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2025年の崖とは?今のうちに知っておくべきDXの話

「2025年の崖」に向けて、2020年のうちにIT部門がやるべきこと
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2019/11/26公開2021/1/14更新

会社の上司や同僚から「2025年の崖」の話を聞いたり、経済産業省が出している文字ギッシリの資料を見たという人も多いのではないでしょうか。どうやらなにかが2025年に起こるらしい、しかし「結局2025年の崖ってなんなのかよく分からない、何が問題なの?」「 自分たちに関係ある?」 と、どこか他人事のように思っている人がほとんどだと思います。しかし、改めて問題を詳しく知ると、案外身近に迫っている問題であることがわかります。では対策として何をすればいいのか。今から準備できることがないか考えていきましょう。

目次

    2025年の崖とは?

    2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」*。その表題に記載されたフレーズが「2025年の崖」です。
    現在の日本企業の多くは旧式の基幹業務システム、いわゆるレガシーシステムを利用しています。この既存のシステムは会社の事業部門ごとに独立して構築されていることが多く、全社横断的なデータ活用ができないことが大半です。また現在ではほとんど使用されなくなったプログラミング言語をそのまま利用していることもあります。人材不足もあいまって老朽化しても直すことができず、運用や管理自体も困難な状況に追い込まれるのが2025年頃とDXレポートで報告されています。企業がレガシーシステムを維持するためのコストは年間約12兆円とも試算されており、日本経済にとって大きな損失となると経済産業省は警鐘を鳴らしています。

    参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)

    「DXレポート」が指摘する課題

    DXレポートは簡易版でも40ページに及ぶため、読むのも一苦労。DXレポートではなにが問題であるといわれているのか、ここで簡単にみていきます。

    DXとはそもそも何か

    DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略語で、デジタルテクノロジーを駆使して経営の在り方やビジネスプロセスを「再構築」する、という概念です。既存のサービスやシステムに、クラウドやAIなどを利用することとは少し異なります。つまりDXとは技術的なことではなく、デジタル技術を使った経営や働き方自体の変革を指します。例えばミーティングを行うために毎日満員電車に乗って出社していたのが、ビデオ会議の技術により離れた場所から参加できるようになる。こういったことがDXの実現例といえるでしょう。伝統的な仕組みを、デジタルテクノロジーを駆使して作り替え、俊敏かつ柔軟に変化できるようにすること。これがDXの考え方です。

    コロナ禍で加速したDX

    2020年は、新型ウイルスコロナウイルスの感染拡大防止のため、「新しい生活様式」としてテレワークの導入が推進されました。今もなお、在宅勤務を行っている企業も多いのではないでしょうか。テレワークが普及したことにより、対面での営業活動からWeb商談にシフトし、飲食業界においてもデリバリーやドライブスルーといったサービスが重要視されるようになりました。対面で会うことや「密」を避け、Webを中心とした新しいビジネススタイルが誕生し、ビジネスプロセスのDX化は加速していきました。しかし、社内に蓄積したデータを活用する経営におけるDXは未だに多くの企業で進んでいないのが現状です。

    デジタル競争の敗者に

    現代のビジネスにおいてデータを集積したり活用したりすることは当然のプロセスであり、企業経営やマーケティングの基盤ともいえます。しかしレガシーシステムのままではデータを全社で集約することができず、市場の変化に対応したビジネスを展開することが難しくなってしまいます。DXを実現してデータ活用したくても、古いシステムは複雑なカスタマイズが重ねられ肥大化しているため、「なに」をいじると「どこ」にどんな影響が出るか分からない。こうした「ブラックボックス化」した状態では、せっかく手元にある膨大なデータを活かせず、デジタル競争の敗者になってしまうことが危惧されます。

    自社システムがブラックボックス化する仕組み

    なぜ、2025年がターニングポイントなのか?

