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電子帳簿保存法とは?2020年度の改正でさらなるペーパーレス化へ

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2020/12/25公開

1998年7月に制定された電子帳簿保存法は、2020年10月から運用しやすい制度に改正されました。適用を受けるには事前の申請が必要ですが、電子帳簿保存法を導入することによってペーパーレス化が進むなど、企業にとってはさまざまなメリットがあると考えられます。

これから電子帳簿保存法への対応を検討している企業の経理担当者は、具体的な改正内容を知っておくと、スムーズに導入ができるでしょう。この記事では、2020年10月に改正されたポイントを押さえつつ、電子帳簿保存法の概要を解説します。

目次

    電子帳簿保存法とは?e-文書法との違いも解説

    電子帳簿保存法とは、国税帳簿書類を紙ではなく電子データで保存できるよう定めた法律です。電子データでの書類保存を容認することで、原本の紙書類を破棄できるなど、帳簿管理の負担軽減やペーパーレス推進を目的として制定されました。適用を受けるためには、事前に税務署の承認を受ける必要があります。この法律は1998年に制定されて以降、複数回にわたって改正されてきました。制定当初は、はじめから一貫して電子作成されたものだけが保存の対象でしたが、2005年にe-文書法が制定されたことで、紙の書類をスキャンして保存することも可能になりました。

    e-文書法は、民間の会社運営において紙での保存が義務付けられている文書全般の電子化を認める法律です。ただし上述のように請求書や領収書、損益計算書といった国税帳簿書類の電子化においては、e-文書法よりも要件が厳しい電子帳簿保存法が適用されるため扱いには注意が必要です。

    電子帳簿保存法とe-文書法の主な違い
    電子帳簿保存法e-文書法
    所管 国税庁 内閣府
    対象となる文書 国税(法人税など)に関わる帳簿・書類 国税に関係しない文書・帳簿で、会社法や証券取引法などで保管が義務付けられているもの
    法的な申請および承認 必須 不要

    電子帳簿保存法は、2005年時点では3万円未満の契約書・領収書のみが保存対象であったり、電子署名が必要であったりと、スキャナ保存に関する要件は厳しいものでした。その後、簡便性を確保するために、要件を緩和する改正が行われていきます。

    そして2020年10月に再び改正が行われたのです。

    2020年に改正されたポイント

    では、2020年10月の改正によってどのような変更があったのでしょうか。具体的な2点の改正内容について解説します。

    ①受取手のタイムスタンプ付与の要否

    従来は、書面の発行者側がタイムスタンプを付与した電子書類であっても、受取手側で再度タイムスタンプを付与する必要がありました。タイムスタンプとは、電子データの真実性を確保するための電子的な時刻証明書です。(のちほど「電子帳簿保存法の要件「タイムスタンプ」とは?」にて詳細を解説)

    しかし2020年の改正で、発行者側がタイムスタンプを付与した書面であれば、受取手側はタイムスタンプを省略できるようになりました。

    ②データ改変不可なシステム利用でタイムスタンプの省略ができる

    受取手側で勝手にデータ改変ができないシステムを利用している場合、発行者側のタイムスタンプ付与が不要となりました。例えばクレジットカードの利用明細や、クラウド会計システムに記帳されたキャッシュレス決済などが対象です。

    これらの履歴は受取手側で改変できないので、利用履歴をそのまま証憑として保存できるようになりました。

    電子帳簿保存法でデータ保存できる帳簿・書類の種類

    電子帳簿保存法が適用されるのは、国税帳簿書類です。どのような帳簿や書類が対象なのか具体的に見ていきます。

    保存可能な帳簿・書類

    電子帳簿保存法に基づいてデータ保存が可能な主な帳簿・書類・保存期限は以下の通りです。

    区分主な文書保存期限
    帳簿 現金出納帳、仕訳帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、総勘定元帳、 固定資産台帳 7年
    決算書 貸借対照表、損益計算書
    証憑(書類) 領収書、レシート、見積書、契約書、納品書、請求書

    上記のうち、帳簿と決算書はスキャナ保存ができないので注意しましょう。なお、初めから電子データで管理している場合は、申請の上で電子保存が可能です。

    スキャナ保存する場合の入力期間

    2005年以降、電子帳簿保存法でも証憑や書類に限ってスキャナ保存が認められるようになりました。しかし、スキャナで読み取って入力するまでの期間が定められているので、まとめて一度に処理をするといったことはできません。

    入力期間は入力方式によって異なり、以下の3種類があります。

    入力方式入力期間入力者利用機器
    早期入力方式 書類を受領した日から7営業日以内 受領者以外 スキャナ
    業務処理サイクル方式 通常の業務処理にかかる期間(最長2ヶ月)から7営業日以内 受領者以外 スキャナ
    領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式 受領日の翌日から3営業日以内 受領者本人 デジカメ スマートフォン

    スキャナ保存の申請を行う際には、「早期入力方式」と「業務処理サイクル方式」のいずれかを選択しなければなりません。そのうえでオプションとして選択できるのが、「領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式」です。

    「領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式」は、領収書を受け取った本人がデジカメやスマートフォンのカメラで領収書などを撮影して保存する方法です。証憑や書類にフルネームを自署した上で撮影し、タイムスタンプの付与を行います。この方法を用いる場合は、受領日の翌日から3営業日以内に入力しなければなりません。

