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買掛金と未払金の違いとは?分類するメリットと仕訳の例を紹介

買掛金と未払金の違いとは?分類するメリットと仕訳の例を紹介
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2024/4/12公開

「買掛金」や「未払金」は、企業が商品やサービスを購入し、後払いで支払うような掛け取引で用いられる勘定科目です。この2つの勘定科目は、購入したものや取引の内容によって区別されます。

買掛金と未払金は混同されやすいため、どのように使い分けるのかを理解しておくことが重要です。
今回は買掛金と未払金の違いや分類する理由、具体的な仕訳例について解説していきます。

目次

    買掛金と未払金の違い

    買掛金と未払金はどちらも商品やサービスを購入し、代金を後日に支払う際に使用する勘定科目です。購入した商品やサービスが通常の営業活動に関わるものである場合は買掛金、営業活動以外で発生した単発的な取引の場合は未払金となります。

    例えば、パソコンを製造している企業の場合、仕入れた部品代や外注加工費は買掛金として仕訳しますが、営業活動に関係しない事務用品や消耗品などは未払金として処理します。

    貸借対照表において、買掛金と未払金はどちらも流動負債に該当し、短期的な財務上の安全性や支払い能力を判断する際に用いられます。流動負債とは1年以内に支払わなければいけない債務のことで、他にも短期借入金や支払手形などが該当します。

    買掛金とは

    買掛金とは、営業活動に関わる取引で発生した費用を、後からまとめて支払う際に用いる勘定科目です。営業活動に関わる取引とは、本業で販売する商品やサービスに関わる原材料や商品の仕入れ、外注加工などのサービスが該当します。

    掛け取引とは

    買掛金は掛け取引に当てはまります。掛け取引とは、一定期間における商品やサービスの代金をまとめて決済する取引を指す用語です。

    買掛金とは反対に、商品やサービスを売り後日支払いを受ける際は、売掛金という勘定科目を使います。営業活動に関わる商品やサービスの支払いを受ける場合は売掛金、営業活動以外の支払いを受ける場合は未収入金と呼びます。

    掛け取引は、取引先ごとに後からまとめて支払いを行うので、都度代金のやり取りをする手間がかからない点がメリットです。売り手にとっては、支払いまでの間に買い手側が倒産してしまうと売上金を回収できないリスクがあるため、信頼関係の上に成り立つ取引と言えるでしょう。

    未払金とは

    未払金とは、未払いの費用のうち、営業活動以外において単発で発生した費用のことです。具体的には事務用品や備品の購入、社用車の購入、販売促進のための広告費などが該当します。 返済期限が1年を超える未払金は長期未払金と呼ばれ、固定負債になります。

    未払費用とは

    未払金と似た勘定科目に、未払費用があります。未払費用は、営業活動に関わる取引以外で発生した費用のうち、定期的に支払う費用に用いる勘定科目です。具体的には家賃や雇用契約を結んでいる従業員への給与、保険サービス料金、土地の賃借費用、借入利息、リース代、毎月の通信費などが該当します。

    各勘定科目の違いは次のとおりです。

    区分取引
    買掛金 営業活動に関わる取引において、商品やサービスを購入した際に発生した費用
    未払金 営業活動以外の取引において、単発で商品やサービスを購入した際に発生した費用
    未払費用 営業活動以外の取引において、継続して商品やサービスを購入した際に発生した費用
    売掛金 営業活動に関わる取引において、商品やサービスを売った際に後日支払いを受けるもの
    未収金 営業活動以外の取引において、商品やサービスを売った際に後日支払いを受けるもの

    買掛金と未払金を分類する理由

    どちらも将来的に支払いが予定されている買掛金と未払金ですが、それぞれ分けて区別するのには、主に以下のような理由があります。

    貸借対照表に記載するため

    決算書のひとつである貸借対照表において、買掛金と未払金は分けて記載する必要があります。貸借対照表は決算時に税務署へ提出することが義務付けられており、銀行で融資を受ける場合にも必要な書類です。

    貸借対照表を見ることで、特定の時点における企業の財務状況を確認できます。負債の部は将来返済が必要な金額を示しており、現状を正しく把握するためにも、買掛金と未払金をそれぞれ明確に分類しておくことが重要です。

