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2層ERPとその活用

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2009/11/20公開

昨今、新たなERPの導入方法、活用方針のモデルとして「2層ERP」(Two-tier ERP)という言葉が注目されています。今回はこの「2層ERP」について、用語の意味やこの考え方が生まれた背景について解説をします。

目次

    グローバル化に伴うERPへのニーズ

    企業の成長・発展に伴い、国内外で支社・拠点を持つグローバルな企業活動が進展していくと、求められる経営管理業務はより高度化・複雑化していきます。本社オフィスにおいては世界各国の様々な拠点における経営データをウォッチし、グローバルなレベルでの経営環境の変化に反応しながら、世界規模におけるリソースの最適化を図っていく必要があるからです。

    しかし、支社・拠点が多くなればなるほど、拠点ごとの経営データの収集は困難を極めます。収集すべきデータフォーマットの統一をするだけでも膨大な手間がかかりますし、また仮にフォーマットが統一されたとしても、データ収集のスピードやデータの正確性を考慮すると、マンパワーによる対応はもはや不可能であると言えます。

    このような課題を解消する手段として、これまではSAPやOracleのような、大企業向け・多国籍企業向けERPを企業グループ全体で導入するという方法が一般的でした。 全ての拠点を同一システムで管理することにより、マスタやデータフォーマットが統一され、各拠点からのデータ収集や加工の手間が削減されることで、経営データの管理面における効率化が期待できました。

    旧来ERPの課題

    一方でSAPやOracleといった大規模ERPを企業グループ全体で導入することには、いくつかの課題も存在しています。

    まず、企業グループ全体で同一のERPを導入することで、一部の支社・拠点によっては業務効率を下げてしまう可能性があるという点です。例えば、本社と違う事業を展開していたり商習慣が異なっていたりする拠点においては、業務フローや管理データの構成が本社と異なる可能性があります。このような拠点でERPを導入すると、業務とシステムのギャップを埋めるためにシステム外の運用が必要になってしまうなど、逆に業務負荷が増えてしてしまうこともあり得るのです

    もうひとつは投資対効果における課題です。支社・拠点によっては、市況の変化や経営戦略の変更によって早期に事業を撤退しなければならない場合も考えられます。そのため、拠点が増える度に(親会社と同等の大規模な)ERP導入に膨大な時間とコストをかけることは不確実性が高い経営判断と言えます。

    このような理由から、グループ全体で同一の大型ERPを導入することは様々なリスクの伴う選択肢とも考えられるのです。

    企業のグローバル化にとって最適な2層ERPモデル

    そこで、前述したようなリスクを伴わずにグループ全体の最適化を図る手段として生まれた考え方が「2層ERP(Two-tier ERP)モデル」です。

    2層ERPモデルとは、2000年代後半から米ガートナー社(※)などによって提唱されてきた考え方です。企業グループの本社で稼働しているSAPやOracleのようなERPを「コアERP」と位置付け、それとは別に企業グループの海外拠点や子会社など事業や拠点単位で、ビジネスのニーズに柔軟に対応できるERPを選定・導入し、コアERPとのデータ連携を図るERPの導入方式です。

    各支社・拠点サイドにおいては、事業やそのエリアの商習慣に適合したERPを利用することができるため、大型ERP導入により懸念された業務効率の低下を防ぐことができます。一方、本社サイドにおいては、コアERPと2層目ERPとのデータ連携を行うことにより、大型ERPの一括導入時と変わらず、グローバルな経営データの早期取得を実現することができます。

    2層目に導入されるERPについては、コアERPとのデータ連携が可能などの条件を満たせば様々な選択肢の中から選定することが許されるため、経営環境の変化やビジネスの不確実性を見越して、ローコストなソリューションを導入することも可能となります。

    ※ガートナー(英: Gartner, Inc.)
    米国に本拠地を置く業界最大規模のITアドバイザリ企業

    クラウドERPの技術進展が2層ERPモデルの採用を促進

    近年、2層ERPのモデルが注目されている背景には、クラウドERPの急速な進化・発展があります。クラウドサービスはメールサービス、グループウェア、SFAなど、主に情報共有系のソリューションにおいて先行して発展を遂げてきました。しかし、近年では、クラウドサービスのセキュリティ面における信頼性や、データ処理能力などのパフォーマンスが向上し、クラウドサービスに基幹業務・基幹データを預けることの不安・リスクは大幅に軽減され、クラウドERPが一般的なものになりつつあります。

