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証跡とは。証憑との違いと上場準備に欠かせない証跡管理を解説

証跡とは。証憑との違いと上場準備に欠かせない証跡管理を解説
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2024/4/19公開

企業経営の健全性を証明するためには、それを示す根拠の記録・保管が重要です。近年では、テレワークの普及により端末の持ち出しや見えない場所での業務が増えたことから、業務が適正に行われているか把握しにくくなり、記録の管理がますます求められています。

そこで必要となるのが証跡です。特に上場準備中の企業であれば、監査証跡として業務プロセスが適正に行われていることを記録しておかなければなりません。

本記事では、普段聞き慣れない「証跡」の定義や目的、管理する際のポイントについて詳しく解説します。これから証跡を管理したいと考えている企業や担当者は、本記事を参考にしてみてください。

目次

    証跡とは。企業と上場準備における重要性を解説

    証跡とは、証拠となる痕跡のことを指します。ビジネスにおいては、業務プロセスや社内で行った処理、従業員の行動が、法令や社内ルールに従って行われているかを示すものです。主に、パソコンやスマホなどの端末を利用してシステム上で行った操作履歴の記録(ログ)が証跡となります。

    このような記録を残すことは、不正やトラブルを防ぐために大必要です。特に上場企業は「内部統制報告書」の提出が義務づけられています。内部統制報告書とは、経営者の整備した内部統制が有効であることを確認し、その結果を外部に公開するものです。内部統制の有効性を確認するためには、内部統制の整備と内部統制が行われている客観的な記録を残す必要があります。

    上場準備を行う企業も、内部統制が有効であることを確認できるよう、内部統制に係る証跡を残し、適正に管理できる仕組みを整備することが重要になります。

    監査証跡とは

    証跡のなかでも「監査証跡」は、いつ・誰が・どこから・どのような操作を行ったのかといった情報を、時系列で追えるよう残した記録のことです。もし社内でインシデントが発生した場合、この監査証跡が内部監査に用いられます。 監査証跡は、時系列で追って検証できる点がポイントです。社内の情報システムの安全性や信頼性などが確保できているか証明するためにも用いられます。

    証跡と証憑の違い

    どちらも業務における事実確認に用いられるものですが、記録されるデータの範囲や種類が大きく違います。証跡は、業務が適切に遂行されていることを証明するための記録であるのに対し、証憑は何らかの取引が行われたことを証明するための書類という点が異なります。そのため、証憑は証跡の一部と言えます。

    証跡の範囲は業務全般にわたっていますが、証憑は会計や人事に関する書類が中心です。 証憑について、詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。

    証憑とは?種類や保存期間、効率的な保存方法を紹介

    証跡管理の目的

    システムで証跡を収集し、必要に応じて参照できるようにしておくことを証跡管理と呼びます。証跡管理を行う目的は、主に以下の3点です。

    ①不正防止・検知

    証跡管理によって、個人または組織での不正が行われていた場合に、企業として気づける体制づくりが可能です。具体的には、従業員の行動や業務上の処理において本来のプロセスと異なる動きが見られる場合に、誰が・いつ行ったことなのか特定でき、原因追及ができるようになります。社内の不正が検知できるため、不正の抑止効果にも期待できます。

    個人または組織での不正は企業経営に重要な影響を与えるため、このような不正防止・検知が正常に働く体制を作っておく必要があります。

    ②情報資産を適切に管理するため

    企業の中にある情報はすべて資産です。顧客情報や契約書、個人PCのID・パスワードといった、企業が持つさまざまな情報資産は適切に管理されなければなりません。ITシステムが普及した今、不正アクセスによる情報漏洩が起こりやすく、企業として情報管理の信頼性を高めることが求められています

    証跡管理を行えば、情報資産へのアクセス履歴を辿ることも可能になり、情報資産を適切に管理できます。もし社内で不正なアクセスや誤操作が検知されれば、問題が大きくなる前に手を打てるでしょう。インシデントを未然に防ぎ、万一インシデントが起こったとしても原因追及や対策立案が可能になります。

    ③監査証跡としての活用

    適切な経営や業務プロセスが実施されているか、また不正な操作が行われていないかを証明するためには証跡が欠かせません。その証跡を時系列に沿って記録、保管したものが監査証跡です。

    監査証跡は、業務プロセスや操作履歴を時系列で追えるため、適切性や真実性の証明に用いられます。会計監査やシステム監査にも利用される監査証跡は、常に時系列で参照できるよう適切に管理しておく必要があります。

    効率的な証跡管理のポイント

    上場を考える企業であれば証跡管理は必須です。そこで、効率的に証跡管理を行うためのポイントを2つ紹介します。

    ①システム・ITツールの活用

    ログを記録・管理するシステムやITツールを利用することで、証跡管理を効率化できます。システムが自動的にログを収集し、決まった場所で一元管理するため、効率的に証跡管理ができるのです。

    システムやツールによって、すべてのログを一元管理するものや、特定の作業ログに特化して管理するもの、ルールに反する操作を自動的に制限するものなど、種類はさまざまです。たとえば本ブログを運営する株式会社オロが提供するクラウド型ERP『ZAC』であれば、誰が・いつ・どの案件で・どのような申請と承認を行ったかのログを、自動で保存できるワークフロー機能があります。

    ITが普及した今、ITシステム利用時のリスクを管理するためには「IT統制」の整備が欠かせません。ITシステムを適切に利用できる体制を構築するためにも、システムによる証跡管理は有効です。