    貸借対照表について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

    損益計算書(P/L)とは。貸借対照表(B/S)との違いや分析方法を解説

    会計上の問題を把握しやすい

    買掛金と未払金を分けて管理しておくことで、会計上の問題を把握しやすくなります。例えば流動負債が増加して経営状態が悪化している場合、買掛金と未払金を分けていればどちらが悪化の原因か判断できます。原因がどちらにあるのかわかれば、それに応じた対応策を取ることが可能です。

    流動負債の中でも買掛金が増加している場合、まずは売掛金と買掛金のバランスが悪くなっていないかを確認します。買掛金だけ増加している場合は、仕入量や金額の引き下げを検討する必要があるでしょう。また、資金繰りを悪化させないために、取引先へ支払いサイクルを延ばせるか相談するといった対応も考えられます。

    流動負債増加の原因が未払金だった場合は、単発の支払いがその期間に重なっていただけであることも多いです。過去同期間の未払金と比較し、継続して未払金が増えているようであれば、削減できる出費がないか検討できます。

    買掛金や未払金の支払いが滞ってしまうと取引先からの信用を失い、取引を中止される可能性があります。買掛金と未払金を分けて管理し、正確な会社の会計情報を把握することは、資金ショートなどのトラブルを未然に防ぐ上で重要です。

    商品・サービスの価格設定に役立つ

    買掛金と未払金を分けることで、商品やサービスの原価を把握しやすくなり、適切な販売価格の設定に役立ちます

    買掛金は自社の営業活動に関わるものに対する費用です。商品を生み出すためにかかる原価となるため、商品の生産量や販売量に連動します。一方で未払金は販管費や営業外の支払いを含んでおり、基本的に商品の生産量や販売量と連動しません。

    買掛金を未払金と分けることで、商品やサービスそのものを生み出すのにどのくらいの費用が掛かっているかを把握しやすくなるのです。

    買掛金と未払金の仕訳例

    ここからは、具体例を用いて買掛金と未払金をそれぞれどのように仕訳するのか見ていきましょう。

    買掛金の仕訳

    まずは、買掛金の仕訳例です。仕入を計上するタイミングが「商品が出荷された時点」「商品を受け取った時点」「商品の検収を終えた時点」のどの時点なのかは企業によって異なります。

    例えば、商品30,000円を取引先から仕入れ、翌月末日までに代金を支払う場合の仕訳は次のとおりです。

    • 仕入 30,000 / 買掛金 30,000

    その後、代金を支払った際も仕訳を行います。 商品30,000円分の買掛金を普通預金から支払った際の仕訳は次のとおりです。

    • 買掛金 30,000 / 普通預金 30,000

    支払い時の仕訳により、貸方にあった仕入れ時の買掛金が相殺されます。

    未払金の仕訳

    次に未払金の仕訳例です。 例えば10,000円の消耗品を購入し後日代金を支払う場合、次のような仕訳になります。

    • 消耗品費 10,000 / 未払金 10,000

    次に、後日代金を普通預金から支払った際に次の仕訳を行います。

    • 未払金 10,000 / 普通預金 10,000

    以上の処理で、貸方と借方の未払金が相殺され、仕訳は完了です。

    買掛金・未払金を管理する方法

    買掛金や未払金の件数が多くなればなるほど、管理が煩雑になり経理の業務負担は増えてしまいます。支払いのミスを未然に防ぐためには、適切な方法で買掛金や未払金の残高や支払期日を管理し、支払った際に正しい会計処理ができているかを確認する必要があります。

    買掛金・未払金の管理方法をひとつずつ見ていきましょう。

    Excelで管理表を作成する

    管理方法のひとつが、Excelでそれぞれの管理表を作成する方法です。

    管理表には「取引先名」「請求月」「請求日」「支払い日」「金額」「残高」などを記入し、一件ずつ取引を管理します。 自身でフォーマットを作成したり、テンプレートを用いたりすれば、コストをかけずに作成できる点がメリットです。

