム法案」などと騒がれた法律については、皆さん報道などでお聞きになったことがあると思いますが、この法律は平成23年3月31日に失効することになっていることもご存知でしょうか?

金融円滑化法とは?

正式名称は「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」といって、資金繰りに困った中小企業等から「返済負担を軽くしたい」と条件変更の申し出があった場合、貸付条件の変更にできるだけ応じるべきという「金融機関の努力義務」を課したものです。

金融円滑化法の効果はあったのか?

金融庁の発表によると、同法が施行されてから平成22年6月末までの間に、銀行(全国146行)に対して、約47万件の申込みがあり、その内約39万件(約83%)について条件変更等が実行されています。前評判では、同法の効果に懐疑的な見方もありましたが多くの申し込みと高い実行率から、同法の効果は確実に出ていると考えられます。

申込み実行謝絶審査中取下げ
都市銀行 105,133件 83,459件 2,952件 14,902件 3,820件
地域銀行(※) 363,060件 301,712件 8,637件 38,932件 13,779件
その他銀行 6,622件 5,567件 241件 263件 551件
合計 474,815件 390,738件 11,830件 54,097件 18,150件

(※):地方銀行・第2地銀など
出所:金融庁「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」を元に作成

金融円滑化法と「事業計画」

条件変更を申込むにあたっては、金融機関から将来の「事業計画」を提出することが求められています。しかし、残念なことに「条件変更の承認」のみが目的になってしまい、実現困難かつ改善根拠が乏しい事業計画を作成してしまっているケースも数多くみられ、私たちコンサルタントとしては大変残念な気持ちになります。そもそも、条件変更は最終的な問題解決にはなりません。条件変更という手段で「本質的な問題の先送り」をしてしまうことで、結局、会社は窮地に追い込まれることになるからです。

「ポスト」金融円滑化法 ~企業の「真の実力」が問われる!~

金融円滑化法失効後、一番大切なのは、対外的な目線ではなく、「会社の底力を伸ばすために何をすればよいか?」という原点回帰の視点です。そのためには、「見た目がよい(が中身のない)計画書」ではなく、本当の意味で「会社を成長させる事業計画」を作ることが必要となります。 社長が明確な「ビジョン」を描き、全社員がそれを「共有」し、計画実現のために「動いて」いる会社は、外部環境の変化に適応しながら、自然と強くなるものです。 皆さまの会社はそのような「真の事業計画」をお持ちでしょうか?もし、お持ちでない場合は、今からでも遅くはありませんので、みらいコンサルティングの担当者にご相談ください。

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この記事の筆者

みらいコンサルティング株式会社 代表取締役 公認会計士

久保 光雄

中央大学卒業。日本国有鉄道、(株)海外投資コンサルティンググループ、海外駐在員を経て、78年公認会計士試験合格。中央青山PwCコンサルティング(株)代表取締役を経て、現在、みらいコンサルティンググループ代表、みらいコンサルティング(株)代表取締役。企業変革、再編・再生などの企業戦略コンサルタントとして、数多くの企業でコンサルティングに携わる。

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