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経理業務は効率化しにくい?課題や効率化の方法を解説【事例あり】

2023/9/15公開

経費精算や記帳、決算書類作成など、企業のお金に関する幅広い業務を担う経理部門。社員や売上の増加に比例して業務量が増えるため、経理業務の効率化を図りたいと考える担当者や経営者は少なくないでしょう。専門性の高い業務でありながら、ルーティンワークが占める割合も少なくないため、効率化できれば大きな工数削減効果を得られる可能性があります。

そこで本記事では、経理業務の効率化を阻む課題や、効率化するための具体的な方法を解説します。実際の事例も紹介しますので、経理業務の効率化に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

経理業務の効率化を阻む課題

膨大な経理業務のなかにはルーティン化している作業も多く、工夫次第で大幅な効率化が可能です。しかし効率化したいと考えていても、実際にはなかなか進まず悩んでいる経理担当者の声も耳にします。ここでは、経理業務効率化を阻む4つの課題について解説します。

紙ベースの管理が多い

代表的な経理業務である経費精算や帳票作成・管理において、紙で運用している企業も多く、印刷したりファイリングしたりといった管理の手間がかかっています。ファイルの中から必要な書類を探し出すのも容易ではありません。

承認作業も、書類の手渡しや社内便での紙のやりとりが発生し、印鑑での押印が必要なために時間がかかるなど、業務が止まってしまう原因になりかねません。他の書類に埋もれて忘れられる可能性もあります。

紙の書類がある限り、どれだけ作業スピードを上げてもなかなか効率化できないのが実情です。

属人化しやすい

もともと経理業務は専門性が高く、他の人に代わることが難しいため、属人化しやすい性質を持つ業務です。日々の膨大な作業をスピーディーにこなすためのコツも、業務を継続して行う中で、個々人が身につけていく傾向にあります。

加えて、独自のやり方で業務を行ううちに業務内容がブラックボックス化すれば、効率化されているかどうかが周りから判断できない状態になってしまいます。担当者が不在の場合、他の人が代わりに進められずに業務が停滞、遅延してしまう可能性もあるでしょう。

法改正の影響を受けやすい

法改正によって業務フローや対応方法が変更になりやすい点も、経理業務の効率化を阻んでいます。法改正に対応するためには、業務フローや書類のフォーマットの見直し、社内への周知徹底を行う必要があり、本来の業務に支障が出てしまうからです。

一度効率化に成功した業務でも、法改正の影響でフローが変更になれば、再び効率が落ちる可能性もあることに留意しましょう。

KPIが立てにくい

経理部門をはじめとするバックオフィスの業務は、KPIの設定が難しいとされています。他部門を支援するという、1人で完結する性質の業務ではなく、営業部門のような「売上」「契約件数」といった定量的評価が難しいためです。また、業務プロセスが他者から見えにくいことも要因のひとつと言えるでしょう。

KPIがないと、効率よく業務が行われているかの評価が容易ではないうえ、従業員のモチベーションも保てず、業務改善が進みにくい状態になります。仮に業務を効率化できても、それを評価される仕組みがなければ、現状のやり方を変えてまで効率化する人は少なくなるでしょう。

バックオフィスのKPIについて詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

経理業務を効率化する5つのステップ

経理業務は、さまざまな課題によって効率化が進みにくいと言えます。しかし効率化できないわけではありません。ここでは、自社のリソースを使って効率化を進めるための5つのステップを紹介します。

①業務の洗い出し

まずは現在の経理業務をすべて洗い出し、どのようなフローで行われているのか、またそれぞれにどれだけ工数がかかっているのかを可視化します。名前のないような業務でも、時間がかかっていたり効率化を阻む原因になっていたりする可能性があるため、日々の業務を振り返りながら正確なフローを書き出してみましょう。月次や年次など、決まったタイミングでしか行わない業務も忘れず洗い出します。

②業務の整理

次に、洗い出した業務のなかから不要な作業をなくしたり、二度手間になっている工程を省いたりして、整理していきます。その際に有効なのがECRSの原則です。以下のような視点から業務を見直し、業務フローを最適化していきます。

  • Eliminate(排除):業務をなくせないか
  • Combine(結合):業務をまとめられないか
  • Rearrange(再配置):業務の順序を変えられないか
  • Simplify(単純化):業務をシンプルにできないか

