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新収益認識基準、いつから何が変わる?をわかりやすく解説

新収益認識基準、いつから何が変わる?をわかりやすく解説
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2021/4/06公開

2021年4月から始まる会計年度から一部の企業が強制適用になる新収益認識基準について、皆さんはどのくらい理解されていますか?本記事は新収益認識基準についての概要把握を目的として、「新収益認識基準」というワードを初めて耳にされた方はもちろん、要点だけ押さえておきたいという方向けにもわかりやすく解説しています。本記事を読み終えた頃には、新収益認識基準の概要の理解が進んでいるでしょう。是非、ご自身の業務に関わる箇所だけでも一読いただき、皆さんのお力になれましたら幸いです。

目次

    新収益認識基準とは?

    新収益認識基準は売上に関して「どのように認識し、財務諸表上にどのように反映するのか」を定める新しい基準です。冒頭でも述べましたが、新収益認識基準は2021年4月から始まる会計年度から強制適用になる会社があります。 「適用対象」となる会社はどういったものがあるのでしょうか。以下、簡潔に要件を列挙します。

    会社法(第2条)による会社の分類

    • 大会社 適用対象
    • 大会社以外の会社 任意適用

    大会社とは、以下の要件を満たす会社のことを指します。
    ・最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上
    ・最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上

    上場(予定)の有無

    • 上場会社 適用対象※子会社・関連会社を含む。
    • 上場準備会社 適用対象 ※子会社・関連会社を含む。
    • 上場予定のない会社  任意適用

    ここまでの話を図にまとめると下記のようになります。

    《新収益認識基準の適用対象~早見表~》
    上場会社上場準備会社上場予定のない会社
    大会社 適用対象 適用対象 適用対象
    大会社以外の会社 適用対象 適用対象 任意適用

    新収益認識基準の適用対象になっている場合、財務諸表に記載する売上収益の金額などに影響があります。そのため、新収益認識基準の適用にあたり影響を受ける範囲は、会社全体になります。 もし上記の早見表上、貴社が新収益認識基準の適用対象となっている場合、具体的に「貴社の業務にどういった影響があるか」確認が必要です。おおまかに以下の手順で対応を進めていきましょう。

    1. 自社で発生する取引の整理
    2. 発生する取引が、どの程度新収益認識基準の適用要件に該当するかの確認
    3. それぞれの取引に適切な会計処理を検討
    4. 2021年4月以降に開始となる会計年度の会計処理に適用

    ※本記事では、上記手順の1番と2番を中心に扱っています。また、3番に関連する内容も一部記載しますが、詳細の内容については貴社会計士や監査法人とご相談ください。

    新収益認識基準が導入される背景

    具体的な細かい内容に入る前に、ここで新収益認識基準が導入される背景について整理しておきましょう。 今回の新収益認識基準対応が求められている背景には、IFRS-15の適用があります。「顧客との取引による収益の認識に関する新しい基準」がIFRS-15(IFRS 第15号)です。

    新収益認識基準はIFRS-15の考え方を取り入れた会計基準のため、IFRS-15への理解が非常に重要です。 今まで日本の会計基準をもとに収益を計上していた企業は、IFRS-15で定められている新しい収益認識基準で収益の計上を行なう必要があります。

    IFRSとは

    IFRS-15で定められている「収益の認識に関する新しい基準」とは具体的にどのようなステップで考えていくのでしょうか。以下で具体的にみていきましょう。

    新収益認識基準のおさえておくべきポイント

    今までの収益認識基準は企業ごとに判断が異なることがありましたが、今回IFRS-15の適用によって、収益をどのタイミングでいくら計上するのかを以下の5段階のステップ(過程)に分けて行っていきます。ステップを着実に踏んでいくことで、新収益認識基準に沿った収益認識がなされますので、しっかりと理解されることをおすすめします。

    • ステップ1 :契約の識別
    • ステップ2 :履行義務の特定
    • ステップ3 :取引価格の算定
    • ステップ4 :履行義務への取引価格への配分
    • ステップ5 :履行義務の充足による収益の認識

    それぞれのステップについて、具体的に細かくみていきましょう。

    ステップ1:契約の識別

    まずは、顧客との契約を特定します。契約を考える際には、自社のサービスにどういうものがあるかを視点に整理していただくの良いです。契約を交わす事により、売り手側は買い手から対価を受け取る代わりにサービスを提供する義務が生じます。また、買い手は対価を渡すことで売り手からサービスを受ける権利を得ることができます。現在自社にどういった契約が存在するか確認しましょう。

    ステップ2:履行義務の特定

    次に、履行義務の特定をします。ステップ1で識別した契約を履行義務という観点から、どういったサービスを顧客へ提供していくのか細かく確認します。履行義務とは、売り手の企業にとって「サービスを提供しなければいけない」という契約上の義務のことを指します。たとえば、クラウドシステムを開発・販売しているベンダーであれば、クラウドシステムのライセンスの納品であったり、保守サービスの提供などをそれぞれ履行義務として特定します。

    ステップ3:取引価格の算定

    取引価格とは、顧客へ約束された商品またはサービスを移転した(提供した)際に、売り手の企業が受け取ると予測している対価の金額のことです。たとえば、月額のライセンスであればその金額、年額のライセンスであればその金額を算定します。また、商品販売時に有効期限つきのポイント付与をするケースも、このタイミングで価格を算定しておくのが良いでしょう。(但し第三者の代理人として回収する金額は、このタイミングでは取引価格からは除外します。)

