【建設コンサル向け】プロジェクト管理とは?方法やツールを解説

2026/4/03公開
インフラ建設の企画から設計、調査、施工管理、維持管理まで、幅広い業務を担う建設コンサル業では、適切なプロジェクト管理が欠かせません。とはいえ、プロジェクトは長期にわたることが多く、また複数案件を掛け持ちしていることもあるため、メンバーの工数や原価の実績値の把握など、プロジェクトの進捗を把握しにくいものです。
そこで本記事では、建設コンサル業におけるプロジェクト管理の目的やコツ、おすすめのツールについて紹介します。建設コンサルでプロジェクト管理に悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。
目次
建設コンサルにおけるプロジェクト管理とは
建設コンサル業でのプロジェクト管理とは、インフラ建設や都市開発などの企画から施工完了後の維持管理までを、スケジュール通りかつ予算内で進めるために行われるものです。
発注者である国や地方自治体と、実際に施工を行う建設会社との間に立ち、業務内容の整理や調整、技術的な判断を担う立場です。そのため、多くの関係者と連携を取りながらプロジェクトを進めなければなりません。
そのような建設コンサル業で行うプロジェクト管理は、主に以下のような目的があります。
納期までにプロジェクトを終わらせるため
まずは、国や地方自治体が計画したインフラ工事や都市計画を、スケジュール通りに終わらせることがプロジェクト管理の目的です。プロジェクトの計画を立てて各工程の進捗を管理するなかで、遅れが出そうな場合は工程の順序を調整したり、作業量を増やしたりして早めに対策を取る必要があります。
特に建設コンサルでは、複数の業務を並行して進めるケースも多く、進捗や実績工数を正確に把握できていないと、気づいたときには納期が差し迫っていることも少なくありません。
納期に間に合うようプロジェクトを進めるには、実際にかかった工数や進捗を正確に把握することが肝要です。
予算内で効率よく進めるため
インフラ建設のプロジェクトには材料費や人件費、外注費などの予算が決まっています。 もし予算がオーバーしそうであれば、計画段階で無駄なコストの削減を図り、予算内でプロジェクトを完了できるよう計画しなければなりません。
材料や工法の変更、作業の追加などによる予算の上振れに対応するためにも、プロジェクト管理は欠かせないのです。
関係者との調整・情報共有を円滑にするため
上述の通り、インフラ建設には国や地方自治体、建設会社といった複数の関係者が存在します。スムーズなプロジェクト進行のため、調査から工事まですべての関係者と連携を取りやすくすることが、プロジェクト管理の目的の一つです。
情報共有や調整がスムーズでないと、手戻りや追加作業が発生し、結果として納期の遅れや工数増加につながる恐れがあります。こうした事態を防ぐためにも、定期的な会議や進捗管理ツールを活用して円滑に連携することが重要です。
建設業のプロジェクト管理との違い
建設コンサルと建設業は、名前が似ているものの、それぞれで担う業務は異なります。そこで、建設業のプロジェクト管理と建設コンサル業のプロジェクト管理の違いを解説します。
建設コンサル業のコストの大半は技術者の作業時間が占めるため、工数管理がプロジェクト管理をうまく進めるうえで重要になる点に留意しましょう。
契約形態
- 建設業:請負契約が中心(「工事(仕事)の完成」と「完成品の引き渡し」に対して対価が支払われる)
建設コンサル:請負のほか、一部準委任契約(「業務の遂行」と「特定の期間に適切に業務を行ったこと」に対して払われる)もある
建設コンサルタントは、発注先の役所の職員の代わりに現場の補助や積算を行うこともあり、建物・設計図の完成だけが業務ではないという特徴があります。
プロジェクトの流れと成果物
- 建設業:設計 → 調達 → 施工 → 検査 。成果物は建物(モノ)
- 建設コンサル:調査 → 解析 → 計画 → 設計 → 報告。成果物は技術サービスの提供
建設コンサルは、建設プロジェクトの初期から完了後までに関わるものの、実際の施工を行うわけではなく、建設にまつわる技術サービスを提供する点が特徴です。
管理するコスト
- 建設業:材料費、重機費、外注費、労務費など複合的な原価
- 建設コンサル:技術者の"工数単価 × 作業時間"がほぼすべて
建設業では実際にかかる材料費や重機のコストも管理対象になりますが、建設コンサルの場合は技術サービスを提供するため、技術者の作業工数がコストの大半を占めます。
建設コンサルのプロジェクト管理の流れ
上述のように、建設業と建設コンサル業のプロジェクト管理には異なる点が多く、似て非なるものです。そのため、建設コンサル業には専用のプロジェクト管理フローが必要となります。
