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プライシングとは?価格戦略における利益と顧客満足度の高め方

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2022/10/28公開

企業にとって、製品・サービスの値決めは非常に重要なことです。売上や利益に大きな影響を及ぼすため、データを活用するなどして論理的かつ慎重に決めなければなりません。
本記事では、製品・サービスの価格を決めるプライシングにおいて欠かせない要素や考え方、具体的な戦略を解説します。新しい製品・サービスのプライシングや、現在の価格の見直しに活用してみてください。

目次

    プライシングとは

    プライシングとは、価格戦略とも呼ばれ自社の製品やサービスの価格を決めることです。製品やサービスの販売戦略に大きな影響を及ぼすものであり、マーケティングにおいて重要な要素のひとつと言えます。プライシングが企業の経営を左右すると言っても過言ではありません。

    プライシングでは、さまざまな情報を元に価格設定を行います。価格に見合った品質の製品・サービスしか選ばれない一方、価格が製品・サービスの価値イメージにつながる側面もあるため、戦略的にプライシングを行うことが重要です。

    価格決定のために必要な要素

    価格を決めるためには、いくつかの欠かせない要素があります。

    • 何を売るのか
    • 誰に(どのような客層に)売るのか
    • 利益(利幅)をどれくらい得られる設定にするのか
    • 原価はいくらかかるのか
    • どのような方法で販売するのか
    • 競合製品・サービスの価格はどれくらいなのか
    • 自社だけの付加価値はあるのか

    これらの要素を検討したうえでプライシングを行わなければ、顧客にとっても企業にとっても的外れな価格になってしまう恐れがあります。自社都合だけでなく、競合他社や市場もしっかり把握したうえで価格を決めなければなりません。

    プライシングの目的

    製品やサービスを販売するうえで、プライシングは欠かせません。プライシングの目的を明確にして、その目的からブレないよう価格設定を行うことが大切です。プライシングには、以下の4つの目的があると考えられます。

    売上・利益の増加

    企業として価格に見合った価値を顧客へ提供し、売上ひいては利益を増加させることが最重要課題です。製品・サービスに対して顧客が納得できる価格でありながら、しっかり利益を出せる価格にすることが重要と言えます。そのためには、製品・サービスを生み出すためにかかるコストも考慮しなければなりません。

    製品・サービス価格の安定化

    多くの企業にとって、価格が頻繁に変動しては、製品・サービスを継続的に利用することは困難です。適正なプライシングを行えば、価格を安定させることができ、消費者にも安心感を与えられるでしょう。

    市場シェアの維持・拡大

    企業であれば、製品・サービスをより多くの消費者に届けたいと考えるものです。そのためには、今の市場シェアを維持もしくは拡大することが必要となります。ユーザーは製品・サービスの内容だけでなく価格も重要視します。

    適切なプライシングを行うことで、結果的に安定した顧客を獲得でき、市場シェアの維持・拡大につながります。市場シェアが拡大できれば、量産効果によりコストを低減でき、さらなる利益拡大を実現できるでしょう。

    競合への対抗

    製品・サービスの価格に影響するのは、生産にかかるコストやターゲットだけではありません。競合他社の価格も大きく関係します。たとえば自社製品やサービスと同等の製品・サービスを提供する競合が価格を下げた場合、市場シェアを奪われる恐れがあります。

    これに対抗するためには、自社製品やサービスの強化を図り価格に見合った内容を提供することが重要ですが、短期的には自社の製品・サービスの価格を見直すことも対抗手段のひとつとなります。プライシングには、競合と対抗する役割もあると言えます。

    プライシングの基本となる4つの考え方

    プライシングのベースとなる考え方には、以下の4つが存在します。それぞれどのような考え方なのか見ていきましょう。

    ①コスト志向型価格設定

    コスト志向型価格設定とは、製品・サービスを生産するためにかかるコストに利幅を加算することで価格を決める考え方です。コスト志向型価格設定には3つの手法があります。 ひとつはコストプラス法です。製造原価に一定の利益率を加えて価格を設定します。主に製造業で使用される手法です。

    2つ目はマークアップ法です。仕入原価に一定の利益率を加えて価格を設定します。基本的な考え方はコストプラス法と同じですが、主に小売業など商品を仕入れて販売する業態で用いられます。

    3つ目は目標利益法です。自社の目標となる投資収益率を達成できるよう価格を設定します。損益分岐点分析を使った手法です。 いずれも企業側の都合で価格を設定するため、売れれば確実に利益が出る一方、市場に受け入れられにくい価格になる恐れもあります。

    ②需要志向型価格設定

    需要志向型価格設定とは、顧客となる層が製品・サービスにどれだけの対価を支払うかという目線で価格を決める考え方です。市場調査や顧客層へのアンケート調査を行い、その結果に基づいて価格を設定します。 設定された価格と必要な利益から、製品・サービスにかけられるコストを算出し、製品開発・材料調達を行います。顧客に受け入れられやすい価格になる一方、企業側の利益が十分得られない価格になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

