ERPはどう比較する?自社に最適なERPを選ぶ上での重要なポイント

2026/9/11公開
ERPの導入は容易ではないため、企業は十分な比較検討を行う必要があります。数あるERPをどのような基準で比較して導入を決めればいいのか、迷ってしまう経営者やシステム担当者も多いはずです。
そこで本記事では、ERPの基本や導入時に比較すべき重要なポイントを紹介します。実際にERPを比較検討した導入事例も紹介するので、自社で検討する際の参考にしてください。
目次
ERPの比較・選定は企業の大きな決断
企業の資源を一元管理するシステムであるERPの導入は、社内全体のデータ管理の方法を変えるという大きな決断です。コストも導入期間も必要となります。また、ERPは一度導入すると長期間利用するケースが多く、導入後にすぐに別の製品へ変更することが容易ではありません。
そのため、複数のERPを比較してどのERPを導入するかを決定することが重要です。しかし何を基準にすべきか、他社はどのように比較検討して導入を決めたのかがわからず、導入検討が進みにくい企業もあるかもしれません。
本記事ではERPを選定する際に重視すべきポイントや他社の比較事例を紹介します。ERPを比較する際の参考として、効率的かつ確実な比較検討に役立ててください。
ERPとは?基本的な機能
ERP(イーアールピー)とは、Enterprise Resource Planningの略で、日本語では「企業資源計画」を意味します。バラバラに存在する企業の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)データを、一か所に集めて管理するためのシステムです。
網羅的かつ正確でタイムリーな情報を把握できるため、経営判断の迅速化や業務効率化、企業資源の有効活用に役立ちます。 ERPの基本的な機能は以下の通りです。
・人事・給与管理
・販売管理
・生産管理
・購買管理
・会計管理
・営業管理
ERPの基本については、以下の記事を参照してください。
ERPの提供形態

ERPはクラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の3つの提供形態が主です。それぞれどのような提供形態なのか、またどのようなケースで選ばれるのかについて詳しく解説します。
クラウド型
クラウド型は、ERPベンダーが提供するクラウド上で利用する形態です。そのなかに、誰でも利用できるパブリッククラウドと、利用ユーザーを限定するプライベートクラウドが存在します。近年では、「クラウド型」と呼ばれる場合、パブリッククラウドであることが一般的です。
クラウド型は、自社でサーバを用意する必要がないため、導入時のコストや期間を抑えられる点が特徴です。インターネット環境があればどこからでもアクセス可能なため、在宅勤務や出張先等からでも利用できます。
保守や運用はベンダー側に一任できます。ただし、セキュリティレベルやカスタマイズの幅はベンダーと製品次第です。導入コストを抑えたい企業や、スピード重視で導入したい企業など、中堅・中小企業に多く選ばれます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社内にサーバを準備し、そこにシステムを導入して利用する形態です。自社に合わせた細かなカスタマイズができます。サーバが自社内に存在するので、クラウドに比べ、データ流出のリスクを抑えられるなど、セキュリティ面でも安心感があります。
導入にはクラウド型に比べるとコストも期間もかかるうえ、自社による保守・運用の手間が発生します。利用環境も、社内ネットワーク下に限られます。自社内にサーバがあることから、自然災害などの物理的な災害が起こった際にシステムが停止するというリスクがあります。
独自の業務フローがあり、細かな要件に合わせたシステム構築が必要な企業や、セキュリティ要件が厳しい企業に選ばれるケースが一般的です。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、上述したクラウド型とオンプレミス型を組み合わせて利用する形態を指します。例えば、本社はオンプレミス型、支社はクラウド型を利用するといった運用が可能です。
一部の業務をオンプレミス型で管理し、その他の業務はクラウド型にするといった切り分けも行えます。クラウド型とオンプレミス型両方のメリットを享受でき、柔軟に運用できる点が特徴です。
