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管理会計の実践で、経営にスピーディーな意思決定を

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2020/6/26公開

企業を取り巻く経営環境は日々変化しています。企業がこれに対応するためには、環境の変化を適確に捉え、分析し、進むべき方向性を決めていく必要があります。2020年6月現在、新型コロナウイルスの流行によって「新しい生活様式」が求められ、消費者の行動や価値観は大きく変革されています。それに伴い企業はどのように対応していくべきでしょうか。

環境の変化への適応や経営者の判断・意思決定が遅れることは、企業にとって命取りになりかねません。経営環境を把握し、「スピーディーな意思決定」が求められているのです。

今回は「スピーディーな経営の意思決定」の重要性と、そのための「管理会計」についてご説明します。

目次

    経営に求められるスピーディーな意思決定

    経営者や管理者は業務の中で以下のような意思決定を迫られます。

    • 経営目標を定める
    • 環境の変化を予測して計画を立てる
    • 計画実現のためのヒト、モノ、カネなどの資源を配分する
    • 実際の業務活動が計画どおり行われるよう統制する

    また、意思決定の種類にもいくつか段階があります。臨時的なものほど影響が大きく、反対に日常的に行われる意思決定は影響範囲が狭いことが多いです。

    意思決定の種類
    意思決定の種類説明影響する期間組織に対する影響意思決定の頻度具体例
    戦略的意思決定
    (構造的意思決定)
    企業の長期的な成長・発展にかかわる意思決定 長期的 臨時的
    • 市場開拓
    • 工場新設
    • 新製品開発
    管理的意思決定 資源分配に関する意思決定 中期的
    • リソース配分
    • スケジュール
    • 施策の優先順位
    業務的意思決定
    (戦術的意思決定)
    戦術的意思決定に基づき決定された施策に対する、具体的な実現方法のための意思決定 短期的 日常的
    • プロダクトミックスの検討
    • 内製・外注の判断

    経営者・管理者の業務の大半は意思決定であり、経営活動そのものです。経営者・管理者は次々に現れる経営課題やリスクに対して速やかに決断を下す必要があり、ひとつの意思決定に多くの時間を割くのは難しいでしょう。

    特に戦略的意思決定(構造的意思決定)や管理的意思決定は、企業の業績や資金繰りに大きな影響を与えることになるため、迅速に行う必要があります。そのためには、確実な情報収集、そして事前準備が欠かせないのです。

    常日頃から意思決定に必要な情報を把握しておくことで、意思決定がよりスピーディーになります。

    意思決定のプロセス

    意思決定は「課題の把握・情報収集」→「代替案(解決策)の創出」→「代替案(解決策)の評価」→「最善案の選択」という一連のプロセスで行われます。経営における意思決定プロセスは図のような流れです。

    意思決定のプロセス

    タイムリーな情報をもとに意思決定を行うべき理由

    経営者が不適切な会計情報に基づいて意思決定を行うことにより、業績が悪化する事例は多く見られます。そういった状況を避けるために、会計情報は正しく、タイムリーでなければなりません。

    中堅企業A社の例をあげてみましょう。

    A社では月次決算の数値を基に作成した業績管理資料を用いて毎月の経営会議を行っていました。しかし、月次決算の数値が確定するのは翌月20日頃であり、それから資料を作成していたため、経営会議では前月分の情報を参照していました。 約1ヶ月前のデータを用いて経営方針を決めている状態 情報は「生モノ」であり鮮度が命であるため、これでは正確な意思決定ができません。A社は「現在進行形で起きている問題に気付けない」というリスクを抱えています。

    反対に、経営会議の場で部門ごとの好不調が明らかになれば、好調な部門に人員や資源を投入して機会損失を防いだり、不振部門の問題が深刻になる前に原因を分析して対応策を取ったりすることが可能になります。

    A社に必要なのは、「財務会計」のデータを使った前月の月次決算の数値ではなく、経営者が意思決定の判断材料に利用することを目的とした「管理会計」でした

    前述の意思決定プロセスの中でも、代替案(解決策)の評価には管理会計データが深く関係します。例えば部門別やプロダクト別の原価・収益・利益・利益率など、代替案(解決策)の比較に必要な指標を管理会計データに含めることで、必要な時に必要な情報を参照できる仕組みが整います。

    情報の移り変わりが激しい昨今では、わずかな経営判断の遅れにより競合に差をつけられてしまうというケースも少なくありません。管理会計により、経営者や管理者がタイムリーに情報を把握、意思決定をすることで、素早い軌道修正ができるのです。

    管理会計をスピーディーな意思決定に活かす3つのポイント

    管理会計とは、前述の通り経営者や責任者が経営判断の材料として活用することを目的とした会計です。管理会計の詳細は下記の関連記事をご覧ください。

    管理会計とは

    ここからは、管理会計を活用し、スピーディーな意思決定を行う上で大切な3つのポイントをご紹介します。管理会計は財務会計と違い、明確なルールや基準はありません。管理会計の利用目的を明確にし、経営者の意思決定のために必要な情報を定義することが重要です。

    ①事前に管理会計の目的を明確にする

    まずはじめに、管理会計の目的を定め、どのような情報を、どのようなタイミングで把握するかを明確化しましょう。管理会計の利用目的は意思決定に役立つ情報を収集・提供することです。そのためには管理会計でどのような情報・指標を用いるのか、どのようなタイミングで収集・分析するのかを「考える」ことが大切です。

    ②情報収集のための基盤の整備

    各部門からタイムリーかつ効率よく情報収集できる基盤を整えることも大切なポイント。不確かな情報は意思決定に悪影響を及ぼすため、適切な手段で情報を管理して正確な情報を確認することも大切です。

    ③評価指標(KPI)を決めておく

    部門ごとに業績の評価指標(KPI)と責任範囲を決め、目標の明確化および業績評価を実施しましょう。明確な目標は、各部門担当者や従業員が進捗状況や目標達成へのタスクを意識することにもつながります。未達成に終わった場合でも、その原因を把握し次の改善策を検討・実行することで、当事者たちの分析力や問題解決力が鍛えられるでしょう。

    まとめ

    • 経営者が的確な意思決定をするためには、情報を収集し複数案から選択するまでの一連のプロセスを意識しましょう。特に「情報の収集」は、正確な意思決定を行う上での基盤となります。
    • 意思決定に必要な情報を収集するためには、適切な会計管理が欠かせません。管理会計は、経営者と管理者に有益な情報を提供する会計であり、意思決定を支援する有効な仕組みです。
    • 管理会計を活用し的確な意思決定を実施するためには、管理会計の目的や必要な情報の種類、タイミングを明確にする必要があります。そして必要な会計情報を収集するための基盤を構築します。その上で、業績をタイムリーに把握し、経営者に報告。業績を適切に評価し将来の見える化を図ることで、効果的な経営改善が見込めるでしょう。

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    黒須 仁美

    この記事の筆者

    コンサルタント/リサーチャー

    黒須 仁美

    外資系IT企業にて戦略コンサルタントとして組織変革や政策・事業策定支援に従事し、2019年にフリーランスに転身。現在西アフリカのセネガルに家族と暮らしながらビジネスコンサルタントやリサーチャー、ライターとして活動している。

    渡辺 篤史

    この記事の監修者

    株式会社オロ クラウドソリューション事業部 顧客支援グループ コンサルタント / 中小企業診断士

    渡辺 篤史

    2011年入社以降、クラウドERP「ZAC」の導入支援を担当。現在は主に大規模案件を中心に要件定義や導入支援を行っている。導入支援チームのマネジメントも行う。中小企業の業務プロセスに通じる。

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