    ③競争志向型価格設定

    競争志向型価格設定とは、競合他社と競うことを意識して価格を決める考え方です。一般的には、競合が出している類似製品・サービスの価格を参考に、同等またはそれ以下の価格に設定します。 消費者に対して、価格の低さをアピールすることで販売につなげる手法です。

    ただし、自社都合を考慮していないため、思うような利益が得られない価格設定となる恐れもあります。

    ④心理的価格設定

    心理的価格設定とは、ブランドステータスやこれまでの慣習など、消費者の購買心理を考慮して価格を決める考え方です。たとえば「外車は高価格である」「お菓子は子供でも買いやすい価格」というように、長年のイメージや市場価格から大きく外れないよう設定します。

    100円ではなく98円にするなど、割安感のある価格設定にすることもこの手法です。他にも、均一価格にすることやセット販売で割引を行うことなども有効とされています。

    主なプライシング戦略と具体例

    プライシングを行う際は戦略が肝要です。上記の考え方を元にした、様々な戦略が存在します。一般的に用いられているプライシング戦略の種類と、それぞれの具体例を見ていきましょう。

    スキミングプライシング戦略

    スキミングプライシング戦略とは、製品・サービスを市場に導入してすぐは高めの価格とし、市場で普及するにつれて価格を徐々に下げていく方法です。「上澄み価格戦略」とも呼ばれます。 「価格が多少高くても新製品が欲しい」と考える顧客層がターゲットです。

    市場投入初期に利益を上げることで、製品開発にかかったコストをできるだけ早く回収する目的があります。 たとえばパソコンやIT機器の新バージョンは、新製品を求める顧客層が一定数いるため、この戦略を取りやすいと考えられます。市場で普及した場合には、次の新製品リリースのタイミングで価格を下げることも可能です。

    ペネトレーションプライシング戦略

    ペネトレーションプライシング戦略は、スキミングプライシングと逆に製品・サービスを低価格で市場に投入し、早期に市場シェアを獲得する方法です。「市場浸透価格戦略」とも呼ばれます。 大量生産によってコストを抑えられる場合や、既存技術を応用して生産できるために開発コストがかからない場合に有用です。

    その後、価格を上げていくのか低価格のまま販売するのかは企業戦略によります。 実際に企業が行っているのは、送料無料や手数料無料などのキャンペーンを行い、ユーザーをある程度獲得できたタイミングでキャンペーンを終えて規定の送料、手数料を設けるという方法です。

    ダイナミックプライシング戦略

    ダイナミックプライシング戦略とは、製品・サービスの価格を状況にあわせて頻繁に変更する方法です。ダイナミックには「動的」という意味があり、時間経過とともに変化することを表しています。 価格を上げたタイミングで利益を最大化したり、価格を変えることで注文数や来客数を調整できたりする点がメリットです。価格が頻繁に変わることや高騰することに対して不信感を抱いた顧客が離れるリスクもあります。

    しかし、観光地の宿泊施設の価格やリゾート施設の入場料など、時期や曜日によって異なる価格設定となっていることは一般的です。一定の時期に注文・購入が集中することが自明である業種であれば、取り入れやすい戦略と言えます。

    コストリーダーシップ戦略

    コストリーダーシップ戦略とは、競合他社より低価格で商品・サービスを提供しつつ、生産にかかる原価を徹底的に抑えて利益を確保する方法です。ただ安く販売するのではなく、大量生産や生産工程の効率化、材料費低減などの施策で原価を抑えたうえで低価格に設定します。

    低価格になることで市場シェアを獲得できる可能性がある一方、市場で価格競争が起きて市場全体の品質低下や「安かろう悪かろう」といったイメージがついてしまう恐れもある点に注意しましょう。 外食チェーンや衣服メーカー、家具メーカーなど、大量生産・大量販売が可能な業態で多く取られている戦略です。各社、接客時間を短くする、カラーバリエーションを絞るなどさまざまなコスト削減を行い、低価格で一定の品質を確保した商品・サービスを提供しています。

    高価格戦略

    高価格戦略とは、付加価値の高い製品・サービスを高価格で販売して利益を上げる方法です。無理な値下げや値引きを行わないことで、利益を確保できるメリットがあります。「高くても高品質な製品」といったブランドイメージにもつながります。

    製品・サービス自体の付加価値が高いだけでなく、顧客のアフターサービスや顧客とのコミュニケーションを徹底することで、高価格でも買ってもらえるようになる戦略です。 ただし、この戦略が成功するには、すでに一定のブランド力がある場合や、他社に真似できない圧倒的な技術がある場合などに限ります。スマートフォンメーカーや音響機器メーカーなど、企業固有の技術や強いブランド力がある企業が好例です。

    ラグジュアリー価格戦略

    ラグジュアリー価格戦略とは、高価格戦略よりさらに高い値段に設定して販売する方法です。高価格戦略との違いは、値段に上限がなく、購入・保有すること自体がステータスとなりうる点です。 商品やサービスの質が高いのはもちろんですが、接客からアフターフォローまでトップクラスのサービスを提供することも重要と言えます。

