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建設業界のDX事情。建設コンサルティング業は何から着手すべき?

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2024/1/29公開

人材不足、長時間労働、アナログ業務など、さまざまな課題を抱えている建設業界。人口構造が大きく変化することで働き手の確保が困難となりつつある状況や、働き方改革によって労働時間の上限規制がかかる「2024年問題」もあり、建設業界を取り巻く環境への対応は待ったなしの状態です。今、建設業界は大きな改革が求められています。

これらの問題を解消する鍵として注目されているのが、DX推進です。本記事では、建設業、特に建設コンサル業におけるDXとそこで活用できる技術について解説します。実際にDXを進めている事例も紹介しますので、建設業のDX推進を考える方は参考にしていただければ幸いです。

目次

    建設DXとは

    建設DXとは、建設業界でデジタル技術を活用して業務効率化を図ったりビジネスモデルの変革を行ったりすることです。業界特有の課題を解決する手段として期待されています。

    そもそもDXとは、デジタルテクノロジーを駆使して経営の在り方やビジネスプロセスを「再構築」するという考え方です。デジタル技術を取り入れるだけにとどまらず、働き方やビジネスモデルそのものの変革を指します。DXについて、詳しくは以下の記事を参照してください。

    【あと1年】2025年の崖とは?問題点や今やるべきDX施策

    建設業界におけるDXの現状

    建設業界では、アナログな業務プロセスや独自の商習慣が多く残っていることによって生産性が上がらず、働き方改革がなかなか進んできませんでした。建設業界の就業人口が低下していることや高齢化が進んでいることもあり、人材不足も深刻な課題となっています。

    その解決策としてDXが掲げられるものの、他業界に比べて後れをとっている状態です。また多くの企業では一部の業務をIT化するにとどまっており、DXまではいたっていません

    建設コンサル業でDXが必要とされる理由

    建設業界のなかでも、企画や計画、調査、設計、施工管理といった幅広い業務を担うのが、建設コンサル業です。度重なる災害を踏まえて2021年からは、防災・減災を強化するための国土強靭化計画が制定され、建設コンサル業への需要も増加しています。さらに近年、社会のニーズ変化に伴い、自治体の事業マネジメントや施工業者のサポート、関連事業者との調整支援と、建設コンサル業の役割が多様化しており、ますます建設コンサル業に求められる業務量や範囲は広がってきています。

    このように、建設コンサル業は発注者のパートナー的役割として重要なポジションであるものの、他業種にもれず少子高齢化による人材不足が課題となっています。

    このような状況の中、拡大する役割に対応すべく、DXによる業務の効率化やアナログ業務からの脱却が必要とされているのです。

    建設コンサル業にありがちな課題

    業界的に人材不足が起こっている建設コンサル業では、多くの企業で以下のような課題が発生しがちです。

    タイムリーな損益が把握できていない

    建設コンサル業においては、多くの仕事が官公庁の入札案件によるものです。そのため、入札金額の中でいかに業務を進めつつ利益を出すかという意味で、プロジェクト進捗管理とプロジェクト原価管理が非常に重要となります。

    そして、プロジェクトの損益を正確に把握するためには、売上と発生コストをそれぞれ対応させる必要があります。しかし、建設プロジェクトは長期にわたり、コストの多くを人件費が占めることからも、売上と発生コストを紐づけた損益管理が煩雑になりがちです。そのため、プロジェクトごとの原価管理はできていても、タイムリーな損益の着地見込を把握しにくい状況にあると言えます。いわゆる出来高の集計に時間がかかるという声も実際に良く耳にします。

    また、プロジェクトの作業進捗と損益を合わせて見ることが難しいという課題も発生しがちです。その結果、作業進捗とコスト進捗両面において、プロジェクトが予定通りに進んでいるか判断できず、気づいたら赤字になっている恐れもあります。一般入札やプロポーザルなど発注方法により、受注金額が決まるタイミングも異なるため、受注段階で正確な原価見積を行うのが難しい点も課題です。

    工数管理が煩雑

    建設コンサル業が担当するプロジェクトでの業務内容は多岐にわたります。踏査(とうさ)のように外出して行う業務があったり、複数の部門と携わったりと関係者が多くなるのも特徴です。そのような状況に加え、担当者も複数のプロジェクトを抱えることもあるため、各プロジェクトや各業務にかかっている正確な工数を把握できず、工数管理が複雑化してしまいます。

    正確な工数を把握できなければ、予定より時間がかかってしまっている業務があっても把握できません。その結果、改善すべき問題やムダが生じている業務の判断が難しくなるのです。また、長時間労働の要因にもなりえます。

    紙ベースの管理で業務が非効率

    一部アナログな業務が残っており、契約書や請求書、領収書といった書類を紙ベースで管理している企業も少なくありません。また、各種の申請承認が紙の書類で行われていることもあるでしょう。紙ベースであれば、承認や書類送付のやり取り、帳票整理に時間がかかるため、業務が非効率になってしまいます。