    スキャナ保存する場合の入力期間.png

    電子帳簿保存法の申請方法と申請期限

    はじめにお伝えした通り、電子帳簿保存法の適用を受けるためには申請が必要です。申請すべきものとして以下の3種類があるので、必要に応じて準備をしましょう。

    1. 国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請
    2. 国税関係書類の電磁的記録等による保存の承認申請
    3. 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

    ①と②は自社ではじめから一貫して電子作成した帳簿や書類をデータ保存するための申請、③は取引先から受領した書類や自社で作成した書類の写しをデータ保存するための申請です。

    帳簿備付け(またはスキャナ保存)を開始する日の3ヶ月前の日までに税務署へ申請し、承認を受ける必要があります。新たに法人を設立する場合は、設立日以降3ヶ月を経過する日まで(個人事業主の場合は業務開始日から2ヶ月を経過する日まで)に申請しなければなりません。

    電子帳簿保存法の申請方法と申請期限.png

    電子帳簿保存法を適用するために満たしておくべき要件

    電子帳簿保存法の適用を受けるためには、管轄の税務署へ申請する前に一定の要件を満たしておく必要があります。電子データとスキャナ保存の場合、それぞれどのような要件があるのか解説します。

    はじめから電子作成した帳簿・書類の保存要件

    帳簿や書類を電子作成してデータ保存する場合は、「真実性の確保」と「可視性の確保」が要件として求められます。それぞれ以下の5つの詳細要件に分けられおり、申請する前に要件を満たしているかどうか確認しておく必要があります。

    真実性の確保 ①訂正・削除履歴の確保(帳簿) 電子データの訂正や削除を行ったことが記録として残るシステムを利用すること。
    ②相互関連性の確保(帳簿) 帳簿同士の関連性が分かるようにナンバリングするなどして管理すること。
    ③関係書類等の備付け システムや手続きに関するマニュアルを備え付けておくこと。
    可視性の確保 ④見読可能性の確保 保存したデータを速やかにディスプレイや書類に出力できること。
    ⑤検索機能の確保 取引年月日や金額など主要な項目で検索ができ、かつ2つ以上の項目を組み合わせた検索ができること。日付や金額の範囲を指定して検索ができること。

    書類をスキャナ保存する場合の要件

    紙の書類をスキャナ保存する場合は、以下の要件を満たしておく必要があります。

    ①入力期間の制限 早期入力方式または業務処理サイクル方式いずれかの方法で速やかに入力を行うこと。
    ②真実性の確保 タイムスタンプを付与すること、またスキャン機器が一定以上の性能であること。
    ③入力者情報の記録 入力者や監督者の情報を記録しておくこと。
    ④関係書類の備付け 保存するシステムや手続きに関する書類を備え付けておくこと。
    ⑤相互関連性の確保 記録内容と帳簿との関連性が分かるように保存すること。
    ⑥事務処理規程の作成・運用 データの改ざんを防ぐために、相互けん制・定期チェック・再発防止について規程を定め、適切に事務処理すること。
    ⑦見読可能性の確保 保存したデータを速やかにディスプレイや書類に出力できること。
    ⑧検索機能 取引年月日や金額など主要な項目で検索ができ、かつ2つ以上の項目を組み合わせた検索ができること。日付や金額の範囲を指定して検索ができること。

    電子帳簿保存法の要件「タイムスタンプ」とは?

    電子帳簿保存法において重要な要件のひとつであるタイムスタンプとは、電子データの真実性を確保するための電子的な時刻証明書のことです。ある時刻にそのデータが存在していたことと、データの改ざんが行われていないことを担保できることから、真実性の確保に欠かせない要件となっています。

    タイムスタンプは、データを元にハッシュ値(規則性を持って作られた、同じデータであることを証明するための数値)を作成します。そのため、もし現在のハッシュ値とタイムスタンプのハッシュ値が異なる場合は、データが改ざんされていると判断できるのです。

    タイムスタンプを発行できるのは、時刻認証業務認定事業者(TSA)のみであり、事業者を認定しているのは一般財団法人日本データ通信協会となっています。電子帳簿保存法に基づいてデータ保存する場合には、TSAと契約するかTSAと契約した会計システムの利用が必須となります。

    電子帳簿保存法の活用でペーパーレス化を推進

    電子帳簿保存法を導入することで、ペーパーレス化の推進が期待できます。ペーパーレス化が実現できれば、紙の書類を保存するコストや消失リスクを低減でき、テレワークも推進できるでしょう。

    電子化が進む現在の社会に対応して、電子帳簿保存法も適宜改正されていくので、導入する際には改正点を押さえておくことが大切です。

    電子帳簿保存法に基づいて帳簿や書類を保存する場合は、一定の要件を満たさなければなりません。システムを導入しスキャナ保存を行いたいと考えている場合は、要件を満たしているかどうかを判定・認証する電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度(*1)の認証を受けたシステムを利用すると安心です。市販のシステムがすべて電子帳簿保存法に対応しているというわけではないので、対応しているかどうか確認した上で、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    【参考】

    *1:JIIMA 公式サイト 、 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    ZAC BLOG編集部

    この記事の監修者

    ZAC BLOG編集部

    約13年にわたるクラウドERP開発・導入の経験から蓄積された知見に基づき、業務効率化・管理会計・原価計算・ERPに関するテーマを中心に、生産性向上に役立つ情報をお届けします。

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