    DXレポートによると、2025年には21年以上運用している基幹システムが国内で6割を超えると推測されています。その背景にはかつて「BPR(Business Process Reengineering)」ブームをきっかけにERPをはじめとした基幹システムが普及したことにあります。当時の日本では「基幹システムに合わせて業務を変える」というスタイルが根付かず、アドオン・カスタマイズを重ねて、自社の業務に合う独自性の高いシステムをつくり、運用するようになりました。現在ではレガシーシステムといわれ、年を重ねるごとにシステムの運用は複雑になり、保守費用は高額になっています。
    「2025年の崖」は1990年後半~2000年代にかけてのいわゆるERPブームにのって、導入したシステムを刷新せずに使い続けている企業への警鐘ともいえるでしょう。あわせて、後述する人材不足という問題とも時期が重なることから、2025年に焦点が当てられています。

    人材不足、技術不足

    2025年には日本の人口の4人に1人が高齢者となると推測されています。このことにより、システム担当者の定年退職や介護に従事するために転職する人が増えることも予想されます。つまりシステムの全容を知る人間が、どんどん現場からいなくなっていくことを意味します。IT人材の不足は容易に想像ができますし、保守運用の担当者が減ることでサイバーセキュリティの事故やシステムトラブル、データ損失などのリスクが高まるでしょう。
    Windows7のサポート終了や5G実用化といったデジタルイベントにより、さらに発展したAI技術や自動運転といった革新的な技術が多く登場してくることが予想されます。このような状況下で、古いプログラミング言語を利用し続けていては新しい技術に対応できないというリスクがあげられています。こうした問題は企業のDX実現を阻害し、時代の変化に即した事業戦略に企業ITがついていけなくなる原因になると考えられています。

    参考:今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~(厚生労働省)

    2025年の崖から落ちるのは誰か

    では、具体的にどの業種の企業に関係してくるのでしょうか。大きなことを言ってしまえば、どの業界のどの企業もすべて関係があると言えます。いまや業種問わずITに触れずに業務を行える企業はありません。しかしながら、DXレポートによれば85%以上の企業でレガシーシステムが残存していると報告されています。

    また新規参入業者はより新しい基幹システムを利用している一方で、老舗の企業であればあるほどレガシーシステムを利用している可能性が高くなります。
    しかし、古いシステムを刷新して新しいシステムを導入することは、口で言うのは簡単でもなかなかすぐにできることではありません。慣れ親しんだツールを最新のものに変えることは、仕事のやり方自体が変わってしまうことを意味します。新しいやり方に慣れるまで生産性が下がることもあるでしょうし、導入によって一時的には現場に負担がかかることもあるでしょう。
    では、さしあたってどう行動していけば良いでしょうか。まずは企業の経営陣が、レガシーシステムを使い続けること自体が危機的状況であるという認識を持つことが重要だと同レポートは指摘しています。DX実現を目指せなければ、レガシーシステムの管理コストは膨れ上がる一方です。またシステムが事業部門や業務ごとに分断されている状況では全体を俯瞰した組織的な最適化が困難になり、データ活用ができません。これは企業にとって大きな痛手であるということを理解し、社内で危機感を共有していくことが大切です。

    2025年の崖に向けて、今からやるべき3つの対策

    自分たちのすぐそこに迫っている崖から落ちないためにはどうすればいいのでしょうか。いまからでも始められることがあるか見ていきましょう。

    DX推進指標に沿って行動計画を立てる

    経済産業省では「DX推進指標」というチェックリストを策定しています。このチェックリストを使って自社のDXに対する現在位置を把握し、何から始めるべきかを確認しましょう。指標は35項目からなり、DX推進の枠組みや、ITシステム構築についての体制など、現在の日本企業が直面している問題やその解決のために押さえるべき事項がわかるようになっています。

    DX推進指標

    本当に必要な業務機能を突き詰める

    まず行うことは、現行システムの調査です。なぜなら、自社の業務に本当に必要な機能はほんの一部である可能性があるからです。見直してみれば開発はしたけれどほとんど使っていない機能が数多く見つかるでしょう。実際に、2017年にレガシーシステムを刷新した日清食品は8割近くのシステムを捨てています。そうして残ったものは今の業務を支えるシステムとなります。全部新しいものに切り替えるのではなく、システムの中で「刷新」「追加」「維持」「廃棄」という部分を明確にすることが大切です。あわせて業務フロー図の作成を行いながら、自社の業務手順に独自の特殊な処理がないか確認し、業務フローを標準化できる部分とできない部分を明確化しましょう。標準化できる範囲が多ければパッケージシステムを活用したシステム刷新も検討できます。