    建設コンサルがDXに向けて着手すべきこと

    DXによる業務改革が求められる建設コンサル業では、DXに向けてどこから手をつければいいのでしょうか。本記事では、以下のような手順でDXに着手することをおすすめします。

    ①既存業務の洗い出し

    まずは既存業務を洗い出し、現状を調査することからスタートします。課題がある業務やデジタル化できる工程、デジタル技術を取り入れることで改革できそうな工程を検討しましょう。現場レベルで各業務を細かく洗い出すと同時に、現場の困りごとのヒアリングも忘れてはなりません。

    ②目標設定を行う

    続いて、自社が何のためにDXを行うのかを明確にします。そもそもどのような課題があるのか、それをいつまでにどの程度のレベルで解消すべきなのかを明確にすることで、DXにおける具体的な目標を設定できます。また、社内にDXの必要性を啓蒙するためにも、目標を明確にして言語化しておく必要があります。

    ③導入ツールの選定

    デジタル化すべき業務や改革すべき工程が見えたら、どのような技術やツールを適用するか検討します。課題の解決策として適切かどうか見極めてからツールを導入することが肝要です。建設業界のDXを実現するための技術は多岐にわたるため、後述する「建設業界のDXを叶える技術」を参考に検討してください。

    ④行動計画の立案

    デジタル化する業務と導入するツールが決まったら、いつまでにツールを導入するのか具体的なスケジュールを立案します。このとき大切なのは、現場の声を聞きながら無理のないスケジュールを立てることです。ツールを活用するのは現場の従業員であるため、社内啓蒙を行ったうえ、ツール導入後の説明会や教育も計画に入れておきましょう。

    ⑤実行・モニタリング

    ツールやデジタル技術を実際の業務に導入できたら、業務が問題なく遂行できているか、また狙った効果を得られているか評価します。業務がうまく回っていないようであれば、何がボトルネックとなっているのかヒアリングや検証を行って改善していきます。改善したらまたその効果を測定する、というようにPDCAサイクルを回して改善を繰り返すことが業務改革には重要です。

    建設業界のDXを叶える技術

    ここからは建設業界において、DXを実現するために有用な技術を紹介します。変革を行う業務や解決したい課題にあわせて、効果的な技術を選定してみてください。

    ICT(情報通信技術)

    インターネット通信を利用してコンピューターと人をつなぐあらゆる技術がICTであり、DX推進の土台となるものです。具体的には、チャットやメール、Web会議システムなどがICTに含まれます。

    パソコンやスマホ、タブレット間で通信することによる情報共有や、映像データに基づいた遠隔指示といった、さまざまな業務の効率化が図れる技術です。計測機器などをインターネットに接続して情報をタイムリーに取得・記録するIoTも、ICTを導入して初めて実現できます。

    クラウドサービス

    インターネットを経由してさまざまなツールを利用できるクラウドサービスは、業務効率化に有用です。クラウドサービス経由でデータをやり取りすれば、現場とオフィスでタイムラグなく情報を共有できます。また、現場からそのまま勤怠情報の入力や申請依頼等ができるので、そのためだけにオフィスに戻る必要もありません。

    クラウドサービスには、企業の基幹業務を効率化する基幹システムや、企業のリソースを一元管理するERPというシステムなどもあります。これらのシステムを活用すれば、タイムリーな工数管理やそれに基づいた損益管理といったバックオフィス業務も効率化できます。

    ドローン

    無線で遠隔操作できる無人航空機のドローンも、建設業界のDXに寄与するツールです。カメラを搭載して測量を行ったり、上空から現場の確認をしたりといった活用方法が考えられます。

    人が目視で確認する作業を効率化できるうえ、危険な場所での作業をなくせる点もドローン利用のメリットです。これまで特定の技術や経験が必要だったため属人化していた作業をドローンに置き換えることで、人材不足にも対処できます。

    BIM/CIM

    建築や土木の領域で、計画・調査・設計の段階から3Dモデルを導入し、その後の工程でも活用するワークフローがBIM/CIM(ビムシム)です。関係者間での情報共有を容易にしたり、建設生産・管理システムを効率化・高度化したりするために利用されます。 2Dの図面によるアナログな設計や確認作業では、読み取りに手間がかかったり施工上の不具合が起こったりしていました。しかし3Dモデルを共有することで、認識のズレやミス、手戻りなどを大幅に削減できます。

    AI

    AI技術は近年、すさまじい進化を遂げています。AIとは、人工知能のことで、人間の知能をコンピュータで再現する技術です。建設業界では、建設物の設計における安全性を判定したり、職人の熟練技を誰でも利用できるようインプットしたりといった活用の仕方が考えられます。映像技術と組み合わせて、AIに現場の映像を解析させて進捗を確認するといった使い方も可能です。

