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いまさら聞けない管理会計の基礎 ~財務会計と管理会計の違い~

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2012/10/02公開

これから、シリーズとして管理会計をテーマに執筆を進めてまいりたいと思います。

まず第1回目として、しばしば管理会計で話題となっているテーマで「財務会計と管理会計の違い」について考えてみたいと思います。

目次

    もともとの会計は一つのツール

    本来、会計とは経済的な取引をお金の形式で記録し、集計し、報告する一連の行為をいいます。古くは企業の経済的活動が始まった時代から(少なくとも江戸時代の大福帳会計の起源が見られます。

    この意味で会計は、事業者が自己の事業の業績と財産の状況を経済的に評価する活動という意味で、経営のツールとして使われてきたものと言えるでしょう。事業が継続性を有するようになり、年に1度の「決算期」を作り出すことによって、経営者は一会計期間の企業業績と決算期末の財政状態を正しく理解した上で次に打つ手を考えることができるようになったわけです。あるいは月次決算に注目すれば、毎月の決算を締め事業戦略に照らし現状を分析し、次に打つ手を決定することが会計の本来の役割であるともいえるのではないでしょうか。

    財務会計(財務報告会計、制度会計)は社会制度が会計を応用したもの

    経済の拡大とともに信用経済が発展し企業向け金融を円滑に運営するため、また、出資を募りその出資の顛末を説明するために、企業は自らの業績結果及び財政状態を説明する義務を負うことになりました。この背景は法的な義務というよりも経済的信頼関係を維持するために求められた「社会インフラ」として要求されたものと考えられます。この出資者と出資受託者の関係を「受託者責任」と言いますが、この関係は法によって規定されたものというより経済的な信頼関係に基づくものと言えるでしょう。

    我が国においては、債権者及び株主の利益を保護する会社法(旧商法)、投資家の利益を保護する金融商品取引法(旧証券取引法)による企業会計の規制があり、また、法人所得を企業決算から算定する「確定決算主義」の観点から、税務当局もまた企業会計を規制しています。これらの仕組みにより企業会計のトライアングルが成立したとも言われ、我が国では「財務(報告)会計または制度会計」と呼ばれる仕組みが成立しました。

    経済成長期-右肩上がりの時代には、両者の区別は気にならなかった

    作れば売れる高度経済成長の時代には、売上優先と生産優先の両輪で企業の成長は保証されてきました。この時代には「集中と選択」は論点にならず、事業の拡大を目指すことが最優先されてきました。かような時代にあっては、企業会計は制度会計が主流であったと言えるでしょう。

    もちろん高度成長期でも、中期的な事業計画や予算経営も原価管理も運用されてきました。特に原価管理は製造現場の生産能力向上のツールとして有効に活用されてきたことは紛れもない事実であり、モノづくりが強調される現代にあっても重要な企業課題です。

    そして現代-管理会計と財務会計の交流の時代へ

    経済の成長が成熟期に差し掛かり、企業の知的財産が利益の源泉であることが社会の共通認識となった現代では、会計を管理会計と制度会計に分離して考えることは果たして意味のあることでしょうか。

    企業経営においては、法制度や税制度が求める以上、制度会計を無視することはできません。しかし、会計を企業経営に取り戻す工夫は、かような経済環境であるからこそ求められるのではないでしょうか。他方、一般投資家に企業内容を理解してもらうためにも要約をした上で企業情報を提供する価値があるとも言えます。この意味で管理会計と財務会計は相互に交流する時代が到来しつつあるのかもしれません。

    会計は経営のツールであるという原点に立ち返り、会計を経営者のための情報として企業の中で積極的に活用する場面は少なからずあろうかと思われます。管理会計を「制度会計以外のすべての会計情報」と理解すれば、大きなテーマとなりますが、これからしばらく、管理会計をテーマに執筆を進めてまいりたいと思います。

    最後に制度会計(財務会計)と管理会計を比較したエッセンスを述べて今回のまとめとしたいと思います。

    • 期間業績はその期間の売上と費用及びその差額の利益によって表現される。売上は受注獲得の成果であるが、制度会計では受注や引き合いは表現されない。
    • 財政状態は一定時点で決算を組むことによって表現される。業況によって決算を組まなくとも資金繰りがわかることがあるが、それでは遅い。
    • 数値目標の数値が現場にわかるように噛み砕かなければ理解できない。それを経営者にわかりやすく、かつ迅速に伝えることが求められる。
    • 会計の数値だけでは経営はできない。会計数値と現場の管理指標を繋いで初めて経営管理が整う。
    • 管理会計は指標を求める。「社長・役員の手帳」に事業の成功の指標がある。
    • 企業のリスクをモニターすることで逸失利益を失わずに済むことができる。

    【BRO編集部解説】財務会計・管理会計の役割

    ※以下は、BRO編集部による解説文です。

    企業会計といえば財務会計と管理会計に分類されますが、これらは経営管理において重要な情報となります。

    財務会計(制度会計)は株主、債権者、投資家、取引先など企業外部の利害関係者に対する会計情報の提供を目的とします。外部に企業の財務データを公開することから、社会的影響が大きく、情報の正確さが求められます。

    一方で管理会計は、企業内部の経営者や管理者が、経営の意思決定や業績管理に役立てることを目的としています。業績評価や経営状態の把握、戦略立案、経営計画の策定のための基礎的な情報となるため、財務会計とは異なるアウトプットが求められます。

    「原価計算」を例にあげると、財務会計においては、商品の原価を計算し、仕掛品や中間製品などの適正な評価金額を算出することが中心となりますが、管理会計においては、企業活動で発生するすべての原価を把握し、部門別や商品別、時間あたり原価などを算出し、経営分析や経営改善につなげることが中心になります。

    このように財務会計と管理会計の要件は異なるため、それぞれの本質を押さえた企業会計の仕組み(経営管理システム)を導入することは企業に大きな利益をもたらします。財務・会計業務においては、市販の会計ソフトなどを導入することで必要な情報を得られ、業務効率の大幅な向上が見込めます。管理会計は企業独自の基準や考え方、ツールで実施されることも多いため、情報を様々な角度で閲覧・検証できる適切な管理会計システムが大きな威力を発揮します。

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    橋本 智明

    この記事の筆者

    BDO三優監査法人 マネージャー 公認会計士

    橋本 智明

    元大手監査法人にて上場準備業務、国内監査、外資系監査業務のほか、企業統合支援、上場準備企業の公開支援、管理会計構築に携わる。大手証券会社出向時に資本政策・事業承継対策・株式公開支援を経て、大手監査法人に戻り、国際・国内会計監査に携わる。現在、三優監査法人にて、国際会計基準(IFRS)対応業務、上場支援業務、決算業務の効率化、管理会計構築、事業統合支援業務のほか、オーナーのための事業承継対策等アドバイザーとして担当。日本公認会計士。中央大学商学部卒。

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