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2023年10月から採用されるインボイス制度。必要な対応と影響範囲は?

2023年10月から採用されるインボイス制度。必要な対応と影響範囲は?
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2020/4/09公開

2023年10月1日から導入されるインボイス制度。「聞いたことはあるけど、いまいちどういう制度かわからない」という方も多いはず。そこで今回は、インボイス制度について徹底解説します。インボイス制度は消費税を納める必要がある企業や個人事業主だけでなく、免税事業者にも影響します。「誰にどんな影響があるのか」「いつまでに何を準備すればいいのか」、事前に確認してインボイス制度の導入に備えましょう。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)が支払った消費税を計算(仕入税額控除)する際に必要な手続要件です。正式には「適格請求書等保存方式」といい、課税事業者の「適格請求書(インボイス)」提出・保管により、正確な仕入税額控除を行うために必要な制度となります。

仕入税額控除をもう少し詳しく説明すると、事業者が預かった消費税から負担した消費税を差し引くこと。たとえば、本体金額1,000円、消費税80円、税込金額1,080円の商品を本体金額1,200円、消費税96円、税込金額1,296円で販売した場合、仕入税額控除は96円から80円を差し引いた16円(納付税額)となります。

インボイス制度の計算

それにしても、なぜインボイス制度が導入されることになるのでしょうか。背景を簡単に説明します。これまで消費税率は一律だったため、売上高と仕入高それぞれの消費税額から簡単に仕入税額控除ができました。

しかし、2019年10月の消費税率引き上げと軽減税率の導入に伴い、税率8%と10%の商品が混在するようになりました。それにより、仕入税額控除の計算が複雑化し、商品ごとに適用税率がわかる適格請求書(インボイス=請求書や納品書)が必要になったのです。

ちなみに適格請求書は「適格請求書発行事業者」しか発行することができません。「適格請求書発行事業者」になるには、税務署に申請書類を提出し、登録を受ける必要があります。また、登録を受けることができるのは、消費税を国に納める義務が発生する課税事業者(課税売上高が1,000万円を超える事業者)に限られます。

課税事業者の登録は義務化されていないものの、登録していないと仕入控除が受けられないリスクがあることにも注意が必要です。仕入控除が受けられないことで、売り手側が価格面でのメリットを提供できず、競争力が低下する可能性があります。

登録を受け適格請求書発行事業者になった場合は、原則的には課税事業者の取引先の求めに応じて、適格請求書を交付し、写しを保存する義務が課されますので注意しましょう。その際、適格請求書に記載する必要がある項目は以下の6つになります。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  4. 税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  5. 消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

出典:消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます - 国税庁 

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf

インボイス制度の影響範囲

では、インボイス制度が始まると、誰にどのような影響がおよぶのでしょうか。直接的な影響を受けるのは消費税を納める課税事業者です。だからと言って、消費税の納税義務のない免税事業者も安心はできません。その理由について、課税事業者と免税事業者に分けて解説していきます。

課税事業者(年間の課税売上1,000万円超の事業者)の場合

年間の消費税がかかる売上が1,000万円超で、消費税を納税している課税事業者には、以下のような影響が考えられます。

①納税額の増加

もし免税事業者と取引を行なっている場合、適格請求書が発行されないので、そこから仕入れたものは仕入税額控除の対象外となります。インボイス制度開始前に比べると、免税事業者と取引を行った分だけ納税額が増えてしまいます。

②経理処理の煩雑化

適格請求書に記載された消費税額を逐一チェックして納税額を計算する必要があるので、経理処理が煩雑になる可能性があります。事業の特性によっては、すでに軽減税率が適用された2019年10月からこの作業が増えているかもしれませんが、適格請求書が発行されない仕入れがある場合はさらに手間が増えるでしょう。たとえば、仕入れる商品がすべて食品以外だったとしても、免税事業者と課税事業者両方からの仕入れがある場合は、それぞれ分けて計算することになるからです。

免税事業者(年間の課税売上1,000万円以下の事業者)の場合

年間の消費税がかかる売上が1,000万円以下の事業者のほとんどが免税事業者になるのですが、適格請求書を発行することができるのは課税事業者のみ。そのため、免税事業者は以下のような影響を考慮する必要があります。

①消費税納税義務の発生

免税事業者が適格請求書の発行をする場合、まずは課税事業者に転向する必要があります。課税事業者に転向すれば適格請求書の発行が可能になりますが、たとえ年間売上が1,000万円を超えていなくても、消費税の納税義務が発生します。

②値引きによる売上減少

現状、免税事業者であっても取引先に消費税を請求することは可能です。しかしインボイス制度が始まると、取引先から「消費税は上乗せしないでほしい」と要求される恐れがあります。その結果、実質的に値引きをすることとなり、売上高が低下する恐れがあります。

③取引先の減少

インボイス制度が始まれば、納税額の負担が増えることから、免税事業者との取引を避ける課税事業者が増える恐れがあります。特に大企業との取引が多い免税事業者は、取引停止による売上減少のリスクを考慮し、適格請求書発行事業者への転向を視野に入れてもいいかもしれません。