    ERP導入で業務効率化に成功した事例

    上述した技術のなかでも、クラウドサービスにはさまざまな種類があります。自社に合ったサービスを選定して活用することが、DX推進のポイントです。ここでは、本ブログを運営している株式会社オロが提供するクラウド型ERP「ZAC」を導入したことで業務効率化を実現した建設業界2社の事例を紹介します。

    株式会社INA新建築研究所様

    建築設計事務所のリーディングカンパニーである株式会社INA新建築研究所様は、建設コンサルタントとしてのサービスも提供しています。同社が手掛けるプロジェクトは、受注から竣工まで1年を超えるものが多く、プロジェクトごとの原価管理が重要であるものの、正確な粗利を把握できていない状態だったそうです。作業工数の集計も紙ベースだったため、労務費集計から原価反映まで1ヶ月半かかり、タイムリーな経営判断ができていないという課題がありました。

    ZACでは、システムに入力した勤怠・工数情報から自動で配賦計算を行えるので、リアルタイムで原価を把握できます。その結果、原価算出までの手間が省け、スピード感のある原価管理が可能になったと言います。さらに、予算進捗に余裕があれば外注を増やしたり、なければ作業を内製化したりと、状況に応じた適切なマネジメントもできるようになりました。

    建築設計・建設コンサルタント業株式会社INA新建築研究所様

    株式会社グローバルBIM様

    鹿島建設グループにおいて、さらなるBIM普及展開・高度化実現を目指す株式会社グローバルBIM様は、建設会社や設計事務所に向けたBIMコンサルティングやBIMモデリングサービスを提供しています。経営統合に伴う管理会計業務標準化や内部統制強化、案件の進捗や担当者の一元管理ができる体制の実現を目的にZACを導入されました。

    通常、紙ベースだと毎月約70時間を要する押印処理が、ZACの電子ワークフローを活用することで不要になるほか、労務費が案件に自動配賦されることで原価計算業務の工数も月15時間ほどの削減効果となっていると語っていただきました。ZACはクラウドサービスであることから、インターネットがあれば時間や場所に縛られずに働くことができます。出張の移動時間中はもちろん、在宅勤務でも業務が滞りなく進み、働き方の自由度を高められたのも大きなメリットだと言います。

    建築設計・建設コンサルタント業株式会社グローバルBIM様

    ZACでは上記以外にも、「建設設計・建設コンサルタント業の導入事例」が多数あるので、クラウドサービスに興味がある方はぜひご覧ください。

    まとめ

    人材不足やアナログな業務からの脱却が叫ばれる建設業界は、DXの推進が急務となっています。人手不足や後継者問題に手を打つためには、デジタル技術の導入で業務を効率化し、これまでのビジネスモデルを変革する必要があるのです。

    特に建設コンサル業では、時代に合わせて役割が多様化し、求められる業務範囲が広がりつつあります。そのような中、長期プロジェクトにおけるタイムリーな損益管理ができていなかったり、紙ベースのアナログ管理が残っていたりすることが大きな課題です。

    したがって、ITツールやクラウドサービスを活用し、一歩ずつでもDXを進めていくことが重要となります。DXによって業務とビジネスモデルを変革するとともに、状況に応じた迅速な経営判断を行うためには、ERPなどのツールを検討することもおすすめです。

    Q
    建設コンサルティング業における課題は?
    A
    建設コンサルティング業が抱える課題は、タイムリーな損益を把握しにくいことや、工数管理が煩雑なこと、紙ベースの管理で業務が非効率になっていることが挙げられます。詳しくは建設コンサル業にありがちな課題をご覧ください。
    Q
    建設DXとは?
    A
    建設DXとは、建設業界でデジタル技術を活用して業務効率化を図ったりビジネスモデルの変革を行ったりすることです。詳しくは建設DXとはをご覧ください。

    【図解】8ページでざっくりわかるERPとは?

    そもそもERPとは?といった最初の疑問から、クラウドとオンプレミスの違い、機能一覧、メリットデメリットまで、8ページにわかりやすくまとめました。

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    布施 輝斗

    この記事の監修者

    株式会社オロ CS事業部 新規営業グループ 副グループ長

    布施 輝斗

    2014年4月株式会社オロに入社。東京・大阪・北海道と3つの拠点と、ERP/WEB/訪日インバウンドと3つの事業部にて新規開拓営業、既存営業に従事。2018年にZAC新規営業チームに復帰後も年間No.1セールスを叩き出す。2019年以降はチームリーダーとしてメンバーの育成に注力し、新卒2年目のメンバーを年間No.1セールスに育て上げるなど功績を残す。2021年10月よりZACマーケティンググループのグループ長として組織を牽引した後、再度ZAC新規営業としてグループを率いる。休日は北海道コンサドーレ札幌のサポーターとして活動。