③KPIの設定

業務効率化には、成果を測る指標が必要です。そのため、整理した業務に対してKPIを設定していきます。経理業務はKPIの設定しにくいものではあるものの、「数値化できるものはないか?」と考えKPIを立ててみてください。具体例として、以下のようなKPIが考えられます。

  • 承認にかかる日数を○日削減
  • 給与計算日数を○日削減
  • データ転記ミスを○割削減
  • 月次決算業務を○日以内に終わらせる

④整理したフローに沿って業務を実施

KPIが設定できたら、実際に整理した新しいフローで業務を行っていきます。最初は慣れないため時間がかかるかもしれません。しかし、具体的なKPIを持つことで従業員が目標を追いかけられるようになり、現場のモチベーションも維持しやすくなります

もし業務を行っている途中で気づきがあれば、記録して次の改善に活かしましょう。

⑤モニタリングの実施

業務効率化の成果が出ているのか、出ているならどの程度効率化できたのかを定量的にモニタリングすることも忘れてはいけません。PDCAで言えばCの工程です。その後の改善につなげるためにも、数値で測定できるものは日々記録し、その変化を見ていきましょう。

また従業員からの声も拾い上げ、現場で感じる業務のやりにくさを次の改善に活かすことも大切です。

経理業務を効率化する4つの方法

経理業務の効率化を進める場合、業務単位で作業を最適化することも有効ですが、組織として体制を変えることでより大きな効果を得られます。経理部門として実施できる4つの効率化の方法を見ていきましょう。

ペーパーレス化

経理業務効率化の壁である紙の書類を電子文書に変更することで、煩雑な書類管理や紙からシステム・ツールへの転記作業が不要になります。書類をバインダーへ保管する手間や、間違いがある場合に書類を差し戻して修正してもらう手間などを減らせます。必要な書類を検索機能で探すこともでき、工数の大幅削減が可能です。

改正電子帳簿保存法により、電子取引における証憑はデータでの保管が求められている経緯もあるため、業務効率化とあわせて電帳法対応も進めていきたいところです。

ワークフロー・フォーマットの統一

社内の申請や承認フローが個人間のみで行われている場合、誰がいつ申請・承認したのか、現在どの状態にあるのか把握しにくくなります。経理担当者が誰でもすぐに申請・承認状態を把握できる状態にしておけば、進捗確認や処理漏れのチェック作業の効率化が可能です。

また、取引先へ発行する見積書や請求書などのフォーマットが部署や従業員によってバラバラである場合、経理で処理する際に確認しにくいといった弊害が出ます。必要事項のチェックに時間がかかるうえ、不備があった場合は差戻しが発生し、非効率になってしまいます。

システムなどを用いてフォーマットや申請・承認のフローを統一すると、現状把握もしやすくなるうえ、確認作業工数を削減できるのです。

アウトソーシングの活用

経理業務を効率化する5つのステップの項では、社内のリソースで効率化を進めるケースを紹介しました。ただし、社内リソースが足りない場合はアウトソーシングを活用することで、より効率化が進みます。

アウトソーシングは一部業務のみや、繁忙期のみに活用することも可能です。業務を切り分けて依頼できる場合は、必ずしも社内で完結することにこだわらず、外部に任せることも積極的に考えてみましょう。

事前にどこまでの範囲を依頼できるか調整したり、依頼書を作成したりといった手間はかかりますが、それ以降の業務は大きく効率化できるはずです。

ITツールの導入

ペーパーレス化と同時にExcelや会計システム、経費精算システムといったITツールを導入することも業務効率化の鍵です。Excelはすでに利用している企業も多いですが、データ量が増えるとファイルが重くなったり、複数人で同時に利用するには不向きだったりと、Excelのみで効率化を行うには限界があります。

経理業務の機能を有したシステムならば、知見を持つベンダーによるサポートがあったり、UIも使いやすく整えられていたりするため、各経理業務の効率化が可能です。

経費精算システムや会計システムなど、経理で使用するシステムには主目的が異なるものがあり、効率化できる範囲も異なります。そのため、経理業務全体の効率化を進める場合は、基幹業務を一元管理できるERPの導入もおすすめです。営業部門の経費申請から経費精算までシステム上で完結できたり、仕訳データを作成したりできるため、情報共有や確認の手間を削減できます。

システムを使って経理業務の効率化に成功した事例3選

ここからは、実際にシステムを導入して経理業務の効率化に成功した事例を紹介します。本ブログを運営する株式会社オロのクラウド型ERP「ZAC」を導入したことで、月次決算の早期化や経営判断の精度向上など、社内にプラスの変化が生まれた事例です。

