ERP講座 第2回

ERPのメリット

ERPのメリットは非常に多様ですが、大きく分けると以下の5つだといえるでしょう。

  1. 1.統合データベース
  2. 2.リアルタイム経営
  3. 3.パッケージによるメリット
  4. 4.ベストなビジネスプロセス
  5. 5.内部統制

今回は、ERP導入の各メリットについて解説していきます。

はじめに、ERPの起源は1960~70年代に米国で急速に広まったMRPという製造業において生産計画立案・統制を支援する生産管理システムに由来しています。日本でも時代の流れとともにビジネス環境が変化し、基幹業務・会計・人事・給与・販売を一元管理する管理手法が注目されるようになりました。
ERPコンセプトによる情報システムを構築すると、基幹業務全般の情報インフラの整備や、日常業務で発生するデータの収集・一元管理を実現でき、企業活動全般における各種の意思決定や経営判断を迅速に行えるようなります。基幹情報システムに課題を抱える企業にとってERPのような統合業務パッケージは、企業規模にかかわらず、それはもちろん大手企業だけはなく、中堅中小企業にも最適なソリューションといえます。

1.統合データベース

ひとつの統合データベース

ERPは、従来のシステムでは業務ごとに分断されていたマスターデータ(製品や取引先など)や取引データ(各種伝票など)を、"統合データベース"という考え方で一元管理できます。
統合データベースでは、ある業務処理を実行するのと同時に、その業務に関連するデータがすべて更新されます。

例えば、出荷の際には、関係している販売、在庫、会計などのデータが部門を横断して、すべてリアルタイムに更新されます。
このような、ひとつの動き(モノやカネ)に連動して、関連するデータがリアルタイムに更新される、整合性のとれた仕組みによって、従来のシステム間・部門間の連携の悪さを解消できます。

業務の省力化

ERPと従来のシステムの決定的な違いは、データが一元管理されているか、システムごとにデータベースが用意されているか、という点にあります。

従来のシステムでは、ある案件を受注した際には、販売業務の管理システムに受注データを入力して、請求書を発行した後、改めて会計システムにデータを入力して、売上を計上しなければなりません。このため、同じ情報を複数のシステムに入力するという二重、三重の手間が生じます。

一方、ERPでは、販売業務の管理で受注データを入力すると、そのデータは統合データベースに反映され、他のシステムで再度入力する必要がありません。このため、転記や入力の際のミスがなくなり、正確性が高まります。このように、統合データベースによって様々なデータを一元管理することで、手動で行う作業が最小限に抑えられ、業務の省力化が大幅に進むのです。

業務フローの一元管理

ERPでは、販売、在庫、生産など複数の業務分野をまたがり、処理の「フロー」を提供しています。先にも述べたとおり、例えば出荷の処理を行う際は、販売情報、在庫情報、会計などの関連するデータの更新には整合性がなければいけません。

そのためには当然、複数のユーザーが同時に更新しないようデータロックが必要です。しかし、ロックがレコードやブロック単位であったり、データ間の関連に関係性がないロックであることが多く、これでは物理的なデータベースのロックでは処理フローのロックには不完全です。ERPでは、一元的に関連するデータにロックをかける構造となっており、統合的業務フローを構築できます。

2.リアルタイム経営

経営目線での「見える化」

変化の早いビジネス環境の中で、情報のタイムリー性は非常に重要です。最新の状態を「リアルタイム」で把握し共有することで、情報の「見える化」を向上させます。経営の資源(ヒト・モノ・カネ)についての正確な最新情報を共有し、いつでも利用できることが、経営者の意思決定を支援し、また、企業全体の最適化を促進させます。

計数管理と管理会計

多岐にわたる製品(商品)を複数の拠点で展開している事業でも、ERPによって共通の仕組みでデータが構築されていれば、経営には欠かせない売上や原価などの計数を一元的に管理することが可能となります。