ただし設計や運用がやや複雑で、管理の難しさが生じます。将来の事業の変化や拡張に備えたい企業や、一部の重要なデータを自社内で管理したい企業などに多く選ばれる形態です。
ERPのタイプ

ERPには、統合型とコンポーネント型、フルスクラッチ型の3種類があります。そのうち、統合型とコンポーネント型はどちらもパッケージタイプに分類されます。それぞれのタイプについて見ていきましょう。
統合型ERP
統合型ERPは、すべての基幹業務をひとつのシステムで一元管理するパッケージタイプです。経営に関わる業務をひとつのシステムでカバーできるため、経営情報をタイムリーに把握でき、スピーディーな経営判断にも役立ちます。
ただし、コンポーネント型に比べて導入コストが高めになりがちです。機能も豊富ですが、企業によっては使わないものも出てくるでしょう。企業規模が大きく業務標準化もしやすい、大企業やグローバル企業に選ばれることが多い形態のひとつです。
コンポーネント型ERP
コンポーネント型ERPは、必要な業務システムだけをピックアップして組み合わせるパッケージタイプです。コンポーネントとは「必要な機能を持つシステム」のことを指します。
機能が限定的なシステムを利用するため、他のタイプに比べ導入コストや期間を抑えられます。他の業務システムが必要になれば、随時追加できるため、柔軟性の高いシステムです。
一方で、度重なるシステム追加で複雑化したり、メンテナンス負担が増加したりといったデメリットも考えられます。異なるベンダーのコンポーネント同士を連携させる必要があるため、管理が複雑化してしまうのです。ERPに求める「データ一元化」を実現しにくくなります。
中小企業や、将来的な機能拡張を考えている企業に選ばれることが多いタイプです。
フルスクラッチ型ERP
フルスクラッチ型ERPは、自社に合わせてゼロからシステムを開発するタイプです。自社の業務にフィットした無駄のないシステムを利用できます。
統合型やコンポーネント型のようなパッケージ型ERPには搭載されないような独自の業務にも対応可能です。その分、開発費用や期間がパッケージ型よりかかるため、導入の負担は大きくなります。
独自性の高い企業や、システム開発に予算と期間をあてられる企業に選ばれることが多いタイプです。
ERP導入に何が大事?比較すべきポイント
ERP導入で重視すべき点は企業によって異なるものの、比較する際に抑えておくべきポイントが主に7つあります。どのようなポイントを見るべきか、以下に詳しく解説します。
機能と拡張性
自社が求める機能をカバーしているかは必ず抑えておきたいポイントです。また、機能の拡張性があるかどうかも重要になります。
なぜなら、業務や企業規模が拡大した際に必要な機能が増えるかもしれないからです。
ERPによって対応可能な機能や得意な業務分野も異なるため、求める機能は確実にあるのか、将来的な機能追加についてもあらかじめ確認しておきましょう。
業種への適応性
業種ごとの商習慣を満たしたシステムがおすすめです。ERPには特定の業種に特化したものがあるため、使い勝手を考慮し、自社の分野・業界に特化したシステムを選びましょう。
サポート面でも、業界特有の法改正に対応するスピード感など、ベンダー側の対応も異なります。ベンダーの得意な業種を確認しておくことが大切です。
提供形態とタイプ
上述した提供形態(クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型)とタイプ(統合型・コンポーネント型・フルスクラッチ型)が自社に適しているかどうかも大事なポイントです。
提供形態とタイプの特徴がすべての製品に当てはまるわけではありませんが、傾向を把握しておくことは比較する上で重要といえます。
コストを抑えてスピーディーに導入したいならクラウド型、独自業務が多くクラウドよりも高いセキュリティを重視したいならオンプレミス型、将来の拡張性や柔軟性を求めるならハイブリッド型がおすすめです。
業務標準化やデータの一元管理を重視するなら統合型、必要な機能だけシステム化したいならコンポーネント型、独自業務に完全フィットしたシステムを求めるなら、フルスクラッチ型を検討してみてください。
コストと納期
ERP導入にかかるコストと納期が、自社の予算・スケジュール感に合っているかどうかも確認しましょう。ベンダーによって多少の差はあるものの、パッケージ型・クラウド型はコストも期間も抑えられる場合が一般的です。
