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【図解あり】原価計算の基本の考え方

初めてでもよくわかる原価計算のすべて
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2019/9/20公開2020/3/04更新

「原価」とは、サービスや商品を提供する際の元になる価格。仕入れ価格や製造価格という意味でよく使われます。商品を販売する場面においてシンプルに考えてみると、販売価格から仕入れ価格(=原価)を差し引いたものを「利益」と想像してしまいがちです。しかし、実際には販売員にかかる人件費や店舗の賃料、電気代など、様々な費用が発生しており、そのぶん利益は減っています。このような間接的な費用も含めて計算し、正確な原価を割り出すことを「原価計算」といいます。

目次

    原価計算とは

    原価計算とは、製品やサービスを提供するためにかかった費用を計算することです。ひとくちに原価と言っても、材料費や現場社員の労務費など製品・サービスの提供のために発生する費用(直接費)に加え、販管費や地代家賃など、特定の製品・サービス提供にかかわらず発生する費用(間接費)も含まれるため、原価を「正確に」計算することは簡単ではありません。しかし企業にとって原価の把握は、商品の販売価格の決定や経営計画にまで影響を与えるため非常に重要です。

    正確な原価計算をする目的

    原価計算は正確な利益を知るための手段となります。そして、その値はビジネスのあらゆる意思決定の基本となります。

    原価計算には、大別すると5つの目的があります。

    1. 販売価格決定
    2. コスト把握
    3. 予算の管理・編成
    4. 経営計画の策定
    5. 財務諸表や決算書の作成

    1.販売価格決定

     販売価格を決める際に原価の算出は必須です。販売価格は原価に利益分を加算して決定する必要があります。原価を低く見積もりすぎると、いくら売っても利益が出ません。逆に原価を大きく考えすぎていると、販売価格が高騰して製品自体が売れないということもあるでしょう。

    販売価格決定時に原価を低く見積もりすぎても高く見積もりすぎてもよくない

    2.コスト把握

     原価の構成を把握し、削減可能な費用を見つけ出すことはとても大切です。余計なコストを削減していく事で原価を下げることができ、それによって販売価格を下げたり、利益分を大きくとったりすることができます。例えば、飲食店を経営している場合、食材をもっと安く仕入れるのか、人件費を抑えるのか、またはテナントの賃料がもっと安いところに移転するのか、といった検討をする上で原価計算は不可欠です。

    コスト把握

    3.予算の管理・編成

     次期の予算を編成する際、予算計画の根拠として原価の情報はとても重要になります。原価があやふやな状態ではまともな計画を立てられませんので、経営計画・販売計画を立案する際には原価計算は必須であるといえるでしょう。

    4.経営計画の策定

     原価は経営の意思決定にも大きな影響を与えます。製品にかかっている原価を元に、力を入れて販売する製品、逆に販売を縮小するべき製品などを判断します。

    5.財務諸表や決算書の作成

     財務諸表や決算書を作成するためには、正確な損益を報告する必要があります。正しく損失・利益を算出するには、もちろん原価計算が必要となります。

    原価計算の種類と使い分け

     原価計算と一口に言ってもいくつか種類があります。それぞれの特性に合った使い分けが必要です。代表的なものを以下にご紹介します。

    標準原価計算

     製品設計や工程設計を元に原価の算出が必要な項目を洗い出し、各材料費や労務費についての世間における一般的な値=標準値から原価を算出する計算方法です。計画段階などで、原価の概算を出したい時に使います。

    実際原価計算

     標準原価計算とは違い、実際に使われた原価の情報を集計することで「実際原価」を算出する原価計算です。標準原価と見比べる事で問題点が見つけやすくなります。

    直接原価計算

     「実際原価」の計算を更に一歩進めた計算方法が「直接原価計算」です。原価を変動費と固定費に分けて考えることで、製品ごとの利益が見えやすくなっていきます。売上と利益が比例していないと感じられる時や、逆に見せかけの利益ばかり大きくなっているように感じる時には、「直接原価計算」を行うと実態が見えてくるでしょう。

    原価計算の種類方法特長
    標準原価計算 標準値をもとに算出 計算が容易で速報性が高い
    標準値の精度によって誤差が大きくなる
    実際原価計算 実際に使われた原価を集計し算出 集計・算出に時間がかかる
    実績をもとにするので精度が高い
    直接原価計算 固定費と変動費に分けて算出 製品ごとの原価率・利益が把握しやすい

    管理会計と原価計算

     企業の会計を大きく分けると「財務会計」と「管理会計」の二つに分けられます。

     財務会計は、社外の株主や債権者に業績を報告するためのいわば外部向け会計です。それに対して「管理会計」とは、会社内部で管理するための会計で、経営者の意思決定や、業績評価を行う目的に使用されます。

     管理会計においても原価計算はとても重要です。原価管理、利益管理、販売価格の決定、予算編成、経営の意思決定、と言った重要な事柄のいずれにも原価計算は関わります。改めて、原価計算の重要性については認識を持っておきましょう。

    原価計算の方法

     実際に原価計算をしようとする場合、どんな方法で進めていけば良いのでしょうか。原価計算はまず「費目別原価計算」を行い、次に「部門別原価計算」、そして「製品別原価計算」という風にステップを踏んで進んでいきます。