ERPの統合データベースは、売上や原価など様々な計数を、時系列・製品別(商品)・拠点別(営業所)・担当別など様々なセグメントで多次元の分析を行うことができます。管理会計の視点から見ると、このようなOLAP(On-Line Analytic Processing※1)的な解析機能は、経営分析を強力にサポートする有効なツールといえます。

3.パッケージによるメリット

開発コスト削減と期間短縮

企業の基幹業務システムをゼロから構築するには膨大な期間とコストが必要です。自社開発は自社の業務にあわせて柔軟にシステムを構築できるかも知れませんが、「開発期間」と「コスト」を勘案すると、そう簡単にはいきません。

ERPパッケージは自社開発のシステムと比べ、既に構築された製品であり、モデルとなる標準の業務の機能が豊富に組み込まれています。そのため、ゼロから基幹システムを構築するための設計・構築の過程で費やされる時間を短縮することができます。
コストに関してもパッケージなので、開発にかかるコストはもちろん、パラメータ設定によるモジュールの追加など長期的な柔軟性・拡張性があるため、事業や組織の変化によって追加開発やカスタマイズが必要になった場合も低コストでの対応が可能です。また、既存システムや、他パッケージとの連携も容易に行えます。

システムの信頼性

システムを自社開発するときに切っても切り離せない問題が「安定稼働」です。自社開発では安定稼働するまでに長い期間が必要です。パッケージ製品は、多くの企業に導入されている事例やノウハウもあるため、システム導入において安定的な稼働を実現できます。

システム障害や災害が発生することにより、システム内の情報が失われ巨額の損失が発生したり、企業の社会的信用問題に発展したりすることもあります。最近のERPパッケージは、クラウドの環境で使えるシステムもあり、障害やデータ損失に備えたリスク分散など、高い信頼性を備えた製品もでてきています。

4.ベストなビジネスプロセス

ノウハウの共有とBPR

ERPパッケージのベンダーは、それぞれの業種において最も標準的で基準となるビジネスプロセスの知識・ノウハウを持っています。具体的には、業種別のソリューション・テンプレートなど様々な形で蓄積されています。こういったノウハウの蓄積は「ベストプラクティス」と呼ばれており、成功企業のベストプラクティスを自社に比較・活用できる点はERPソリューション導入の大きな目的のひとつでもあります。また多くの企業に導入実績のあるERPソリューションは成功企業の事例を生かした有効なサービスともいえます。

ERPを導入する際、成功企業のベストプラクティスをベンチマークとして、自社の既存プロセスと比較することで、BPR(Business Process Reengineering※2)を実践できます。(BPR詳細は第5回参照)

5.内部統制

2002年エンロン事件をきっかけにSOX法が成立しました。日本でも2006年日本版SOX法が成立し、内部統制の重要性が叫ばれるようになりました。なかでもITでの統制、つまりERPのもつ内部統制機能が注目されています。と言っても内部統制用に特別に機能を備えているというわけではなく、ERPのコンセプトである「業務を最適化」するための機能が内部統制に効果を発揮するのです。

ERPを内部統制の角度からをみると以下の2つがもっとも有効です。

  1. (1)統合データベースでの一元管理によるデータの整合性(重複処理や漏れ)
  2. (2)申請・承認の管理(アクセス権限、承認管理)

ERPは全世界で利用されていることを考えると信頼性も高く、有効に活用することで内部統制が強力にサポートされます。

※1 OLAP

企業が蓄積したデータを直接的に操作し、様々な角度から検索・集計して分析すること。これらのビックデータの活用は戦略情報として企業活動における問題点や解決策の発見に役立つ。ソフトウェアパッケージに比べ、クラウド型基幹業務システムにはOLAP的な多次元分析の機能を兼ね備え、最新情報を活用する製品も多く、企業向けの経営管理ツールとしても有効といえる。

※2 BPR

Business Process Reengineering。業務のプロセスのフローを各タスク、要素に分解し、それを全体的視点から抜本的に再構築すること。ERPシステムなどの業務パッケージを導入する際に実施されることも比較的多い。詳細は第4回第5回を参照。

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