    新技術導入の検討をする

    システム刷新は莫大なコストや時間がかかることなので、個社独自仕様のシステムを組み上げて保守性が悪くなるなど「再レガシー化」しないよう、十分に考慮したうえで計画的に進めましょう。その上で、いまの業務の中にAIやIoTなど最新技術も含めたデジタルテクノロジーをどう適用できるかを検討する必要があります。また「業務を知っている人」と「技術でできることを提案できる人」が一緒になって取り組めるよう、DX推進の組織を立ち上げるなど社内の体制構築も欠かせません。こうした社内基盤を作り上げた上で、新しい基幹システムはどのようなものが最適かを検討していくことが重要です。

    補助金・税制優遇措置制度など、企業が活用すべき公的な支援

    DX化を推進する上で、新しい基幹システムの導入が必要になった時に、積極的に活用したいのが補助金・助成金、税制優遇措置制度といった公的支援制度です。まずは具体的に「どのような支援制度があるのか」「どのようなITツールが補助の対象になるのか」ということを知ることがとても重要になります。実際にシステム導入時に中小企業で利用されている、代表的な補助金・税制優遇措置をご紹介します。

    IT導入補助金

    IT導入補助金とは、中小企業、小規模事業者などが生産性向上のために導入するITツールの購入費用の一部を補助するものです。パッケージシステムなどが補助対象となっており、補助額は30万円以上150万円未満です。また、事務局が定める「IT導入支援事業者」に登録されている会社が提供するITツールであること、ハードウェアやスクラッチ開発のシステムは補助対象外となるので注意が必要です。

    2021年1月現在、公募は実施されていませんが今後の公募に備え、事業計画をまとめるなどの準備を始めましょう。

    参考:IT導入補助金最新情報

    中小企業経営強化税制

    中小企業経営強化税制とは、基幹システムのようなソフトウェアや産業機械といった、経営力向上につながる新規設備投資を行う際に活用できる税制優遇措置です。規定を満たしている中小企業や小規模事業者が対象となり、新規設備投資の費用を経費として処理できる(即時償却)または設備投資額の10%(資本金 3000万円以上、1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択することができます。ソフトウェアであれば、70万円以上が対象設備となります。税制上の優遇措置を上手く活用し、設備購入時の税負担を軽減しましょう。

    参考:中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」

    まとめ

    DXというのは、新しいものを求めるあまりに、今あるものを捨てなくてはならないような印象があるかもしれませんが、そうではありません。いまあるデータを活用しさらに新しい価値や仕組みを生み出すためのものです。確かに大きなコストがかかる中長期的な問題ではありますが、補助金や税制優遇措置などの公的な支援策について積極的に情報収集し、可能な限りの公的支援策を活用することがコストダウンに繋がります。

    2025年の崖問題を対岸の火事だとは思わず、着実に対策を検討していきましょう。

    DXレポートに載っていない新たなリスク

    DXレポートで2025年の崖の存在が指摘されてから数年経ち、2021年現在新たなリスクが浮上しています。4年後に迫った危機を回避するために、企業が今できる備えをチェックリストにまとめました。

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    窪寺 奈々瀬

    この記事の筆者

    窪寺 奈々瀬

    東京都出身、在住。主にレジャー・ビジネス系媒体で取材・執筆活動を行っている。執筆業の傍ら舞台役者としても活躍。出演舞台多数。主宰劇団では脚本、演出も手掛けるマルチクリエイター。

    渡辺 篤史

    この記事の監修者

    株式会社オロ クラウドソリューション事業部 顧客支援グループ コンサルタント / 中小企業診断士

    渡辺 篤史

    2011年入社以降、クラウドERP「ZAC」の導入支援を担当。現在は主に大規模案件を中心に要件定義や導入支援を行っている。導入支援チームのマネジメントも行う。中小企業の業務プロセスに通じる。

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