    IT統制について、詳しくは以下の記事を参照ください。

    IT統制におけるシステム管理部門の役割とは

    ②文書管理の強化

    請求書や契約書、各種資料などの文書を整理整頓し、保管、活用できるように文書管理を強化することは、証跡管理にもつながります。業務におけるさまざまな書類を適切に管理することで、書類またはデータの不用意な持ち出しによる情報漏洩や文書紛失のリスクを防止できるからです。

    ただし紙の書類はログ管理が難しいため、文書の電子化も同時に検討する必要があるでしょう。電子文書をシステムで管理できるようになれば、文書管理自体が効率化されるだけでなく、文書の閲覧・変更履歴などのログを残せるようになるため、証跡管理も効率化されます

    文書管理について、詳しくは以下の記事を参照ください。

    ISOの取得要件「文書管理」とは。スムーズな運用のために気を付けるべきポイント

    証跡管理は上場準備にも重要

    上場企業とその関係会社、そして上場を目指す企業にとって欠かせないのが「内部統制」です。内部統制とは、企業が健全な事業活動を続けるために必要な社内ルールや仕組みを整えることであり、企業は全従業員がこれを遵守するよう徹底しなければなりません。

    内部統制を行う目的である「業務の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「事業活動に関わる法令等の遵守」、「資産の保全」のすべてにおいて、証跡管理が必要です。たとえば、企業の資産である情報が不正に流出しないように管理したり、法令を遵守して業務を遂行しているか把握したりするために、証跡管理が重要となります。

    内部統制の強化につながることから、適切な証跡管理は上場準備において欠かせない項目のひとつです。内部統制について、詳細は以下の記事を参照ください。

    内部統制とは?

    上場企業における証跡管理の成功事例

    ここからは、クラウドERP「ZAC」を活用することで証跡管理に成功した上場企業の事例を2つ紹介します。上場準備中の企業はぜひ参考にしてみてください。

    株式会社ネオマーケティング様

    デジタルマーケティング支援や戦略PR等の総合的マーケティング支援を行う、株式会社ネオマーケティング様。同社で使用していたシステムでは、月次決算後にも関わらず数字を変更できたり、ワークフロー機能が不足していたりと内部統制面で課題があり、上場準備中のショートレビューで指摘を受けたそうです。そこで、内部統制を強化し、スムーズなIPO準備を目指すためにZACを導入しました。

    その結果、IT統制を実現でき、内部統制面の課題を解消した状態で上場審査を受けられました。統制面の審査対象には、システム間連携の仕組みも含まれます。そのため、基幹業務を一元管理できるシステムであることも、スムーズな上場準備のうえでは大きなメリットです。さらに、ZACは情報へのアクセス権限設定を細かくできる点も、適正な証跡管理の一助となっていると言います。

    マーケティングリサーチ業、ネオマーケティング様事例

    株式会社ベクトル様

    企業の広告・宣伝分野でPRを活用する「戦略PR」のパイオニアである株式会社ベクトル様。かつては権限設定やワークフロー機能のないシステムを利用し、押印など手作業のプロセスを入れ込むことで業務フローをコントロールしてたそうです。

    しかしIPOを視野に入れたとき、手作業を含む業務フローが事業拡大の足枷になると考え、システム内で内部統制プロセスまで構築できるZACを導入しました。ワークフローや各機能の権限設定ができるのはもちろん、組織の成長に合わせてワークフローや権限を見直せるシステムであることが、将来の事業拡大を見据えたうえで重要だったと言います。今では、ZACによってIT統制が実現し、業務プロセスなどの証跡も管理できています広報・PR業株式会社ベクトル事例

    まとめ

    企業における業務全般の記録である証跡は、内部統制の強化という観点からも重要なものです。主に会計や人事についての取引を証明する証憑とは異なり、業務上の不正防止・検知や情報資産の管理、監査証跡としての活用などに用いられる記録全般が証跡と言えます。

    証跡管理は内部統制に大きく関与します。そのため、上場準備を行う企業にとっては、適正かつ効率的に管理することが重要です。システムやITツールを活用して効率的に証跡管理を実施し、内部統制の整備も含めた上場準備をスムーズに進めてください。

    Q
    証跡を残すとは?
    A
    第三者が見て証拠となる痕跡を記録することです。ビジネスシーンでは、業務プロセスやワークフロー、システム操作などのログを残すことが該当します。詳しくは証跡とは。企業と上場準備における重要性を解説をご覧ください。
    Q
    監査証跡を残す目的は何ですか?
    A
    社内でインシデントが発生した場合に時系列で追って検証できるようにすること、そして社内の情報システムの安全性や信頼性などが確保できているか証明することが目的です。詳しくは監査証跡とはをご覧ください。

    【セミナー資料】ショートレビューに向けた内部統制プロセス構築

    「ショートレビュー」を念頭にシステムを導入し、内部統制の整備を効率よく進めるポイントを解説したセミナーの概要資料です。ショートレビューで指摘されやすい事項を踏まえたシステム選定やIPO達成企業のシステム導入事例がわかります。

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    近藤 啓治

    この記事の監修者

    株式会社オロ 内部監査室 室長

    近藤 啓治

    2003年株式会社オロに入社し、SEとして受託システムの開発及び保守を12年経験。2015年12月に内部監査室に異動し、IPO関連業務で内部監査及び内部統制評価を担当。現在は内部監査室長として㈱オロ及びグループ会社の内部監査を担当している。