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「第2の利益」こそが成長継続の源泉

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2011/1/31公開

株式会社プロネットの代表取締役である高橋廣司氏は、公認会計士として新日本有限責任監査法人などの監査法人に35年在籍し、多くの企業で株式公開を支援してしました。その経験に基づき、企業収益には「第1の利益」と「第2の利益」があり、「第2の利益」こそが、企業の永続的な成長を支えると提言しています。
20社以上の上場準備支援、1500社以上のショートレビュー経験にもとづき概念化された「第2の利益」について、また、「第2の利益」を生みだす具体的な経営管理手法についてお伺い致しました。

目次

    『第2の利益』とは何か?

    ──高橋さんが提唱する「第2の利益」とは何のことなのでしょうか。

    高橋:「第1の利益」「第2の利益」は私の造語ですが、経営理念や事業目標、中長期事業計画、つまり、どのような"事業基盤"を持つかによって決まるのが「第1の利益」です。一方の「第2の利益」は、事業計画を予算に落とし、販売・購買・在庫など各業務を実行する中でPDCAサイクルを回し、管理から捻出するものです。言うなれば、管理のための管理ではなく、"管理から利益を取る"という考えです。

    ──どのような経緯で「第2の利益」に着眼するようになったのでしょうか。

    高橋:私は20社以上の株式公開(IPO)をお手伝いしてきましたし、ショートレビュー(監査法人が契約前にIPO準備企業の実態を調査すること)に携わった企業は何百社に上ります。そうした企業でIPOに向けて管理体制を整備していくと、ほぼ必ず収益が増します。埋もれていた「第2の利益」が顕在化したわけです。これは何もIPOに関係なく、一般企業の体質強化に使える視点だと気付いたのです。

    ──どのようにすれば「第2の利益」が得られるのでしょうか。

    高橋:「第2の利益」には2つの側面があると考えています。それは「機会利益の獲得」と「機会損失の回避」です。前者は"収益力"、後者は"リスク回避力"を高めるとも言えます。我々は、静態的な業務の仕組みとして「組織・販売計画・取引条件・債権管理」の4つ、動態的な業務サイクルとして「新規・受注・販売(出荷)・請求・回収」の5つ。この9つの業務項目を2つ側面に当てはめて分析していきます。

    第1の利益と第2の利益

    『第2の利益』を生みだすために ~「機会利益の獲得」と「機会損失の回避」

    ──「機会利益の獲得」の具体例を教えてもらえますでしょうか。

    高橋:例えば、「新規」が挙げられます。統計を見みても、ショートレビューでの経験から言っても、ほとんどの中堅企業は新規開拓に力を入れておらず、その業務システムも受注以降を対象にしています。いくら経営者が「新規を何%伸ばしないさい」と言っても、個々の営業マンは自分の予算を達成するため、自分が得意なもの、金額が大きいものを売り、手間のかかる新規開拓を熱心にやりません。何の手当もしないと新規は伸びません。機会利益を獲得できていないわけです。

    そこで我々が指導するのは、まず、その企業にとって「新規品とは何か」「新規客とは何か」を定義することです。その上で、新規客には専門の営業部隊を当て、既存客では新規品と既存品で営業担当者を分ける。つまり、新規班と既存班で人も予算も人事評価を変えるのです。新規開拓は手間がかかって疲れます。そのため、既存の予算は持たせず、インセンティブを与える必要がある。銀行など一部業種では当たり前のことなんですが、中堅企業ではほとんど考慮されていません。

    ──人の行動パターンに注目しながら管理体制を築くわけですね。

    高橋:日々の業務は人のマインドが動かしています。それを手当していく必要があります。例えば、営業マンは見込み情報を報告したがらない。報告すると上司に確定をせっつかれ、失注すれば責められるからです。ところが、見込み情報を組織で共有していないと、本来は組織で攻めるべき重要案件を見逃したり、失注した原因を分析できません。よって見込み情報のABC管理が重要になるわけですが、失注しても責めない、逆に突然の受注報告は咎めるという慣習が必要でしょう。

    また、受注プロセスの1つに価格設定がありますが、「当社は最低15%の粗利を取るよう指示しています」などと言う経営者が多い。そうすると、何としてでも受注したい営業マンは必ず、最低の粗利15%で価格を設定します。単純に「最低15%」と指示したら15%以上の粗利は取れません。「このランクの顧客には何%」など細かい指示が必要です。私が指導した年商300億円のスーパーマーケットでは、こうした販売価格の見直しで粗利を1%改善しています。これも機会利益の獲得です。