    また、ステータスを維持するため、需要に対して供給量を制限することもあります。 主にジュエリーや腕時計、カバン、靴、車など、すでにブランドとして確立されている企業で取られている戦略です。あまりに高級すぎることで顧客数が下がってしまう可能性と、供給量が多すぎてステータスにならなかったり、少なすぎて不満が生まれたりする場合があります。そのため、どこまで価格を上げるべきか、またどのくらい供給すべきかをしっかり見極めなければなりません。

    利益と顧客目線の両立がポイント

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    プライシングは、企業が利益を得られるような価格設定(コストベース)であることが大切ですが、同時に顧客側の立場での価値(バリューベース)も考えなければ製品・サービスの購入につなげることは難しいでしょう。 加えて、競合他社がどのような価値にどのような価格設定をしているのかや市場の大きさも考慮しなければなりません。

    したがって、継続的な価格を設定する場合、製品・サービスの生産にかかるコストより高く設定しなければならない反面、顧客が感じる価値を超えたプライシングはできないと考えたほうがいいでしょう。その間で、市場の状態もふまえたプライシングを行う必要があります。

    データをプライシングに活用

    プライシングには様々な考え方がありますが、社内のデータを活用することでプライシングの根拠を導き出すことが可能になります。上述の通り、プライシングにおいて欠かせないのが原価の把握です。業種によっては、粒度にも注目して把握しておく必要があります。

    正確な原価や社内リソースなどのデータを活用することで、必要な利益を確保したり、顧客が納得できる価格を提案しやすかったりと、より的確なプライシングを行えるようになります。そのためには、普段からデータを蓄積させておくことが大切です。

    次の見出しから、具体的にどのようなデータを収集し、活用していくのか解説します。

    原価の把握・価格の見直し

    製品・サービスを提供するまでに、過去または現在進行形でどれだけ原価がかかっているのかを把握しておくことが重要です。製品・サービスの実際の原価をもとに価格を決めれば、思っていたより原価がかかって利益が減少するもしくは赤字になるといった事態を防げます。

    また、一度決めた価格は変える必要がないわけではなく、常に見直す必要があります。原価は従業員の賃金や社会情勢によって変動が大きい要素です。特に、システム業やクリエイティブ業、コンサル業などのプロジェクト型ビジネスでは、原価の大半を労務費が占めているため、原価の中でも労務費に着目しましょう。プロジェクト別に労務費を正しく把握し、都度分析を行うことはプライシングにも役立ちます。

    プロジェクト型ビジネスは原価が見えにくいため、顧客から「価格の妥当性が判断できない」と言われたり、値引きを求められるケースもあるでしょう。正しく労務費を把握し、価格の根拠を提示することで、顧客にとっても納得感のある価格設定につながります。 原価はプライシングに大きな影響を及ぼすため、既存の製品であっても常に現在かかっている原価を把握し、価格に反映させることが大切です。原価管理について、詳しくは下記の記事を参照ください。

    原価管理とは?目的やメリット、原価計算との違いを解説

    販売データ・顧客データの分析

    需要志向型価格設定を用いたとしても、実際に製品・サービスを世に出してみなければ、顧客にとって適正な価格だったのか、また想定した価値を感じてもらえているのかはわかりません。 そのため、販売データや顧客データ、解約データを収集して分析し、プライシングに活用することが大切です。

    もし思うような売れ行きでなかったり、想定したターゲット層の反応がなかったりする場合には、価格が一因となっているケースもあるため、価格の見直しも考えなければなりません。

    まとめ

    製品・サービスが売れて企業が利益を上げるためには、先を見据えたプライシングが重要です。
    また単純に利益を増やすだけでなく、いかにして市場シェアを維持・拡大できるかといった視点も必要になってきます。

    プライシングにはさまざまな考え方や戦略が存在し、基本的には企業の利益と顧客視点を考慮して価格を決めることになります。そのためには、常に製品・サービスの原価や顧客の反応を把握し、価格に反映させることが必要です。タイムリーな原価と販売データ等の把握・分析を行い、プライシングを考え続けることが、企業の利益と同時に顧客満足度を得るために欠かせないのです。

    Q
    プライシングとは?
    A
    企業の利益を確保できる価格設定に加え、顧客視点に立って製品・サービスの価値を考慮することです。 詳しくはプライシングとはをご覧ください。
    Q
    ダイナミックプライシングとは?
    A
    製品・サービスの価格を状況にあわせて頻繁に変更する方法です。ダイナミックには「動的」という意味があり、時間経過とともに変化することを表しています。詳しくは ダイナミックプライシング戦略をご覧ください。

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    清宮 理慎

    この記事の監修者

    株式会社オロ 取締役

    清宮 理慎

    2010年、株式会社オロに入社。ZAC導入支援グループのグループ長、開発グループのグループ長を担当した後、2022年にクラウドソリューション事業部の事業部長に就任。「ZAC」を用いた管理会計により事業部の運営を行っている。著書に「ナレッジワーカー・マネジメント 業績も人もついてくる数字で語るマネジメント術」(プレジデント社)がある。

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