    クラウドERPはサーバ購入やITスタッフの雇用といったコストがかからず、従来のオンプレミス型ERPに比べ低コスト・短納期での導入が可能です。更にクラウドERPは、ビジネスの進展、組織の成長にあわせて、スケーラブルに機能拡張やパフォーマンスの増強を柔軟行うことできるため、ビジネスの不確実性が高い海外拠点などで導入する2層目のERPとしては、最適な選択と言えます。

    このような理由から、クラウドERPを利用した2層ERPモデルの採用は日本企業でも今後トレンドとなっていくと考えられます。今後、海外展開を見据えている日本企業にとって、「2層ERPモデル」は重要なキーワードとなるのではないでしょうか。

    国内中規模企業でも活用できる2層ERPモデル

    一般的には多国籍企業や大企業グループを中心に採用されている2層ERPモデルですが、このモデルは国内に展開する中規模の企業グループにおいても活用できる考え方です。

    多国籍企業の場合では、「本国オフィス=コアERP/各国現地法人=2層目ERP」という2層ERP導入モデルでしたが、国内展開の企業グループにおいては「親会社=コアERP/子会社・関連会社=2層目ERP」というERP導入が考えられます。つまりダウンサイズされた2層ERPモデルとなります。

    ITの目覚ましい発展により、近年では企業規模や、業種・業態に特化した財務会計システムやERPパッケージが数多く開発・販売されています。またその中には、2層ERPモデルにとって相性のよいクラウド型を採用しているシステムも数多く見られ、おそらく今後もますます増えることが予想されます。

    このような背景から、今後は国内展開の企業グループにおいて「グループ全社の業務を同一システムで管理する」 という考え方から、「グループ各社の業務にフィットする最適なシステムを採用し、コアERPとシステム間連携を行う」という、2層ERPモデルの採用にトレンドがシフトしていくのではないでしょうか。

    2層ERPモデルを採用すべき企業とは

    2層ERPモデルの採用が効果的な企業グループとしては、グループ内にビジネスの内容や業務フロー、経営管理指標が大きく異なる関連企業を抱えているような企業があげられます。

    例えば、企業グループ内で卸・小売のような商社系の事業会社と、システム開発のような制作・開発系の事業会社が存在するグループがこれにあたります。商社系事業では業務を遂行する上で詳細な在庫管理やサプライチェーンマネジメントが非常に重要となりますが、制作・開発系事業では、プロジェクト管理や従業員の工数管理、生産性分析が重要となります。そのため業務システムに求められる機能も当然異なってくるのです。

    上記のようなケースの場合、グループ全体で統一のシステムを導入してしまうと特定の企業における業務負担が極端に増加したり、生産性の低下経営管理の非効率化等へとつながる危険性があります。このようなリスクを回避する方法として、2層ERPモデルの採用は極めて効果的な手段となるのです。

    2層ERPモデル構築を支援する「ZAC」のご紹介

    本記事のまとめとして、クラウドERPを活用した、国内企業グループにおける2層ERPモデルの導入事例をご紹介させていただきます。

    前述の通り、近年2層ERPモデルが注目されている背景には、従来のオンプレミス型ERPに比べ、低コスト・短納期での導入が可能なクラウドERPが急速に進化・発展している点があげられます。クラウドERPはサーバ購入やITスタッフの雇用といったコストがかからず、ビジネスの進展、組織の成長にあわせて、スケーラブルに機能拡張やパフォーマンスの増強を柔軟行うことできるため、2層目のERPとしては最適な選択と言えます。

    オロが提供する「ZAC」は2層ERPモデル構築に必要な要素の揃ったクラウドERPとして、組織の2層ERPモデル構築を支援しています。ZACはクラウドで提供されるため低コスト・短期間での導入が可能となり、柔軟な機能設計により導入企業それぞれの事業や業務フローにマッチしたシステム環境を構築することが可能です。また、財務会計システム、給与システム等、各種システムとのデータ連携機能も搭載されているため、親会社が持つコアERPとの親和性も高いソリューションです。

    ZACを活用した2層ERPモデルの構築事例

    親会社の指定する会計システム=コアERPに対して、自社の業態にフィットするZACを2層ERPとして導入し、データ連携をはかることで最適なシステム構築を実現した2層ERPモデルの成功事例をご紹介します。

    株式会社デジタル・メディア・ラボ 導入事例

    【図解】8ページでざっくりわかるERPの選び方

    そもそもERPとは?といった最初の疑問から、クラウドとオンプレミスの違い、機能一覧、メリットデメリットまで、8ページにわかりやすくまとめました。

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    ZAC BLOG編集部

    この記事の筆者

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    クラウドERP開発・導入の経験から蓄積された知見に基づき、業務効率化・管理会計・原価計算・ERPに関するテーマを中心に、生産性向上に役立つ情報をお届けします。