    ──「機会損失の回避」では、どのような例がありますか。

    高橋:例えば、イケイケの成長企業はIPO準備でもしない限り、「信用限度」のことを真剣に考えません。本来、1日でも回収が遅れたら未回収。貸し倒れを想定して営業を停止しなければいけませんが、そうした管理がなされていない会社は、入金がなくても1週間やそこら放置したままです。業績が厳しい会社は、容易に信用を与えてくれる管理体制の弱い会社と取引したがるので売り上げは伸びます。それでドカンと数千万円規模の貸し倒れに遭う。それを補うのに何倍の売り上げが必要か。そういう考えで「機会損失の回避」を実現する管理体制を指導しています。

    『第2の利益』を生み出す前提条件 ~粗利ベースの利益管理とPDCA

    ──「第2の利益」を得るための管理体制で基本となるのは何ですか。

    高橋:前提として、売り上げから直接費と間接費を差し引いた粗利ベースで利益管理を行うべきです。それもセグメント、部門、顧客、営業マン、製品・案件などの別で細かく見る必要があります。それには原価計算はMUST、システム化は不可欠です。明確できめ細かい指示を出す「事前利益統制」と実績を検証する「事後利益統制」の組み合わせにより問題点を洗い出し、月次でPDCAを回していく。この継続こそが「第2の利益」を生み出し続けるエンジンとなり、企業の成長を支えます。

    真のプロフェッショナルたちによる経営支援を通じて、起業家を輩出したい

    ──最後に、現在高橋さんが取り組まれている活動について教えてください。

    高橋:現在は株式会社プロネットという会社を設立し、様々な分野における真のプロフェッショナルたちの結集による、経営のトータル支援サービスを行っています。
    このサービスを始めるきっかけとなったのが、監査法人在職中に関わった、起業家輩出を目的としたEOY(Entrepreneur of the year japan:アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン)です。EOYは、新たな事業領域に挑戦する起業家の努力と功績を称える国際的な表彰制度で、 世界中で活躍する起業家(アントレプレナー)たちを紹介することで、後に続くアントレプレナーの輩出を支援することを目的とするものです。

    その活動を通じて、これからの日本経済が発展し、再び成長軌道に乗るためには、日本からも多くの起業家が輩出される必要があるということ、そのためには、起業家が輩出される社会基盤が必要であるということを痛感いたしました。監査法人時代には、株式公開支援業務を含む様々な業務を通して起業家のサポートに携わって参りましたが、その中で、これからの情報氾濫社会において私たち専門家に求められるのは、特定分野に限った専門的な知識ではなく、企業経営に係る多くの分野にまたがる専門的な知識を個々のニーズに即した形で適時適切に提供していくことだ、との考えに至りました。この考えをもとに起ち上げたのが、株式会社プロネットです

    今後は、プロネットを通して、経営者の皆さんをサポートする様々な分野のプロフェッショナルたちをネットワークで結び、経営承継をはじめとした、IPOやM&Aなど、起業家が直面する問題に対する「トータル支援サービス」の提供を行い、正解のない企業経営の中で、これから難しい舵取りを担っていく次世代経営者を支えていきたいと願っています。

    ──本日はありがとうございました。

    高橋 廣司

    株式会社プロネット 代表取締役

    高橋 廣司

    1949年東京都生まれ。明治大学卒。中央監査法人、新日本有限責任監査法人で公認会計士として株式公開の支援業務を中心に活動し、20社以上の上場準備支援、1500社以上のショートレビューを経験する。多くの成長企業支援の経験から、管理体制の構築から生まれる「第2の利益」と呼ばれる概念を提唱する。2011年株式会社プロネットを設立。現在は代表取締役を務め、様々な分野のプロフェッショナルを結集して、企業家たちの経営承継のストーリー作りから経営承継計画の立案と実践までをトータルでサポートしている。日本ベンチャー学会理事。

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    高橋 廣司

    この記事の筆者

    株式会社プロネット 代表取締役

    高橋 廣司

    1949年東京都生まれ。明治大学卒。中央監査法人、新日本有限責任監査法人で公認会計士として株式公開の支援業務を中心に活動し、20社以上の上場準備支援、1500社以上のショートレビューを経験する。多くの成長企業支援の経験から、管理体制の構築から生まれる「第2の利益」と呼ばれる概念を提唱する。2011年株式会社プロネットを設立。現在は代表取締役を務め、様々な分野のプロフェッショナルを結集して、企業家たちの経営承継のストーリー作りから経営承継計画の立案と実践までをトータルでサポートしている。日本ベンチャー学会理事。

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