    ステップ4:履行義務への取引価格への配分

    顧客へ移転される商品またはサービスが複数存在する場合、ステップ2で特定した履行義務ごとに、ステップ3で算定した取引価格を配分します。履行義務ごとの取引価格として定義がされていないサービスについては、今回を機に検討が必要な箇所になります。

    ステップ5:履行義務の充足による収益の認識

    いよいよ収益の認識に関するステップです。収益の計上は履行義務の充足によって行われますが、少し分かりにくいので別の表現をしますと、「商品またはサービスを顧客に移転した時点」で履行義務が充足されたとみなし、収益を計上します。たとえば、以下の場合が移転に該当しますので、参考にしていただけると幸いです。

    • 企業が提供したサービスにより、資産に対する支払いを受ける権利を獲得した場合
    • 顧客が提供されたサービスにより、法的な側面から所有権を獲得した場合
    • 提供したサービスが物理的に顧客へ移転した場合

    履行義務の充足による収益の認識

    つまり従来は、企業によって「出荷基準」や「検収基準」で収益認識(収益の計上)をしていましたが、今回の新収益認識基準の適用により、履行義務が充足されたタイミングで収益認識を行います。たとえば、クラウド製品の販売を行っている場合、前述の履行義務ごとにサービスの収益認識を行う必要があります。複数のサービスを同時に提供する場合は、履行義務が充足される時点はいつなのか把握しておくと良いです。

    クラウド製品のライセンスの場合、従来は初月に一括計上していた収益が今後は月々の計上になります。 また、商品販売時に有効期限つきのポイント付与やクーポンを発行をするケースは、販売時とポイント使用時(クーポン使用時)に分けて考える必要があります。

    新収益認識基準の適用により、ポイントやクーポンは商品本体とは分けて、独立した取引とされるため(履行義務の特定)です。 これまでは、ポイント付与やクーポンの有無に関わらず商品価格を収益として計上できましたが、今後は履行義務の特定後、商品本体とポイントやクーポン適用額がそれぞれ独立した履行義務と定義される場合は、商品価格から将来的に適用される金額を差し引いた金額が収益となります。

    新収益認識基準への対応

    自社に新収益認識基準を適用する際には、大きく以下の段階に分けて進めることをおすすめしています。

    1. 現状把握
    2. 方針検討(現状の運用フローの見直しや、対応システムの選定など)
    3. 実行(変更後のフロー運用開始や、選定システムの導入開始)
    4. 運用定着

    以下に内容を簡単に記載します。

    段階概要内容
    1 現状把握 現状の業務フローを確認します。「自社にどのような契約があり、それぞれの履行義務を正確に把握」します。また、現状システムを導入されている場合は、システムの仕様上、収益認識の変更に耐えうるのか、あるいは機能追加をしなければいけないのかを検討する必要が出てきます。
    2 方法検討 「履行義務の充足」の考え方を主軸として、契約ごとに方針を検討します。顧客視点に立った時に、その契約によって顧客が便益を受け取れると判断が出来れば、その単位で売上計上を適切なタイミングで行なわなければいけません。現状利用しているシステムでの管理が出来なければ、対応するシステム選定も必要になるでしょう。
    3 実行 業務フローへの変更が必要であれば、それ相応の人員確保が必要です。システム導入を実行する場合は、ベンダー企業とも協力しながらプロジェクト体制を組み、対応していくのも良いと思います。また、スケジュール管理も必要ですので、段階1でお伝えした「現状把握」で、具体的な対応期日を敷いておきましょう。システム導入に関しては、旧システムとの通常並行稼働期間を設けることが多いため、前もってスケジュール調整を行うことが重要です。
    4 運用定着 新しい業務フローが定着、あるいは新しいシステムが本稼働を迎えた後も気を抜けません。月次処理や四半期決算、年次決算を進める中で正しいタイミングで売上計上がなされているか、計上された売上額は正しいか確認が必要です。

    新収益認識基準への対応の進め方

    まとめ

    いかがでしたか。 本記事は、新収益認識基準についての概要把握を目的として、代表的な考え方を述べてきました。「新収益認識基準」というワードを初めて耳にされた方にとって、大枠を掴んでいただくきっかけになれば幸いです。 また、大枠を理解いただいた後は、具体的に自社で適用が必要な契約や取引について把握し、必要に応じて業務フローの見直しやシステム導入が必要になります。是非一度、会計士や監査法人とも相談の上で貴社の新収益認識基準対応を進めていただければと思います。

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    森田 啓嗣

    この記事の筆者

    株式会社オロ クラウドソリューション事業部カスタマーサクセスグループ

    森田 啓嗣

    2016年4月に株式会社オロに入社し、「ZAC」のセールス、システムエンジニアを経験した後、現在はカスタマーサクセスとして、既存顧客へのオンボーディング支援や業務改善提案、カスタマイズ提案を実施。過去に自動車産業に関わる「触媒」の研究をしていた経験があり、ビジネスの現場で自身が優れた「触媒」となり、顧客にとって最善の化学反応を提供していきたいと考えている。カスタマーサクセスとして担当した既存顧客は、100社を超える。

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