    費目別原価計算

     最初の費目別原価計算を行うためには、様々な経費をどのような費目に分けるべきなのかについて知る必要があります。原価の費目は「材料費」「労務費」「経費」の三つの要素に分けて考える事ができ、それぞれが「直接材料費」「間接材料費」のように「直接」と「間接」に分岐していきます。ある製品を生み出すことにのみ直接関わっている費用は「直接費」、そうでない費用はすべて「間接費」として、費目別原価計算を進めていきます。

    部門別原価計算

     費目別原価計算で割り出した費目別原価について、その発生責任を部門ごとに分けて明確化するのが部門別原価計算です。製造部や技術部、管理部などの各部署別に計算をしていきます。これによって、どの部署でどの程度のお金を使っているのかについての見える化も進める事もできます。

    製品別原価計算

    最後は、製品別原価計算です。製品1つひとつの生産に要した原価の実績を整理し、1製品ごとの原価を「見える化」します。これも費目別原価計算で整理した原価情報を元に計算を行います。

    原価計算をしてみよう

     前述の通り、「費目別原価計算」「部門別原価計算」「製品別原価計算」といった原価計算がありますが、大切なのは「費目別原価計算」で、これがその他の原価計算にも大きく関わっていきます。まずは費目別原価計算に取り掛かってみましょう。

    材料費

     最初に考えたいのは「材料費」です。製造に使用する材料の原価ですので、製造量が増えると比例して増えていく費用になります。

     たとえば寿司屋ならば、お米やネタといった食材に加えて出汁用具材や調味料がこれにあたります。焼いたり、温めたり、冷やしたりするための燃料費や、製造の過程で使用する道具費、機材費(1万円以下)なども材料費に分類されます。

    労務費

     続いて「労務費」です。製造現場で働く人や事務所で働く人の給料を始め、ボーナスや退職金などは全て労務費に分類されます。商品を製造し販売するまでに発生する労働力への対価が労務費ですので、社会保険や福利厚生費、通勤手当も、間接労務費として計算が必要です。

    経費

     材料費、労務費以外の費用が「経費」に分類されます。多種多様なものが入り混じっているため、金額的にも大小様々です。とくに大きな金額はオフィスや工場、作業場など職場を維持する設備費用です。

    ここでおさえておきたいのは材料費、労務費、経費には、直接的な費用と間接的な費用があることです。

    • 直接費 その製品をつくるために使われた費用だということが明確にわかる費用のこと。
    • 間接費 どの製品をつくるために使われた費用なのか明確でない費用のこと。

    材料費ならば、製造される品物の主な原料、材料は直接材料費、その材料を製造、加工するために必要な材料や道具、燃料などが間接材料費に分類されます。たとえば寿司屋ならば、お米やネタは直接材料費、醤油やわさび、海苔巻きを巻くための巻き簾、炙るためのガスバーナーなどは間接材料費に分類されます。
     労務費の場合は、一工程ごとの作業時間が明確になっているならば直接労務費として計算できますが、材料費ほど明確にすることは難しい項目でもあります。また、ビジネスを営むための経費は多岐にわたりますので、経費はその多くが間接的な原価に含まれることになります。
     これらの内容を頭に入れて、実際に使った伝票などを仕分けしていくことが原価計算の始まりです。

    業種ごとの原価計算

     ここまで見てきた原価計算については「製品製造にかかった金額を計算すること」というようなイメージだったため、製造業や飲食業以外には関係ない話に思われたかもしれません。しかし、製品を作ることもサービスを提供することも、何かを売るという意味で本質的な違いはありません。病院や銀行などの接客業、ITインフラなどのサービス業をはじめ、第一次産業にあたる農業や漁業などにおいても原価計算の考え方は通用します。

     とはいっても業界ごとに原価の特徴や構成比は違います。実際に業種によってどのような差があるのか見ていきましょう。

     まずは製造業です。製造業は他業種と比較すると、原価の中で「材料費」が占める割合が5割前後と非常に高くなります。飲食業では材料費は3割前後が標準とされています。製造業と比べて材料費の割合が下がっているのは、飲食業では製造業よりも人件費が高くなる傾向があるからです。
     実際に物を作り出しているわけではないように見える、IT業界における原価はどうでしょうか。ソフトウェアの開発などにエンジニアが関わる場合、エンジニアに発生する給与は「経費(労務費)」ではなく「原価(材料費)」として扱われるケースが多いようです。ソフトウェアの原価を把握してコストダウンを図るためには工数や作業内訳など、エンジニアの稼働内容を細かく把握することが必要になってきます。

     上記のように、業種によって原価の構成比は変動します。あなたが働いている企業のサービスでは、何がサービスの材料になっているかなどを考えて原価計算に取り組んでみてください。

    まとめ

     原価計算は、コスト削減や予算編成だけでなく、経営判断にまで影響が及ぶ重要な要素です。企業においては、これを機に自分たちが販売しているものの原価に意識し、改善できる部分がないか検討してみましょう。

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    この記事の筆者

    編集業・執筆業

    テルイ コウスケ

    ビジネス、環境問題、政治などのジャンルで取材ルポ、ドキュメンタリー記事・書籍の制作に携わる。

    渡辺 篤史

    この記事の監修者

    株式会社オロ クラウドソリューション事業部 顧客支援グループ コンサルタント / 中小企業診断士

    渡辺 篤史

    2011年入社以降、クラウドERP「ZAC」の導入支援を担当。現在は主に大規模案件を中心に要件定義や導入支援を行っている。導入支援チームのマネジメントも行う。中小企業の業務プロセスに通じる。

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