一方、オンプレミス型のように自社内にサーバを用意する形態や、フルスクラッチ型のようにゼロからシステム開発するタイプは、コストが高くなります。導入期間も長くなるケースが多いため、事前の確認が重要です。
操作性
日々使うシステムであるため、UIやデータの入力・検索のしやすさ、外部システムとのAPI連携のしやすさといった操作性も大事な比較ポイントです。
UIは、直感的に使えるか、自社に必要な入力項目を押さえられているか、どのくらいの運用変更が発生するか などを確認します。操作が難しいと、現場の入力作業が非効率になったり、入力が遅くなってタイムリーなデータ収集ができなくなったりする恐れがあります。
また既存システムのデータを利用するのであれば、連携が取れるERPであることも必要です。
セキュリティとサポート
ERPは経営に関わる重要なデータを扱うため、セキュリティ対策やサポート体制の手厚さは重要です。トラブルを防ぐためにも、システムのセキュリティレベルやユーザーのアクセス権限などを確認しましょう。
また、トラブルによってシステムが停止したら業務も滞ってしまうため、ベンダーのサポート体制も把握しておかなければなりません。
災害時や緊急事態時のBCPに対応しているかも重要です。導入時のサポートについても、どの程度まで対応しているかを確認しておきます。
提供企業の信頼性
ERPを提供するベンダーが、事業を長く継続できるかといった信頼性も確認しておきたいポイントです。ERPは一度導入したら長期にわたって利用することになるため、ベンダーがシステムを長く提供できるかどうか見極める必要があります。
過去の導入実績も、信頼性につながるため、どのような企業が利用しているかも確認しておきましょう。
事例でわかるERPの比較検討のコツ
ここからは、実際にERPの比較検討を行って導入に至った企業の事例を紹介します。具体的にどのようなポイントを比較して選んだのか、自社での選定の参考にしてください。
NECネッツエスアイグループ3社様のERP選定ポイント
クラウド型か、中小企業向けか、内部統制機能が充実しているか、などの独自基準をもとに複数のシステムを比較した事例です。最終的に、プロジェクトの予実管理方法が同社の理想に合致したこと、カスタマイズを最小限にしつつ業務最適化できること、他システムとの連携性や拡張性が高いことから、ZACに決定したといいます。
NECネッツエスアイ様は、ネットワークをコアとするICTシステムに関する企画・コンサルティング、設計・構築、およびサポートサービス拠点による保守・運用、監視サービスなどを提供する企業です。
連結子会社のNECネッツエスアイ・サービス株式会社様、株式会社ニチワ様、K&Nシステムインテグレーションズ株式会社様の3社は「データ集約・把握の遅れ」「個別システムによるデータ転記・重複入力」「承認作業のデジタル化の遅れ」といった課題を抱えていました。
そこで親会社であるNECネッツエスアイ様は、子会社3社のシステム刷新を図り、ZACを導入したそうです。
結果、3社の業務プロセスの統一を実現。経営管理や経理、システム運用等の業務を効率化できました。
株式会社新東通信様のERP選定ポイント
総合広告会社として、企業や自治体のコミュニケーション戦略の立案から実行までを幅広く支援する株式会社新東通信様は、以下の3点の選定基準をもとにZACを選んだといいます。
①売上に複数の原価を紐づけて案件別収支が管理できる
②多種多様な費用を柔軟に原価として取り扱える
③短期間で導入できる
同社は、長年利用してきた基幹システムのサポート終了を機に、ZACへリプレイスしました。上記の選定基準に加えて、カスタマイズせずに十分な機能を果たすシステムであること、広告業に多くの導入実績を持っていることもZACを選ぶ理由だったそうです。
リプレイス後は、旧システム同様に業務継続できただけでなく、ペーパーレス化や情報検索性の向上も実現しました。
ERPの選定には、まず導入目的の明確化から
企業にとって重要な情報を一元管理するERPの導入は、容易に決断できるものではありません。さまざまな提供形態やタイプが存在するため、まずは「ERPで何を実現したいのか」 という自社の導入目的を明確にすることが選定の第一歩となります。
そのうえで、上述した比較ポイントを参考に、システム選定を進めることがおすすめです。ERP導入の検討を進めている方は、失敗しない導入を実現するためにも、下のチェックリストやこちらの記事を参考にしてください。
