    一方で、一件ずつ手打ち入力する必要があるため、記入漏れや入力ミスといった人為的ミスが起こる可能性もあるので注意しましょう。

    会計ソフトを利用する

    会計ソフトを利用することで、より正確かつ効率的な買掛金・未払金の管理が可能です。日々の取引に関わる仕訳を会計ソフトに登録することで、買掛金元帳などに自動で反映されるため、転記漏れやミスの防止が期待できます

    また、販売・購買管理ソフトと会計ソフトを連携することで、買掛金・未払金を含めた仕訳の自動分類も可能です。

    買掛金を使った経営分析

    買掛金を使い経営状況を把握する方法として、買掛債務回転期間と買掛債務回転率という2つの指標があります。自社の債務の状況を把握することで、経営の健全性を測ることができます。

    買掛債務回転期間

    買掛金回転期間は、買掛金の支払いが完了するまでの平均日数を表す指標です。事業の短期的な安全性や支払い能力を判断する際の分析に用いられます。 計算方法は次のとおりです。

    • 買掛債務回転期間(日数)=買掛債務÷(売上原価÷365日)

    回転期間が長いほど資金繰りは楽であり、短いと苦しくなります。主に、自社の属する業界の平均値と比較して高すぎないか、低すぎないかを確認するために利用されます。

    買掛債務回転率

    買掛債務回転率は、買掛金の支払いがどれほど効率的に行われているかを表す指標です。 次の計算式で求められます。

    • 買掛債務回転率 =(売上原価 ÷ 買掛債務)×100

    回転率は一般的に数値が高いほど支払いまでの期間が短く、低いほど支払いに時間がかかっていることを示します。自社の過去の回転率と比較し、下がっている場合は資金繰りが悪化している可能性があります。

    回転期間、回転率ともに自社の過去の数字と比較して、異常値が出ていないか確認することが重要です。

    まとめ

    買掛金と未払金の仕訳は頻繁に発生する業務であり、決算書のひとつである貸借対照表にも記載される項目です。正確に記帳するためには、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。

    買掛金と未払金を正しく分類できれば自社の債務状況がわかり、会計上で問題が発生した際も迅速に対応できます。まずは、Excelの管理表や会計ソフトを使用し、日々発生する買掛金・未払金の管理をスムーズに行えるようにしておく必要があるでしょう。

    経理の業務は、日々の仕訳の他にも、毎月の経費精算や決算業務など多岐にわたるため、ツールやシステムを有効に使い、効率化を図ることが重要です。下記よりダウンロードできる、毎月の経理業務を効率化するポイントをまとめた資料「月次決算攻略ガイド」もぜひ参考にしてください。

    取引先への支払いを遅延や問題なく行い、決算書をスムーズに作成するためにも、日頃から買掛金と未払い金を正確に管理し、自社の経営状況をタイムリーに把握できるようにしておきましょう。

    Q
    買掛金と未払金の違いとは?
    A
    商品やサービスを購入した際に、営業活動に関わるものかそうでないかで分けられます。 未払いの費用のうち、営業活動に関わる取引は買掛金、営業活動に関わらない取引は未払金となります。詳しくは買掛金と未払金の違いをご覧ください。
    Q
    買掛金と未払金はなぜ分ける必要があるのか?
    A
    買掛金と未払金はともに貸借対照表に記載する必要があることが理由のひとつです。さらに、費用を分けて管理することで、経営状態が悪化した場合に会計上の問題を把握しやすくなります。詳しくは買掛金と未払金を分類する理由をご覧ください。

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    この記事の筆者

    ライター

    仲本 友晃

    銀行勤務の後、ITベンチャー企業にて経理、人事労務、総務といった幅広い業務に従事。持病をきっかけに会社を退職し、持病と付き合いながら働く方法を模索してWebライターとしての活動をスタートする。現在は主に金融、労務、転職に関する記事執筆を行っている。

    吉井 惇

    この記事の監修者

    株式会社オロ クラウドソリューション事業部 マーケティンググループ長/Reformaチーム長

    吉井 惇

    2013年株式会社オロに新卒入社。クラウドERP「ZAC」の新規営業、人事採用担当を歴任。現在はZACの姉妹製品「Reforma PSA」のプロダクト責任者および、「ZAC」マーケティンググループのグループ長を兼任している。