インボイス制度への準備

インボイス制度は2023年10月1日からスタートします。しかし、制度開始と同時にインボイスを発行するためには事前の準備が必要です。どのような準備をいつまでにすればいいのでしょうか。ここからはインボイス制度に向けた準備について解説します。

適格請求書発行事業者として登録する

現在すでに課税事業者である場合、適格請求書発行事業者として登録するために税務署へ申請をしておく必要があります。注意すべき点は、2023年10月1日から登録を受けるには2023年3月31日までに登録申請書を提出しなければならないということです。登録申請書は2021年10月1日から受付が開始されますので、早い段階で申請しておくといいでしょう。

課税事業者が適格請求書発行事業者として登録する場合

免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合は、登録開始日の前日から起算してひと月前の日(※)までに「消費税課税事業者選択届出書」で課税事業者を選択し、適格請求書発行事業者の登録申請を行う必要があります。ただし、2023年10月1日を含む課税期間中に登録申請を行う場合は、課税事業者の選択申請をする必要がないという経過措置が適用されます。インボイス制度のスタートとともに免税事業者になる予定の方は、この経過措置を利用するといいでしょう。

※期間が10月1日から始まるものとすれば、9月30日のひと月前、つまり8月30日まで

免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合

適格請求書(インボイス)のフォーマットを用意する

前述した通り、インボイスには記載すべき6つの項目があります。これまでは請求書に記載してなかった項目が増えることになりますので、インボイス制度に対応したフォーマットを準備する必要があります。こちらは、適格請求書発行事業者になる予定の日までに準備するようにしましょう。

ただし、小売業や飲食店など不特定多数の人を対象とする事業者においては、記載事項を簡略化した「適格簡易請求書」の発行が認められています。この場合、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の記載が不要なほか、適用税率もしくは税率ごとの合計税額どちらかが記載されていればいいとされています(※)。ご自身の事業形態が対象であるかどうか、事前に税務署へ相談して確認しておきましょう。

※補足(2020年4月現在)
適用税率:8%、軽減8%、10%ごとに消費税を表示
税率:請求書明細がすべて10%であれば、10%の消費税を表示

インボイス制度に対応した会計ソフトに切り替える

会計ソフトを使用して経理を行なっている事業者は多いと思います。しかし現在使っているソフトでは、インボイス制度に対応できないといった可能性も考えられますので、制度開始前に別の会計ソフトへの切り替え準備をしておきましょう。

クラウド会計ソフトなどの場合、自動的にインボイス制度へ対応してアップデートしてくれるものもあります。現在使っているソフトが、制度開始に伴いどのような対応をするべきなのか確認しておくことが大切です。

取引先の課税状況を確認する

インボイス制度が始まれば、取引先から適格請求書を発行してもらえるのかどうかがポイントとなります。そのため、現在の取引先が課税事業者かどうかを事前に確認しておきましょう。

もし取引先が免税事業者だった場合、インボイス制度開始と同時に適格請求書発行事業者になる予定があるかも確認しましょう。免税事業者との取引が多い場合、納税する消費税額が増える可能性もあるので、取引先を変更も視野に入れましょう。

事業内容や形態を見直す

免税事業者の方は、インボイス制度の開始とともに課税事業者になるかどうかの判断を迫られます。取引先によっては免税事業者との取引を打ち切ることもあり得ますので、適格請求書発行事業者への転向も検討すべきでしょう。

この先も免税事業者として事業を続けていくならば、取引先が個人や免税事業者メインとなるような事業内容に変更することもひとつの手かもしれません。

まとめ

インボイス制度の仕組みと制度開始に伴う影響、そして何をいつまでに準備すべきなのかについてお伝えしました。インボイス制度については、以下の4点を押さえておきましょう。

  1. インボイス(適格請求書)のない取引は仕入税額控除の対象外となる
  2. インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者のみ
  3. 適格請求書発行事業者になるためには税務署での登録申請が必要
  4. 適格請求書発行事業者になれるのは、課税事業者のみ

現在、課税事業者なのか免税事業者なのかによって、今後必要な対応が変わってきます。状況によっては、取引先や事業内容の見直しなど大きな変更を迫られる場合もあります。制度が始まってから慌てないよう、ぜひ早めに対応しておきましょう。

株式会社オロが開発・販売を行うクラウドERP「ZAC」では、インボイス対応の請求書の発行が可能です。お気軽にお問い合わせください。

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矢野 由起

この記事の筆者

ライター

矢野 由起

製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

枇榔 弘樹

この記事の監修者

株式会社オロ ZAC顧客支援 ⻄日本グループ⻑ / 米国PMI認定PMP、応用情報技術者

枇榔 弘樹

人材派遣の会社で経理を3年経験。8社子会社連結決算や税務申告を経験したのち、株式会社オロに入社。クラウドERP「ZAC」の導入支援を10年経験。ソフトウェア開発業、広告業、ITサービス業など、導入社数は55社。会計知識に強みを持つスペシャリスト。

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