以下にプロジェクト立ち上げ後の具体的なプロジェクト管理の流れを解説するので、参考にしてください。
①スケジュール・実行予算の決定
まずはプロジェクトの工程を細分化し、どの工程にどれだけリソースが必要かを検討します。そのうえでスケジュールや予算を決定します。
クライアントである行政側からの希望を加味しつつ、関係者にとって無理のないプロジェクト計画を立案することが重要です。また、建設コンサル業では長期間に渡る案件も多いことから工事進行基準や原価回収基準による計上方法を採用していることも多いため、月ごとの正確な売上予定を見積もるために将来に渡って発生しうる見積原価を正しく計算することも重要となります。
②工程・作業の割り当て
スケジュールや予算が固まったら、工程表に割り振っていきます。①で細分化した工程(作業)とその期間を、納期までにどう進めていくべきか考えて割り当てましょう。このとき、社内の人的リソースも確認・調整して割り当てを行います。
③進捗確認
実際にプロジェクトが始まったら、計画していたスケジュールや予算通りに進んでいるかを定期的に確認します。長期プロジェクトであることが多いものの、リアルタイムな工数や費用を把握し、細かいスパンで予実の差を確認しておくことが重要です。
そうしなければ、後々になって大きなギャップが生じていることに気づき、手遅れになる恐れがあります。
④計画の修正
建設プロジェクトでは、工程を進めていくうちに判明する地盤の問題や天候の影響などを大きく受けるため、計画通りに進まないケースも多々あります。遅れやズレが生じた場合は、原因を確認し、必要に応じて都度作業スケジュールと予算計画を見直しましょう。納期に間に合うよう、かつ品質を担保した状態で、計画を修正することが大切です。
建設コンサル特有のプロジェクト管理の悩み
あらゆる業種においてプロジェクト管理は必要なものです。ここでは、建設コンサル業が抱えやすい悩みや管理上の難しさを紹介します。
工数管理が複雑化しやすい
建設コンサルは、担当プロジェクトで幅広い業務を担います。例えば、工事を行う場所へ出向いて現地確認(踏査)を行ったり、多くの関係者と連携をとるため打合せを行ったりと、業務工程の多さが特徴的です。
そのうえ、複数のプロジェクトを同時に進めることも多く、プロジェクトごとの業務にかかっている工数を正確に把握しにくいという難しさがあります。プロジェクトの遅れを把握するために必要な工数管理が複雑になるのです。
原価をタイムリーに可視化しづらい
建設コンサルが扱う案件の多くは、国や地方自治体など官公庁の入札によるものです。入札金額の範囲内でプロジェクトの予算を計画しなければなりませんが、正確な工数管理が難しいこともあり、原価管理をタイムリーに行いにくくなります。
加えて、受注段階では正確な原価見積もりを行うのが難しく、プロジェクトを進めるうちに原価が嵩み、プロジェクト完了後に赤字になっていたという事態も考えられます。建設コンサル業でかかるコストの多くが人件費であるため、タイムリーな工数を把握したうえで原価計算を行い、着地見込みを算出できる状態にしておくことが理想です。また、作業を外部に委託する場合、外注費のコントロールも重要となります。
関係者間の情報共有が煩雑
建設コンサル業では、発注者側は地方自治体や公共機関、施工業者、測量会社など多くの関係者とやり取りをします。
そのため、書類や口頭での連絡だけでは誤解や抜け漏れが発生しやすく、プロジェクト全体の進行に影響することもあります。
紙ベースの業務が多く作業効率が悪い
建設現場は業務の性質上、紙の書類や図面のやり取りが紙中心になりがちです。手元で紙の書類を見ながら作業することが慣習になっており、そのほうが作業を進めやすいと感じる人もいるかもしれません。
しかし、紙の情報はリアルタイムで更新できないため、情報の確認や修正に時間がかかってしまいます。
複数プロジェクトの進捗を把握しづらい
同時進行で複数の建設プロジェクトを抱えている場合、各現場の進捗や問題点を把握するのが難しくなります。上述した工数管理や原価管理の難しさ、紙ベースでの業務慣習によって、リアルタイムで情報を収集しにくい状況におかれるのです。
その結果、各プロジェクトの進捗や課題を十分に把握できていない状態のまま複数案件を管理することになり、全体像が見えなくなって判断が後手に回りやすくなります。
建設コンサルのプロジェクト管理を成功させるコツ
上記のようなプロジェクト管理の難しさを抱える建設コンサルですが、プロジェクト管理に成功している企業もあります。ここからは、建設コンサルがプロジェクト管理をスムーズかつ正確に実施するためのコツを紹介していきます。
進捗とコストを定期的にチェック