株式会社ピーエスシー様

企業のDXをICTサービスで共創・支援する株式会社ピーエスシー様。同社は、変化のスピードが速いICTサービス業界において、目の前のデータを活用するだけでなく、そのデータから未来を予測する「未来会計」の実現を目標としています。

そのなかで、従来利用していたシステムの保守期限が切れたことを機にZACへのリプレイスを実施しました。ZAC導入により、完全ペーパーレス化を実現し、経理業務で必要なチェックもシステム内で完了できるようになったといいます。また、オフィスでの紙帳票保管スペース削減にも成功しました。

ZACによって、分散していたデータをシステムで一元管理できるようになり、そこで読み解いた情報をもとに「未来会計」を実現する運用の土台ができたとのことです。

共同ピーアール株式会社様

国内最大規模の総合PR会社として、企業・団体の広報やPR活動をサポートする共同ピーアール株式会社様では、かつて、紙ベースでの業務フローが定着していたといいます。経理部門は、年間15,000枚近い帳票をシステムに転記しなければならない状態でした。

ZAC導入後は、営業から経理への情報伝達をすべてシステム上で行えるようになり、経理が伝票を転記する作業が不要になったそうです。その結果、経理部門全員の作業工数を、1人あたり1日1〜2時間削減することに成功しました。

月次決算にも、ZAC内のデータを財務会計システムへ出力して活用。さらに、法改正のたびにシステムがバージョンアップされるため、対応の手間も削減できているといいます。

アップセルテクノロジィーズ株式会社様

独自のAIプロダクトを活用し、企業のインサイドセールス支援を行うアップセルテクノロジィーズ株式会社様。管理会計上の売上計上金額と、財務上の売上計上金額の不一致が発生し、月次決算に手間と時間がかかっていることに課題を感じていたといいます。

そこで、月次決算の早期化を図るためにZACを導入。あわせて、紙帳票を使ったアナログなワークフローの改善も目標としたそうです。

ZACを活用し、案件登録から見積作成、検収書発行まですべてのフローで電子承認を必要とする仕組みを作成。数字の整合性が取れるようになり、経理に正確なデータが回るようになったことで、数字のチェック作業が減り、月初2週間ほどかかっていた締め作業も、月初7営業日ほどで行えるようになったそうです。月次決算が早期化したことで、取締役会に提出する経営資料の作成もスピードアップ。経営判断の精度やスピードの向上にもつながったといいます。

まとめ

バックオフィスのなかでも、専門性の高さや法改正の影響などから効率化が難しいとされている経理業務。しかし、自社が抱える効率化への課題を把握したうえで、手順を踏んで取り組めば、チームひいては企業全体にメリットを与えられます。

紹介した事例のように、効率化の実現にはまずチーム一丸となって現実的なKPIを設定すること、そしてKPIを達成するための適切な手段を選ぶことが大切です。加えて、システムやツールを活用することも経理業務の効率化には有効だと言えます。

KPIを設定しにくい経理業務でも、具体例を知ることで自社に応用できるでしょう。KPI設定に悩んでいる方は、以下からダウンロードできるバックオフィスKPIの資料も参考にしてみてください。

Q
経理業務を効率化する方法は?
A
経理業務の効率化には、以下のような方法が効果的です。
・ペーパーレス化
・承認・申請フローの統一
・アウトソーシングの活用
・ITツールの導入
詳しくは経理業務を効率化する4つの方法をご覧ください。
Q
経理業務の効率化は難しい?
A
経理業務では、業務効率化を阻む課題として以下の4つが考えられます。
①紙ベースの管理が多い
②属人化しやすい
③法改正の影響を受けやすい
④KPIが立てにくい
これらの課題を解決することで、効率化を図ることができるでしょう。詳しくは経理業務の効率化を阻む課題をご覧ください。

今すぐ使える バックオフィスのKPI38選

バックオフィスは定量的な目標設定が難しいとされますが、切り口を変えることで数値に落とし込むことができます。バックオフィスのKPIを設定するためのポイントと、時間/コスト/リスク/学習・成長の4つの軸で考える具体例38選をご紹介します。

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この記事の筆者

ライター

矢野 由起

製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

この記事の監修者

ZAC BLOG編集部

クラウドERP開発・導入の経験から蓄積された知見に基づき、業務効率化・管理会計・原価計算・ERPに関するテーマを中心に、生産性向上に役立つ情報をお届けします。

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