計画に対し、案件単位だけでなく、工程や作業レベルで進捗とコストを確認することが重要です。早期に予実の差異を発見できれば、進捗遅れや予算オーバーを防げます。対策が必要な場合も、迅速に検討して対策を実施できます。
情報共有を強化する
建設コンサル業では、施工者や発注者など関係者が多く、情報共有が難しいことは上述の通りです。つまり、関係者との情報共有を適切に行えれば、それだけプロジェクト管理が円滑化し、プロジェクトを成功させることにつながります。
リスクを事前に想定して対策を準備
プロジェクトを進めるなかで発生しうるリスクを、あらかじめ想定しておくことも重要です。突発的なトラブルも発生しますが、過去のプロジェクトなどからある程度のリスク予測ができるようにしておくといいでしょう。
例えば、地盤条件の違いによる設計変更や、発注者・外注先との調整に時間がかかるケースなどは、過去事例から想定しやすいリスクです。そのようなリスクをあらかじめ想定しておくことによって、トラブルが起きてもスムーズな対処が可能となります。
トラブルによる工程の遅れを最小限にできるため、プロジェクトを納期までに計画通り進めやすいのが強みです。
適切なツールやシステムを活用する
建設コンサルのプロジェクトでは、特に工数管理を中心とした原価管理が重要です。この管理を紙に頼ると管理が煩雑になり、進捗やコストの把握が遅れがちになります。
手軽に利用しはじめられるExcelや、本格的に管理できる建設コンサル業向けのシステムなど、プロジェクトに合ったツールを活用することで、情報の一元管理が可能になり、効率よくプロジェクトを進められます。
建設コンサル業のプロジェクト管理は、建物や設備を完成させることが目的の施工会社向けシステムの前提とは異なる部分があります。そのまま導入すると工数管理や原価管理が合わない場合があるため、業務に適したシステムを選ぶことが大切です。
建設コンサルのプロジェクト管理におすすめのツール
ここからは、建設コンサル業におすすめのプロジェクト管理ツールを紹介します。現在の管理方法を見直したい、これからツールやシステムを導入しようと考えているならぜひ参考にしてください。
Excel
手軽に始められるプロジェクト管理なら、Excelが便利です。進捗表やガントチャートを作成して工程を可視化したり、コスト管理の簡易表を作ったりすることができます。
ただし、複数プロジェクトや関係者が増えると更新作業が大変になり、情報のヌケモレや共有の遅れが起こりやすくなる点には注意が必要です。
プロジェクト管理システム
複数プロジェクトや関係者の管理を本格的に行いたい場合は、建設プロジェクト管理システムがおすすめです。進捗・コスト・人員などの情報を一元管理でき、関係者間でリアルタイムに共有できます。
導入に費用や期間はかかりますが、運用が軌道に乗れば、プロジェクト管理の精度や大幅な効率アップが図れるはずです。
建設コンサルのプロジェクトの管理ならZAC
建設プロジェクトは、複数の現場や関係者が関わるため、進捗やコスト、人員など管理すべき情報が多く煩雑になりがちです。本ブログを運営する株式会社オロのクラウド型ERP『ZAC』を使えば、建設プロジェクトで扱う情報を一元管理できます。
ZACはプロジェクト型業務を行う企業向けのシステムであり、案件管理に特化した機能を持っているため、複数プロジェクトの進行状況もひと目で把握できる点が強みです。これにより、情報の抜け漏れや進捗遅れ、工数・コスト管理の手間を大幅に軽減できます。オプション機能で、工事進行基準や原価回収基準といった新収益認識基準に対応した計上管理や、作業工程別の進捗管理等も可能です。
他にも、過去の実績を遡れるため次の案件に向けた分析に活用できたり、スマホ対応のため社外に出ていてもリアルタイムに管理できたりと、建設コンサル業に最適な機能を備えています。建設コンサル業にありがちな課題で悩んでいるなら、ZACの利用をおすすめします。
まとめ
私たちの生活に欠かせないインフラの設計・整備に携わる建設コンサルは、多くのプロジェクトを抱えることになるうえ、各プロジェクトで幅広い業務を担います。多くの関係者と連携を取りながら、工事を納期・予算内に完了させるためには、プロジェクト管理が欠かせません。
建設業と建設コンサルは、担当する業務や扱う範囲が異なります。特に建設コンサルでは多くの関係者と調整しながら、長期にわたるプロジェクトを管理する必要があるため、特有の難しさが存在します。
それぞれの難しさを解消し、ポイントを押さえてプロジェクト管理を行えば、効率的かつ正確な現状把握が可能です。工事もスケジュール通りに完了しやすくなるでしょう。そこで重要なのが、自社にあったツールやシステムの導入です。
ZACのような、建設コンサルのプロジェクト管理に適したシステムを利用し、管理の手間を減らすことで、より正確でリアルタイム性のある管理を実現できます。











